レッドオーシャンとブルーオーシャンの違いは?勝ち抜くための戦略やデメリットも解説
「レッドオーシャン市場で勝ち抜くためには?」
「レッドオーシャン市場を狙うメリット・デメリットは?」
と疑問を抱いている方のために、本記事で下記の項目を解説します。
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- レッドオーシャン市場を狙う4つのメリット
- レッドオーシャン市場を狙う3つのデメリット
- レッドオーシャン市場で勝ち抜くための戦略
レッドオーシャン市場で勝ち抜くためには、メリット・デメリットを理解したうえでの戦略が重要です。
戦略を理解せずに参入すると、レッドオーシャン市場で生き残るのは難しいと言えます。
本記事で解説するレッドオーシャンを勝ち抜くための戦略を理解すれば、競合が多い市場で生き残るだけでなく利益の最大化にもつながるでしょう。
目次
レッドオーシャンとは?
レッドオーシャンとはビジネス戦略の用語で、すでに多くの競合が存在する市場のことです。
海に例えて、競争によって血で赤く染まった海(レッドオーシャン)と言われています。
レッドオーシャン市場の企業は価格競争に巻き込まれやすく、消費者を惹きつけるためには価格を下げたり独自のサービスを展開したりする必要があります。
しかし、これらの競争戦略は利益を圧迫する原因となり、長期的に成長を続けていくのが難しいというのがレッドオーシャン市場の特徴です。
ブルーオーシャンとの違いは?
一方で、ブルーオーシャンとは、まだ競争が存在しない新しい市場のことです。
海に例えて、まだ競争が存在しないため、海が青いまま(ブルーオーシャン)と言われています。
ブルーオーシャン市場では、革新的な商品・サービスによって新しい需要を創出し、競争を回避できます。
そのため、大きな利益や成長の機会につながりやすいのが特徴です。
【業界別】レッドオーシャン市場例
業界別でレッドオーシャン市場の例をいくつか紹介します。
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- 高級食パン業界
- スナック菓子業界(ポテトチップス)
次項で【業界別】レッドオーシャン市場例についてそれぞれ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
高級食パン業界
食パン業界の国内市場規模は、調査会社「富士経済」の調べで2020年では300億円とされ、競争が激しい市場だとわかります。
その中でも大きくシェアを獲得しているのは、2013年に開業した「乃が美」です。
高級食パンは、品質の高い小麦や特殊な製法を用いて一般的な食パンと差別化を図っています。
しかし、多くのブランドが似たような特徴の製品を打ち出しているため、他社との差別化を図りにくいという問題があります。
競合が多いため価格競争が激しくなっていますが、単なる値下げ競争は、利益の圧迫につながり得策とは言えません。
その中で、別視点から競合との差別化を図り高級食パン業界に参入するのが、モスバーガーを展開するモスフードサービスです。
モスフードサービスの特徴は完全予約制という点で、予約を受けた分だけメーカーに発注するため廃棄ロスが減り、売れた分だけ利益になるという仕組みです。
このように独自のオリジナリティを出すことが、競争の激しいレッドオーシャン市場で勝ち残るためには必要と言えるでしょう。
スナック菓子業界(ポテトチップス)
日本スナック・シリアルフーズ協会の調べでは、ポテトチップスの国内市場規模は2021年時点で1740億円(出荷ベース)となっており、競争が激しい業界というのがわかります。
消費者のポテトチップスに対する需要が高いことから、市場は引き続き成長していますが、競合他社も多く生き残りが大変な業界と言えます。
競争の激しいスナック菓子業界で、昨今の健康志向が高くなってきた消費者ニーズにいち早く気づき人気を集めた商品が、湖池屋の「湖池屋プライドポテト 芋まるごと 食塩不使用」です。
商品名からわかる通り、食塩を使っていないというのが特徴で、塩分を気にしてポテトチップスを食べられなかった人のシェア獲得につながりました。
もちろん「美味しい」というのは大前提ですが、消費者の健康志向の高まりに伴い低脂肪・無添加・オーガニックなど、健康に配慮した製品の開発が大切になってくるでしょう。
レッドオーシャン市場を狙う4つのメリット
レッドオーシャン市場を狙う場合、これから解説するメリットを活用しながら、競争の激しい市場環境での成功を目指す必要があります。
レッドオーシャン市場を狙うメリットは、下記の4つです。
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- 成功すれば大きな利益を得られる
- 需要が高い商品が多い
- 商品の開発コストを抑えられる
- 参考データが多い
