コロナ融資を返済できない時はどうすればいい?正しい対策や相談先を解説
コロナ禍による事業への影響は甚大であり、事業が回復しきっていない企業も少なくありません。
コロナ融資の返済に苦しんでいる中小企業や個人事業主の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、コロナ融資が返済できない場合を想定し、
- コロナ融資を返済できないとどうなるのか
- コロナ融資が返済できない場合の具体的な対処法
- コロナ融資を確実に返済するための対策
などを解説します。債務問題に悩む経営者の方々は、ぜひ参考にしてみてください。
コロナ融資とは
コロナ融資とは、新型コロナウイルス感染症の拡大に対応して実施された、政府系金融機関と民間金融機関による融資制度です。実質無利子・無担保での借入れが可能です。信用保証協会の保証が付くため、担保も必要ありません。
代表的な例
- 日本政策金融公庫の「新型コロナ特別貸付」「新型コロナ対応資本性劣後ローン」
- 政策投資銀行と商工中金の新型コロナ関連「危機対応融資」
- 信用保証協会の「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」を通じた保証付き融資
帝国データバンクの調査(2023年8月)によると、全国の企業の45.4%が現在コロナ融資を借りており、そのうち82.0%がすでに返済を開始しています。また、現在コロナ融資を借りている企業のうち、13.9%の企業が返済に不安を抱えているという結果となっています。
出典:帝国データバンク
コロナ融資を返済できないとどうなる?
コロナ融資を返済できない場合、企業の信用力が低下し、今後の資金調達に影響を及ぼす可能性があります。また、金融機関から法的措置を取られるリスクもあります。
コロナ融資を返済できないと、
- 督促状の送付
- 遅延損害金の発生
- 一括返済の請求
など、様々な問題が発生します。
督促状の送付
コロナ融資の返済が滞ると、金融機関から督促状が届きます。督促状は、借り主に対して債務の履行を促す通知文であり、返済の催促を行うものです。督促状が届いた段階では、法的強制力はありませんが、督促状を無視し続けると事態は深刻化します。
金融機関からの督促に応じない場合、最終的には裁判所を通じた法的手続きに発展する可能性があります。仮に裁判所から支払い命令が出されれば、財産の差し押さえなどの強制執行を受ける恐れがあります。差し押さえの対象には、預金や不動産、売掛金などが含まれます。
督促状を受け取った際には、金融機関への連絡を速やかに行い、返済計画の見直しや条件変更などについて相談しましょう。
遅延損害金が発生する
コロナ融資の返済が遅れると、遅延損害金が発生します。遅延損害金とは、期日までに返済がない場合に、延滞した日数に応じて課される追加の費用のことです。
遅延損害金の計算方法は、次の通りです。
債務残高 × 年率 × 滞納日数 ÷ 365日 = 遅延損害金
例えば、債務残高が500万円、年率が14%、10日間の延滞があった場合、次のように計算されます。
500万円 × 14% × 10日 ÷ 365日 = 19,178円
つまり、10日間の延滞に対して19,178円の遅延損害金が発生することになります。
遅延損害金は、延滞が長引けば長引くほど増加します。仮に、上記と同じ条件で30日間延滞した場合、遅延損害金は57,534円にもなります。
コロナ融資の返済が難しい状況になった場合は、速やかに金融機関に相談し、リスケジュールなどの措置を講じましょう。
一括返済になる可能性がある
コロナ融資の返済が滞った場合、金融機関は借り主に対して督促状や催告書を送付します。督促状や催告書は、期日までに返済がなかったことを通知し、返済を促すものです。
催促に応じず、返済がない状態が続くと、金融機関は契約条項に基づき融資の期限の利益を喪失させる場合があります。期限の利益とは、借り主が契約で定められた返済期日まで分割払いを続ける権利のことを指します。
期限の利益を喪失すると、借り主は残債務の全額を一括で返済しなければなりません。コロナ融資の金額が多額である場合、一括返済は借り主にとって大きな負担となります。
一括返済が難しい場合、借り主は金融機関との協議を行い、返済条件の変更や、場合によっては債務整理などの手段を検討する必要があります。
コロナ融資が返済できない場合の対処法
コロナ融資の返済を放置すると、延滞による信用の低下や、金融機関からの法的措置などのリスクが高まります。
