個人が会社を買う方法や流れは?メリット・デメリットも詳しく解説!
「個人が会社を買うメリット・デメリットは?」
「個人が会社を買う方法や流れは?」
と疑問を抱いている方のために、本記事で下記の項目を解説します。
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- 個人が会社を買うメリット・デメリット
- 個人が会社を買う4つの方法
- 個人が会社を買う8つの流れ
個人が会社を買うには、メリットと合わせてデメリットを理解することが重要です。
デメリットを理解しないまま会社を買うと、あとで多額の借金を抱えたり、スムーズに運営できなかったりする可能性があります。
本記事で解説する個人が会社を買うデメリットや方法・流れを理解して行動すれば、スムーズに事業をスタートできるので個人資産を増やせるでしょう。
目次
個人が会社を買うとは?
個人が会社を買うとは、一般的に会社の経営権の獲得とともにその会社の株式を取得することで、M&Aとも言われます。
具体的に個人が会社を買う方法については、本記事の「個人が会社を買う4つの方法」で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
個人が会社を買う3つのメリット
個人が会社を買うメリットは、下記の3つです。
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- すぐに事業をスタートできる
- 個人資産を増やせる可能性がある
- 経営スキルが向上する
次項で個人が会社を買うメリットについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
1.すぐに事業をスタートできる
個人が会社を買うメリットは、すぐに事業をスタートできる点です。
一から事業を立ち上げる場合、従業員を雇って必要な設備を揃える必要があるため、多額の資金と手間がかかります。
また、会社設立をした場合は、設立登記や税金関係、社会保険などさまざまな手続きも必要です。
しかし、すでに事業をしている会社であれば必要な人材や設備などが揃っており、会社設立の手続きも不要です。
会社を買うことによって、手間やコストを抑えて事業をスタートできます。
2.個人資産を増やせる可能性がある
個人が会社を買うと役員報酬や将来的な売却益を得られるため、個人資産を増やせる可能性があります。
一般的に会社の利益や従業員が増えると役員報酬も上がりやすいです。
また、経営がうまくいき企業価値が高くなったタイミングで会社を売ると、買収したときよりも高く売れる可能性があり売却益を得られます。
そのため、個人が会社を買って経営が軌道に乗ると、個人資産を増やせる可能性があります。
3.経営スキルが向上する
個人が会社を買うメリットは、経営スキルが向上する点にもあります。
実際に会社の経営に携わりながら成功・失敗を経験するので、本やセミナーで勉強するのとは違い、よりリアルな気づき・学びを実感できるでしょう。
経営スキルを向上させることで、さらなる事業拡大や、新しいビジネスへの挑戦にも活かせます。
個人が会社を買う3つのデメリット
個人が会社を買うデメリットは、下記の3つです。
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- 多額の借金を抱える可能性がある
- 一から事業をスタートできない
- 手続きが難しい
次項で個人が会社を買うデメリットについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
1.多額の借金を抱える可能性がある
個人が会社を買うためにはある程度の資金が必要になるので、多額の借金を抱える可能性があります。
銀行から借入を行い会社を買収したとしても、経営がうまくいかないと借金だけが残ります。
また、簿外債務といって、未払いの退職金や残業代・給与などの帳簿に計上されていない予期せぬ債務を抱える可能性もあるでしょう。
基本的に資産状況は帳簿に記載されますが、中には税金を減らすために利益を少なく見せる会社や、支払いが必要な債務に気づいていない場合もあります。
多額の借金を抱えないために、事前にデューデリジェンスを実施して正確な企業価値や簿外債務がないかを調査しておきましょう。
2.一から事業をスタートできない
一から事業をスタートできない点も、個人が会社を買うデメリットです。
個人が会社を起業する場合は、一から自分自身の采配で好きなように事業を進めていけます。
しかし、すでにある既存の会社を買う場合はすぐに事業をスタートできるメリットがある一方で、買収した会社の事業をベースに進めていかなければいけません。
自分のやりたいことや適正にあっていないビジネスは、進めていくのが難しい可能性もあります。
個人が会社を買う際は、一から事業をスタートできない点も考慮したうえで、慎重に判断しましょう。
3.手続きが難しい
個人が会社を買うデメリットは、手続きが難しいという点もあります。
会社買収時はさまざまな手続きが必要ですが、法律や会計・事業譲渡などに関する詳しい知識がない方が多いでしょう。