次項でレッドオーシャン市場を狙うメリットについてわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
1.成功すれば大きな利益を得られる
レッドオーシャン市場にはすでに多くの顧客が存在し、商品やサービスの需要が確立されているため、成功すればその分大きな利益を得られます。
レッドオーシャン市場でのシェアを獲得し顧客基盤を拡大できれば、高い収益を上げられるでしょう。
とはいえ、成功するためには競合他社と比較して独自の価値を提供したり、効率的なコスト構造を実現したりといった工夫が必要です。
2.需要が高い商品が多い
レッドオーシャン市場では顧客のニーズと期待が明確になっているため、需要が高い商品やサービスが多く存在します。
ニーズに合わせた商品やサービスを提供しやすく、市場にも受け入れられやすいといったメリットがあります。
ただし、高い需要がある分競合も多いために他社との差別化戦略が重要です。
3.商品の開発コストを抑えられる
すでに市場が確立されているレッドオーシャンでは、顧客の好みやニーズ、競合製品に関する豊富な情報が利用できます。
そのため、商品開発にかかるコスト(市場調査・顧客ニーズの特定にかかる費用など)を抑えられるといったメリットがあります。
既存の技術を活用して新製品を開発すれば、研究開発コストを抑えることもできるでしょう。
しかし、競合との差別化を図りながらコストを管理するのは、下記のような工夫も必要です。
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これらの戦略を通じて競合との差別化を図りつつコストを管理し、持続可能な成長を目指しましょう。
4.参考データが多い
レッドオーシャン市場には多くの競合が存在するため、市場動向・顧客行動・競合分析に関する豊富なデータが利用可能です。
これらの情報を活用することで市場のトレンドやニーズを把握し、自社の製品やサービスを適切に位置付ける戦略を立てられやすくなるでしょう。
また、過去の成功例や失敗例から学びリスクを回避するための洞察を得ることもできるので、より確実な市場参入や製品開発戦略を立てることが可能です。
レッドオーシャン市場を狙う3つのデメリット
レッドオーシャン市場への参入は、メリットだけでなく競争が激しいからこそ下記のような問題点があります。
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- 参入後に生き残るのが難しい
- 市場調査や広告に膨大なコストがかかる
- 競合との差別化が難しい
次項でレッドオーシャン市場を狙うデメリットについてわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
1.参入後に生き残るのが難しい
レッドオーシャン市場にはすでに多数の競合が存在しており、市場のシェアを獲得するための激しい競争が繰り広げられています。
競合が競い合っている状況で、顧客の注意を引き市場における自社の位置を確立するのが困難なため、参入後に生き残るのが難しいのです。
成功するためには、競合よりも優れた価値提案やコスト構造・独自の販売戦略などを武器にして、市場に新しい波を起こす必要があるでしょう。
具体的な戦略に関しては、本記事の「レッドオーシャン市場で勝ち抜くための戦略」で解説しているので、こちらも合わせてご覧ください。
2.市場調査や広告に膨大なコストがかかる
レッドオーシャン市場での差別化と顧客基盤の確立には、市場調査や広告・プロモーションなどに膨大なコストがかかります。
競争が激しい市場では、顧客のニーズや好み、競合の動向を正確に理解するための詳細な市場調査が必要になります。
また、自社の製品やサービスを市場に浸透させるためには、効果的な広告戦略とその実施に多額の投資が必要です。
市場調査や広告・プロモーションなどのコストは、とくにスタートアップや資本力の限られた企業にとって大きな負担になる可能性があるでしょう。
3.競合との差別化が難しい
価格や商品などの競争が激しいレッドオーシャン市場では、自社の製品やサービスを競合から差別化することが非常に難しいと言えます。
消費者に自社の製品やサービスを選んでもらうためには、単に価格や品質で競争するだけではなく独自の付加価値を提供する必要があります。
しかし、新しい価値を生み出しそれを顧客に伝えるのは簡単ではなく、膨大な知恵と研究費・マーケティング戦略が必要になるでしょう。
レッドオーシャン市場で勝ち抜くための4つの戦略
レッドオーシャン市場への参入は、メリット・デメリットを認識し、それに対処する準備ができている企業にのみ適した戦略です。
レッドオーシャン市場で勝ち抜くための戦略は、下記の4つです。
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- ブルーオーシャンを創造