返済が難しい状況になった場合、いくつか対処法があります。
- コロナ借換保証の活用
- 公庫融資借換特例制度の利用
- 借り換えなどの追加融資の検討
- 借入先からのリスケジュール交渉
- 融資以外の資金調達方法の検討
- 事業再生の検討
- 債務整理の実施
それぞれの対処法について、詳しく見ていきましょう。
コロナ借換保証の活用
コロナ借換保証制度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、借入金が増加した中小企業の収益力改善を支援するため、既存のコロナ融資や保証付き融資からの借り換えに対応する新たな保証制度です。
- 保証限度額は1億円(コロナ融資の限度額6,000万円から4,000万円上乗せ)
- 保証期間は10年以内(据置期間5年以内)
- 信用保証料は、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成し、金融機関による継続的な伴走支援を受けることで0.2%に引き下げ
出典:民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)を開始します。
売上高の減少または利益率の低下を理由に申し込むことができるため、幅広い企業が利用可能な制度といえるでしょう。コロナ借換保証制度を活用することで、月々の返済負担を軽減することができます。
公庫融資借換特例制度
公庫融資借換特例制度とは、社会的・経済的環境の変化や新型コロナウイルス感染症の影響により資金繰りに困難を来たしている中小企業者が、経営安定や自助努力による企業再建の支援を図るために、既往の公庫融資の借換などを行う制度です。
この制度では、セーフティネット貸付制度、東日本大震災復興特別貸付、企業再生貸付制度、企業活力強化貸付制度、新型コロナウイルス感染症特別貸付などの特別貸付を受けている方が対象となります。原則として、既往の公庫融資の借換に加えて、新規融資の利用が必要です。
融資限度額や利率、返済期間は、適用する特別貸付制度によって異なります。借換部分の利率は、一定の要件に該当する場合、借換対象の貸付口の加重平均金利が適用されることがあります。
次の特別貸付制度による貸付けを受けている方が対象となります。
- セーフティネット貸付制度(経営環境変化対応資金、金融環境変化対応資金)
- 東日本大震災復興特別貸付
- 令和2年7月豪雨特別貸付
- 令和6年能登半島地震特別貸付
- 企業再生貸付制度(事業再生・企業再建支援資金)
- 企業活力強化貸付制度(事業承継・集約・活性化支援資金)
- 新型コロナウイルス感染症特別貸付
- 新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付
- 挑戦支援資本強化特別貸付
この制度の申込みは、日本公庫各支店の中小企業事業の窓口で直接受け付けています。新型コロナウイルス感染症特別貸付、新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付、挑戦支援資本強化特別貸付で借換のみを希望される方は、日本公庫中小企業事業の窓口に相談してみましょう。
出典:公庫融資借換特例制度
借り換えなどの追加融資の検討
コロナ融資の返済が難しい場合、借り換えや追加融資を検討することも一つの選択肢です。ただし、借入額が増えるため、審査は厳しくなります。
追加融資を受ける際には、次のような条件を満たす必要があります。
- 事業の継続性と収益性が見込めること
- 返済計画が適切であること
- 担保や保証人など、金融機関が求める条件を満たすこと
また、追加融資を受けることで、次のようなリスクが生じる可能性があります。
- 借入金の増加により、返済負担が増大すること
- 金利の上昇により、支払利息が増加すること
- 事業が計画通りに進まない場合、返済が困難になること
借り換えや追加融資を検討する際は、自社の事業計画や返済能力を慎重に見極める必要があります。金融機関との交渉では、事業の将来性や返済計画の妥当性を丁寧に説明しましょう。
金融機関の審査をクリアするためには、経営改善計画の策定や、経営の合理化・効率化に取り組むことも求められます。場合によっては、外部の専門家による支援を受けることも検討すべきでしょう。
借り換えや追加融資は、コロナ融資の返済に行き詰まった際の選択肢の一つですが、慎重な判断が必要です。自社の事業状況を正確に把握し、リスクを十分に理解した上で、適切な意思決定を行いましょう。