そのため、M&Aに携わる専門家や仲介会社に相談するのが一般的ですが、その分費用も発生します。
買収手続きに詳しくない場合は、M&Aに携わる専門家や仲介会社に相談・代行してもらう費用が発生する点も認識しておく必要があります。
個人が会社を買う4つの方法
個人が会社を買う方法は、下記の4つです。
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- M&A仲介会社
- M&Aマッチングサイト
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- 金融機関または弁護士などに相談
次項で個人が会社を買う方法について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
1.M&A仲介会社
M&A仲介会社は、事業の買手と売手の間に入って交渉や手続きなどをサポートしてくれます。
M&A仲介会社を利用する最大のメリットは、多数の買収先候補から条件にマッチした企業先を紹介してくれる点です。
M&Aマッチングサイトなどを活用し、自分で買収先を見つけるのは可能ですが、多数ある買収先候補から条件に合った買収先を見つけ出すのは容易ではなく時間もかかります。
また、個人が会社を買うには、会計・税務・法務などさまざまな知識も必要です。
M&A仲介会社なら専門的な知識をもったアドバイザーが、トラブルが起きないようにサポートしてくれます。
一方で、条件に合った買収先の見つけやすさやサポート面は充実しているものの、M&Aマッチングサイトと比べると費用が高いというデメリットがあります。
M&Aの案件規模によって異なりますが、一般的に費用は少なくても数百万〜数千万円はかかるでしょう。
そのため、個人で会社を買う方法としては、資金に余裕がある人におすすめと言えます。
2.M&Aマッチングサイト
M&Aマッチングサイトとは、オンライン上で事業の買手と売手をマッチングしてくれるサービスです。
会員登録すれば買手と売手どちらもそれぞれの情報を確認でき、気になった相手に直接交渉ができます。
自分で相手企業についてリサーチするという手間はあるものの、M&A仲介会社などと比べて費用を抑えられる点がメリットと言えるでしょう。
M&Aの案件は数百万円の小さいものからあるので、個人で会社を買おうとしている人にとって買収先を探しやすいのも魅力です。
とはいえ、マッチング後の交渉や手続きのサポートなどは、M&A仲介会社より劣る可能性があります。
中には、専門家への相談は別途費用が発生するM&Aマッチングサイトもあります。
そのため、M&Aマッチングサイトを利用する場合は、相手との交渉や買収の手続きなどどこまで対応してもらえるかを事前に確認しておくのがよいでしょう。
3.事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継・引継ぎ支援センターとは、後継者不足に悩む中小企業などに対してM&Aや事業承継によるサポートを行う国の事業です。
国が運営する事業のため安心して利用でき、買収に関して専門家に無料で相談できる点がメリットと言えます。
ただし、買収先の候補が決まった後の交渉や手続きなどのサポートはありません。
そのため、相談後はM&Aの仲介会社や専門家に改めて依頼することが必要になるでしょう。
4.金融機関または弁護士などに相談
個人が会社を買う方法の4つ目は、金融機関または弁護士などに相談することです。
実は、ほとんどの金融機関でM&Aや事業承継に関する相談窓口があります。
弁護士や税理士なども専門的な知識を備えているので、相談内容によっては対応してもらえるでしょう。
とはいえ、金融機関によるM&Aサービスの費用は業界水準より高かったり、弁護士や税理士などは相談から契約までを一貫してサポートできなかったりします。
金融機関や弁護士などに知人がいる場合に相談をするのはよいですが、そうでない場合は、はじめからM&Aの仲介会社やマッチングサイトを利用するのが無難です。
個人が会社を買う8つ流れ
個人が会社を買う流れは、下記の通りです。
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- 事前準備
- 会社探し
- 条件交渉・売買交渉
- 秘密保持契約書の締結
- 基本合意書を締結
- デューデリジェンスの実施
- 最終契約書の締結
- クロージング・代金支払い
次項で個人が会社を買う流れについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
1.事前準備
まずは、個人が会社を買うための事前準備が必要です。
具体的に決めておく内容は、下記の通りです。
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- 予算(M&A仲介会社などを利用する場合の予算も含める)
- 業種
- 目的
- 交渉の条件
これらをすべて決めたら、いよいよM&Aの仲介会社やマッチングサイトなどに相談するフェーズに入ります。
2.会社探し
事前準備が整ったら、本格的に買収する会社を探しましょう。