- 競合の調査
- ブランディングによる競合との差別化
- 分野の掛け合わせ
次項でレッドオーシャン市場で勝ち抜くための戦略についてわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
1.ブルーオーシャンを創造
競争の激しいレッドオーシャン市場で勝ち抜くためには、ブルーオーシャンを創造するのが大切です。
ブルーオーシャンを創造するとは、既存の市場の枠組みを超えて、まだ誰も提供していない商品やサービス・独自の価値を開拓することを目指します。
具体的な方法としては、下記の通りです。
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これらを実行してブルーオーシャンの創造ができれば、競合との直接的な競争を避け、利益率の高い成長を実現できる可能性が高まります。
2.競合の調査
競合他社の戦略・強み・弱み・顧客基盤などを徹底的に調査し分析することは、レッドオーシャン市場で勝ち抜くためには必要不可欠です。
競合の製品やサービスに対する顧客の反応を理解することで、自社の戦略を調整し市場で独自の地位を築くことにもつながります。
具体的には、下記のような調査をするとよいでしょう。
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これらの調査で競合とのギャップを明確に特定し独自の価値提案を形成できれば、レッドオーシャン市場での成功につながります。
競合調査では、常に顧客の視点を念頭に置くのが重要です。
3.ブランディングによる競合との差別化
強力なブランドアイデンティティとブランドストーリーをもつことで、競合と差別化し競争の激しいレッドオーシャン市場で勝ち抜けるでしょう。
ブランディングは単にロゴやスローガンを作ることではなく、企業の価値観・使命・顧客に提供する独特な価値などを伝えるプロセスです。
とはいえ、類似品や類似サービスが多いレッドオーシャン市場で、ブランディングによる差別化は簡単なことではありません。
そこで今回おすすめしたいのは、M&Aを活用したブランディング・差別化戦略です。
M&Aを活用したブランディング・差別化戦略では、下記のような効果が期待できます。
→自社ブランドの市場拡大を加速できる
→多様な顧客ニーズに応えられる
→自社ブランドの認知度と信頼性が向上する
→独自性の強い製品やサービスを提供できる |
このようにM&Aを活用すれば、自社ブランドの価値を高めて競合と差別化を図るための強力な手段となり得ます。
4.分野の掛け合わせ
異なる分野や業界の知識、技術などを組み合わせることで、革新的な製品やサービスを生み出せます。
分野の掛け合わせにより新しい市場ニーズを創造でき、競争の激しいレッドオーシャン市場で勝ち抜くきっかけになるでしょう。
分野の掛け合わせとして市場での具体例をいくつか紹介します。
歩数計測・心拍数の監視・睡眠パターンの追跡など、日常生活での健康状態をモニタリングすることで、より健康的なライフスタイルを実現
病害虫に強い作物の開発や、栄養価が高く成長が早い作物などの遺伝子編集技術を用いた作物の開発が可能
ゲームの要素を教育に取り入れることで、勉強するモチベーションを高め、学習効果を向上 |
このように分野の掛け合わせは既存の市場で新しい顧客体験を提供でき、競争の激しいレッドオーシャン市場で自社を際立たせられます。
レッドオーシャンを勝ち抜くためにはM&Aを含めた戦略が重要
本記事では、レッドオーシャンについてメリット・デメリットなどについて紹介してきましたが、勝ち抜くためにはM&Aを含めた戦略が重要です。
レッドオーシャン市場は多くの競合が存在し、商品やサービスが似通っているため、価格競争が激しく利益率が低下しやすいです。
そのため、単に従来のビジネスモデルを続けるだけでは不十分であり、合併や買収(M&A)を含むより積極的な戦略が、この競争の中で生き残り成長する鍵となります。
ディスクリプション
本記事を読めば「レッドオーシャンとは」何か?言葉の意味がわかります。合わせて、レッドオーシャン市場を勝ち抜くための戦略や、競合が多い市場を選ぶメリット・デメリットも詳しく解説します。レッドオーシャン市場へ参入しようとしている方は、ぜひ参考にしてください。
▼監修者プロフィール

岩下 岳(S&G株式会社 代表取締役) S&G株式会社
新卒で日立Gr.に入社。同社の海外拠点立上げ業務等に従事。
その後、東証一部上場のM&A仲介業界最大手の日本M&Aセンターへ入社ディールマネージャーとして、複数社のM&A(株式譲渡・事業譲渡・業務提携等)支援に関与。IT、製造業、人材、小売、エンタメ、建設、飲食、ホテル、物流、不動産、サービス業、アパレル、産業廃棄物処分業等、様々な業界・業種でM&Aの支援実績を有する。現在はS&G代表として、M&Aアドバイザー、及び企業顧問に従事している。