借入先からのリスケジュール交渉
コロナ融資の返済が難しい場合、まずは借入先の金融機関とリスケジュールの交渉を行うことをおすすめします。リスケジュールとは、返済金額や返済方法の見直しを指します。
具体的には、次のような対応を金融機関に求めることができます。
- 返済期間の延長
- 毎月の返済額の減額
- 元本返済の一時的な据え置き
- 金利の引き下げ
条件変更により、毎月の返済負担を軽減し、資金繰りの改善を図ることができます。
リスケジュールの交渉にあたっては、次の点に留意しましょう。
- 事業の現状と今後の見通しを丁寧に説明する
- 返済計画の変更が必要な理由を明確に伝える
- 金融機関との信頼関係を維持するために、誠実な対応を心がける
リスケジュールには、次のようなメリットがあります。
- 既存の借入先との取引を継続できる
- 新たな借入先を探す必要がない
- より不利な条件で他社から借り入れをしなくて済む
ただし、リスケジュールの交渉が順調に進むとは限りません。金融機関が条件変更に応じない場合や、提示された条件が受け入れられない場合は、他の方法を検討する必要があります。
コロナ融資の返済に悩んだら、まずは借入先に相談し、リスケジュールの可能性を探ってみましょう。
融資以外の資金調達方法を検討する
コロナ融資の返済が難しい場合、融資以外の資金調達方法を検討することも重要です。ここでは、クラウドファンディング、ファクタリング、補助金や助成金、固定資産や事業の売却について説明します。
これらの資金調達方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。メリットを活かしつつ、デメリットを理解した上で、自社の状況に合った方法を選択しましょう。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を調達する仕組みです。自社の事業やプロジェクトを提示し、それに共感した人から出資や寄付を募ります。
クラウドファンディングのメリットは次の通りです。
- 銀行融資に比べて審査が簡単
- 小口の資金調達が可能
- 資金調達と同時に、プロジェクトのPRにもつながる
一方、デメリットとしては、次の点が挙げられます。
- 目標金額に達しないと資金調達ができない
- 手数料がかかる
- プロジェクトの進捗報告など、出資者へのフォローが必要
- アイデアを公開するため、模倣されるリスクがある
クラウドファンディングを活用する際は、魅力的なプロジェクトの企画や、出資者へのリターンの設定など、入念な準備が必要です。また、プロジェクトを成功させるためには、積極的な広報活動も欠かせません。
クラウドファンディングは、銀行融資が受けられない場合や、新事業の立ち上げ資金を調達する際に有効です。ただし、上記のデメリットを理解し、適切に行うことが求められます。
ファクタリング
ファクタリングとは、企業が保有している売掛債権を、ファクタリング会社に売却することで、現金化を図る金融サービスです。売掛債権の回収をファクタリング会社に委託し、売掛債権額からある程度の手数料を差し引いた金額を、企業が即日または数日中に受け取ることができます。
ファクタリングのメリットは次の通りです。
- 売掛債権を早期に現金化できる
- 売掛債権の管理コストや回収リスクを軽減できる
- 担保が不要なため、比較的利用しやすい
一方、デメリットとしては次の点が挙げられます。
- 手数料が発生するため、売掛債権の満額を受け取ることができない
- ファクタリング会社による審査があり、利用できない場合がある
- 取引先にファクタリングを利用していることが知られる可能性がある
ファクタリングは、売掛債権を早期に現金化したい場合や、回収リスクを軽減したい場合に有効です。特に、銀行融資の審査が通りにくい企業や、急な資金需要が発生した場合などに利用されることが多いです。
ただし、手数料分だけ受け取り額が減少することや、ファクタリング会社の審査に通らない可能性があることを理解しておく必要があります。また、取引先との関係性への影響にも配慮が必要です。
補助金や助成金
補助金や助成金は、国や地方自治体などが特定の目的や条件を満たす事業者に対して交付する資金援助です。補助金や助成金を活用することで、設備投資や研究開発、人材育成などに必要な資金を調達することができます。
補助金や助成金のメリットは次の通りです。