会社を探す方法は、本記事の「個人が会社を買う4つの方法」で詳しく解説していますが、具体的には下記の通りです。
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- M&A仲介会社
- M&Aマッチングサイト
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- 金融機関または弁護士などに相談
多数ある買収先の情報を個人で調べるのには限界があるので、基本的に上記で記載している方法で探すのがよいでしょう。
M&Aマッチングサイトであればリサーチする手間を省けて、個人が買えるような数百万円の案件もあるのでおすすめです。
ただし、この段階では買収先候補の社名や経営状況など詳しい情報までは見れないので、交渉先との秘密保持契約書の締結後に詳しくリサーチする必要があるでしょう。
3.条件交渉・売買交渉
買収したい候補が決まったら、会社を買いたい意思や条件などを提示して条件交渉・売買交渉を行いましょう。
M&Aマッチングサイトを利用している場合は、サイトのメッセージを通して希望の相手に買収の意思を伝えます。
M&A仲介会社を利用している場合は、専任のアドバイザーが条件交渉・売買交渉などすべて対応してくれるケースが多いです。
4.秘密保持契約書の締結
交渉相手が決まったら、秘密保持契約書の締結をしましょう。
秘密保持契約書の締結とは、買手・売手ともに会社の情報を外部に漏らさないことを約束する契約です。
また、買収成立前に情報が漏れて、社員に余計な不安を与えないように情報をオープンにしないという目的もあります。
秘密保持契約書の締結後は、買手・売手それぞれ相手の経営状況など詳細な情報を確認できます。
5.基本合意書を締結
買手・売手どちらもが条件を承諾しM&Aを進めることが決まったら、基本合意書を締結しましょう。
基本合意書とは、正式な契約の前に結ぶ仮契約のようなもので秘密保持や独占交渉権の付与など、重要な項目のみに法的拘束力をもたせる役割もあります。
6.デューデリジェンスの実施
基本合意書を締結したら、デューデリジェンスの実施をしましょう。
デューデリジェンスとは、財務・法務・税務などさまざまな面から買収先を調査することです。
開示されている情報の信憑性や買収後のトラブルになり得る問題、将来的な経営リスクなど正確な企業価値を把握できます。
とくに、買収後に簿外債務を引き継いでしまったという問題はよくあるので、最終契約書を締結する前に必ずデューデリジェンスを実施しておきましょう。
7.最終契約書の締結
デューデリジェンスの実施後、とくに問題がなければ最終的な条件や交渉の確認を行い、最終契約書の締結をしましょう。
一方で、デューデリジェンスで問題が発覚した場合は、下記のような判断や対策が必要です。
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- 買収の話を破談にする
- 発覚した問題に応じて、売却金額を減額してもらう
- 今後トラブルに繋がりそうな問題がある場合は、損害賠償請求条項を厳密にする
最終契約書を締結した時点で契約は成立するため、どちらにせよデューデリジェンス後の決断は慎重に行いましょう。
8.クロージング・代金支払い
最終契約書の締結が完了したら、クロージング・代金支払いを行いましょう。
具体的には、株式譲渡・事業譲渡といった手続きや売却金額の支払いです。
クロージング・代金支払いが無事に完了すれば、会社を買う(M&A)流れは終了です。
個人が会社を買う場合はメリットだけでなくデメリットも理解しよう
本記事では、個人が会社を買うメリット・デメリットや方法、流れなどについて紹介してきました。
個人で会社を買うと、すぐに事業をスタートできたり個人資産を増やせたりなどのメリットはありますが、買収先の判断や経営に失敗すると多額の借金を抱える可能性もあります。
そのため、個人で会社を買う場合は、メリットだけでなくデメリットも理解したうえで買収先を判断するのが大切です。
本記事で紹介した「個人が会社を買う4つの方法」を活用すれば、リスクの少ない案件を紹介してくれたり、手続きを代行してくれたりするので安心して会社を買えます。
とはいえ、M&Aの仲介会社やマッチングサイトの利用には費用がかかるので、自分の予算と相談しながら上手に活用して安心できる買収先を見つけましょう。
ディスクリプション
本記事を読めば個人が会社を買うメリット・デメリットがわかります。合わせて個人が会社を買う注意点や方法・流れも詳しく解説しているので、会社を買おう(M&A)と検討している人は、ぜひ参考にしてください。
▼監修者プロフィール

岩下 岳(S&G株式会社 代表取締役) S&G株式会社
新卒で日立Gr.に入社。同社の海外拠点立上げ業務等に従事。
その後、東証一部上場のM&A仲介業界最大手の日本M&Aセンターへ入社ディールマネージャーとして、複数社のM&A(株式譲渡・事業譲渡・業務提携等)支援に関与。IT、製造業、人材、小売、エンタメ、建設、飲食、ホテル、物流、不動産、サービス業、アパレル、産業廃棄物処分業等、様々な業界・業種でM&Aの支援実績を有する。現在はS&G代表として、M&Aアドバイザー、及び企業顧問に従事している。