- 返済が不要な資金を得られる
- 事業の成長や競争力強化につながる
- 資金調達のための担保や保証人が不要
一方、デメリットとしては次の点が挙げられます。
- 申請から交付までに時間がかかる
- 申請書類の作成や報告書の提出など、手続きが煩雑
- 交付後も、資金の使途や成果報告などの義務がある
- 競争率が高く、採択されるとは限らない
次に、具体的な補助金や助成金の例を紹介します。
1. 事業再構築補助金
新分野展開や業態転換、事業・業種転換などの取組、事業再編又は取組を通じた規模の拡大などを目指す企業・団体などの新たな挑戦を支援する補助金です。
出典:事業再構築補助金
2. ものづくり補助金
中小企業・小規模事業者などが取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資などを支援する補助金です。
出典:ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
3. IT導入補助金
中小企業・小規模事業者などがITツール(ソフトウェア、サービスなど)を導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートする補助金です。
出典:IT導入補助金2023
固定資産や事業の売却
固定資産や事業の売却は、企業が保有する不動産、設備、在庫などの資産や、事業の一部または全部を売却することで資金を調達する方法です。特に、M&A(合併・買収)による事業譲渡は、事業の継続と従業員の雇用を維持しながら、資金調達を行うことができる手段として注目されています。
固定資産や事業の売却のメリットは次の通りです。
- 多額の資金を一括で調達できる可能性がある
- 黒字事業を売却することで、キャッシュフローを改善できる
- 株式譲渡の場合、負債を買手企業に引き継ぐことができる
- 事業の一部を売却することで、経営資源を集中させられる
一方、デメリットとしては、次の点が挙げられます。
- 売却した資産や事業を失うことになる
- 売却価格が期待通りにならない可能性がある
- 売却先の探索やデューデリジェンス(調査)に時間とコストがかかる
- 従業員や取引先への影響を考慮する必要がある
M&Aによる事業譲渡は、特に黒字事業を売却することで、キャッシュフローを改善できる可能性があります。また、株式譲渡の場合、負債を買手企業に引き継ぐことができるため、債務超過に陥っている企業にとっては有効です。
ただし、事業売却には時間とコストがかかるため、早めに準備を始める必要があります。また、売却先の選定や条件交渉には専門的な知識が必要となるため、M&Aに精通した仲介業者やコンサルタントに助言を求めましょう。
事業再生
事業再生は、収益性の改善と債務の圧縮を同時に行うことで、企業の再建を図る手法です。
私的整理における事業再生では、次のようなスキームが活用されます。
- 債権カット:借入金の一部を債権者が放棄することで、債務を圧縮する方法
- DDS(デット・デット・スワップ):借入金の一部を劣後債権に切り替え、返済期限を長期化することで、一時的な返済負担を軽減する手法
- DES(デット・エクイティ・スワップ):借入金の一部を株式に転換することで、債務を圧縮し、自己資本を増強する方法
これらの手法を組み合わせることで、債務を大幅に圧縮しつつ、キャッシュフローを改善することが可能です。ただし、債権者の同意を得る必要があるため、綿密な交渉と、実現可能な事業再生計画の策定が求められます。
債務整理を実施する
債務整理には私的整理と法的整理の2種類があります。私的整理は裁判所を介さず、債権者と直接交渉して債務を整理する方法です。一方、法的整理は裁判所の関与のもと、法的手続きに則って債務を整理します。
私的整理には任意整理や特定調停などがあります。債権者との合意のみで成立するため、柔軟な対応が可能です。法的整理には民事再生や会社更生、破産などがあります。再建型の民事再生や会社更生では、事業を継続しながら債務を圧縮し、経営の立て直しを図ります。清算型の破産では、事業を清算し、債権者への配当を行います。
法人破産の場合、管財人により換価可能な資産が処分され、債権者への配当に充てられます。債務が残っても法人が消滅することで、残債務は免責されます。ただし、経営者の連帯保証債務は免責されないため、経営者個人の破産手続きが必要です。
コロナ融資を返済するための対策
コロナ融資の返済に行き詰まった場合、早めに対策を始めましょう。ここでは、返済を確実に行うための対策として、会社の財務状況の把握と弁護士への相談について解説します。対策を講じることで、返済の目処を立て、最悪の事態を避けることができるでしょう。
- 早期の対策が重要
- 会社の財務状況を把握することで、返済の目処を立てられる
- 弁護士への相談により、最悪の事態を避けられる可能性がある
会社の財務状況をしっかり把握すること
会社の財務状況を正確に把握することは、コロナ融資の返済対策において重要です。まずは、現在の借入金残高と返済金額、返済期日を確認しましょう。また、資金繰りの悪化によって、税金や社会保険料、従業員の給与などの支払いが滞っていないかについてもチェックが必要です。
未払いが発生している場合は、その金額と期日も正確に把握してください。情報を整理することで、会社の債務状況が明確になり、返済計画を立てる際の基礎データとなります。
また、資金繰り表を作成し、今後の収入と支出を予測することをおすすめします。売上の見通しと、固定費や変動費などの支出を詳細に分析し、キャッシュフローを把握します。キャッシュフローを把握することで、返済に充てられる資金がどの程度あるのか、いつ頃まで返済が可能なのかが見えてきます。
財務状況の把握は、経営者自身で行うことが基本ですが、専門的な知識が必要な場合は、税理士や公認会計士などの専門家に相談するのも一つの方法です。外部の視点を取り入れることで、より正確な分析と対策立案が可能です。
弁護士に相談する
コロナ融資の返済に関する問題は、単なる資金繰りの問題だけではなく、法的な債務の問題でもあります。そのため、債務の観点から問題を解決するためには、弁護士に相談することが非常に有効です。
弁護士は、債務整理や事業再生などの法的手続きに精通しており、企業の状況に応じた最適な解決策を提案してくれます。例えば、債権者との交渉を弁護士に依頼することで、リスケジュールや債務の一部免除などの合意を得られる可能性があります。また、弁護士が介入することで、債権者からの過剰な取り立てを防ぐこともできます。
さらに、弁護士は、裁判所を通じた法的整理の手続きにも対応可能です。民事再生や会社更生、破産などの手続きを検討する際は、弁護士のサポートが不可欠です。弁護士は、手続きの選択や申立書類の作成、裁判所との折衝などを行い、スムーズな手続きの進行をサポートします。
加えて、弁護士は、経営者個人の保証債務についてのアドバイスも行います。経営者が個人保証を行っている場合、会社の債務整理だけでは問題が解決しない可能性があります。弁護士は、経営者の個人保証債務についても、債権者との交渉や法的整理の手続きを通じて、解決を図ることができます。
まとめ
コロナ融資の返済に行き詰まった場合の対処法と対策について解説しました。ポイントは次の通りです。
- コロナ融資は実質無利子・無担保で借入れできる制度だが、返済に苦しむ企業も増加している
- 返済が滞ると、督促状の送付、遅延損害金の発生、一括返済請求などのリスクがある
- 返済が難しい場合の対処法には、コロナ借換保証の活用、公庫融資借換特例制度の利用、借り換えや追加融資の検討、リスケジュール交渉などがある
- 融資以外の資金調達方法として、クラウドファンディング、ファクタリング、補助金・助成金、固定資産・事業の売却などが考えられる
- 事業再生や債務整理も選択肢の一つだが、メリット・デメリットを十分に理解する必要がある
- 返済を確実に行うためには、早期の対策が重要で、会社の財務状況の正確な把握と弁護士への相談が有効である
コロナ融資の返済問題は、経営者にとって大きな負担となります。しかし、早期に適切な対策を講じることで、問題の解決や事業の再建が可能となります。返済に悩んだら、一人で抱え込まずに、専門家のアドバイスを求めましょう。本記事が、コロナ融資の返済問題に直面する経営者の一助となれば幸いです。
▼監修者プロフィール
岩下 岳(S&G株式会社 代表取締役) S&G株式会社
新卒で日立Gr.に入社。同社の海外拠点立上げ業務等に従事。
その後、東証一部上場のM&A仲介業界最大手の日本M&Aセンターへ入社ディールマネージャーとして、複数社のM&A(株式譲渡・事業譲渡・業務提携等)支援に関与。IT、製造業、人材、小売、エンタメ、建設、飲食、ホテル、物流、不動産、サービス業、アパレル、産業廃棄物処分業等、様々な業界・業種でM&Aの支援実績を有する。現在はS&G代表として、M&Aアドバイザー、及び企業顧問に従事している。