後継者探しの方法・決め方やマッチングサイトのメリット・デメリットも解説

「後継者はどのように探したらいいの?」「マッチングサイトで後継者を探すメリットは?」というように、事業承継にともなう後継者探しで悩まれている人は多いことでしょう。

後継者探しの方法は主に5つあり、方法ごとにメリットやデメリットがあります。

本記事では、後継者探しの方法・決め方、マッチングサイト利用時のメリット・デメリットについて解説します。後継者の不在に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

後継者探しの方法5選

後継者探しには、次の5つの方法があります。

    • 親族内で後継者を探す
    • 従業員内で後継者を探す
    • 事業承継・引継ぎセンターで後継者を探す
    • M&A仲介会社に後継者を探してもらう
    • マッチングサイトで後継者を探す

後継者不在でも探す方法があります。どのような方法で後継者を探したらよいのか確認し、後継者を見つけていきましょう。

親族内で後継者を探す

後継者を探すときには、親族内で事業承継してくれる人がいないか確認しましょう。

会社に勤務している親族であれば、経営状態や社風などを理解している人が多くいます。そのため、従業員や第三者に比べると、後継者になってくれやすいといえます。しかも、親族を後継者にすれば従業員に受け入れてもらいやすく、社内に混乱を招く可能性は多くありません。

ただし、親族を後継者にする場合、選択肢が狭まってしまうことには注意しましょう。家族経営でなければ、親族の人数は従業員よりも少なくなるはずです。少ない親族の中に優秀な人材がいればいいのですが、場合によっては誰も後継者としての資質を持ってないかもしれません。後継者としての選択肢が少ないのは、親族に事業承継するデメリットといえます。

従業員内で後継者を探す

後継者が不在の場合、従業員の中に後継者となってくれる人材がいないか確認しましょう。

従業員は経営方針や社風などを理解しており、事業承継に前向きな人が多くいます。しかも、内情を理解していることで、事業承継後の経営方針も引き継いでくれる可能性が高いといえます。

従業員は一般的に親族よりも人数が多く、優秀な人材に引き継ぎやすいというのもメリットです。

しかし、会社の経営方針を受け継いでしまい、発展を阻害してしまうケースもあります。業績の改善を目的に事業承継をする場合、目的を達成しにくくなるおそれもあるため注意しなければなりません。

また、従業員には資金がなく、株式の譲渡が進まない可能性もあります。株式を購入するには、多額の資産を保有している人材が必要です。

事業承継・引継ぎ支援センターで後継者を探す

親族や従業員の中から後継者を見つけられなければ、「事業承継・引継ぎ支援センター」に相談してみましょう。

事業承継・引継ぎ支援センターとは、国が設置した公的な相談窓口であり、次のような業務を行っている機関です。

    • 親族内承継支援
    • 第三者承継支援
    • 後継者の人材バンクの運営

事業承継・引継ぎ支援センターは、後継者不在の相談から事業計画策定のサポートまで幅広い業務を行っています。

相談件数は累計で10万件を超えており、相談件数も年々伸びています。また、事業承継に成功した会社の約7割が小規模事業者という実績があり、規模の小さい会社の引き継ぎに強みを持っている機関です。

M&A仲介会社に後継者を探してもらう

M&Aを実施する場合は、M&A仲介会社に後継者を探してもらいましょう。

M&Aとは、買収合併のことであり、株式譲渡や事業譲渡等により社外の第三者に引き継がせる方法です。

M&Aは第三者が吸収会社となり、シナジー効果が高い会社を買収する目的で行います。M&Aが成立するということは高いシナジー効果を得られることにつながり、事業の発展を見込むことが可能です。外部と合併することで、新たな戦略が得られる可能性もあります。

ただし、M&Aには高度の知識やノウハウが必要であり、一般的にはM&A仲介会社を利用して進めていく必要があります。

マッチングサイトで後継者を探す

全国から広く後継者を探したい場合は、マッチングサイトの利用を検討しましょう。

後継者探し用マッチングサイトは、後継者になりたい人が多く登録されています。全国から後継者になりたい人が集まるため、幅広く後継者を探すことが可能です。

また、マッチングサイトの多くは後継者を探すだけでなく、事業承継についてのサポートをしています。後継者を見つけるだけでなく、事業承継のサポートまで受けたいという人はマッチングサイトの利用がおすすめです。

もしマッチングサイトで後継者を探すのであれば、「TSUNAGU」の利用をご検討ください。「TSUNAGU」は相談料・着手金は無料で事業承継のサポートを実施しています。数十社のM&A仲介会社の比較もでき、さまざまなご要望に対応できるサービスを展開しています。

後継者の決め方

後継者の決め方は、次のように誰に後継者となってもらうかによって異なります。

    • 親族に後継者となってもらう場合
    • 従業員に後継者となってもらう場合
    • 第三者に後継者となってもらう場合

ここからは、後継者の決め方をケース別に分けて解説します。後継者が不在の場合は、まず、後継者の決め方を確認してから、適切な人材を探しましょう。

親族に後継者となってもらう場合

親族に後継者となってもらう場合は、早くから会社で実務経験を積ませましょう。

親族は人数が少ないため、後継者として適切かどうかを見定める必要があります。早くから社内で経験を積めば、適切かどうかが判断できるだけでなく、優秀な人材へと成長する可能性があります。

また、早めに社内で働くことにより、従業員の不安も解消することが可能です。勤務経験がない親族を急に後継者として指名するのは、従業員にとって不安材料になってしまいます。しかし、後継者候補が社内で働いていれば、どのような人なのかが周知でき、従業員の不安を最小限に抑えられます。

従業員に後継者となってもらう場合

従業員に後継者となってもらう場合は、後継者として適任なのか慎重に判断しましょう。

従業員が後継者となる場合、一般的に勤務経験が長い人か営業成績がいい人が選ばれます。

しかし、勤務経験が長い人、営業成績のいい人が必ずしも経営者に向いているとはいえません。

また、従業員全員が後継者となるのを前向きに捉えているとも限りません。

従業員を後継者にする場合、経営者としての資質があるか見定め、後継者候補が事業承継に前向きかどうかも確認しておく必要があります。

第三者に後継者となってもらう場合

第三者に後継者となってもらう場合は、M&A仲介会社とともに事業承継の計画を立てましょう。

第三者を後継者とする場合、第三者が後継者として適切かどうかの判断は困難です。そして、自社の経営方針や社風を理解してもらうことも難しいといえます。そのため、第三者への事業承継を行う際には、M&A仲介会社などの専門家にサポートしてもらいながら進めていきます。

サポートを依頼するM&A会社によって事業承継が成功するかどうかが変わるため、M&A仲介会社の選択は慎重に行いましょう。実績を調べるのはもちろんのこと、口コミや評判、サポート体勢などさまざまな面を確認し、複数のM&A仲介会社を比較して検討しましょう。

後継者探しを成功させるポイント

後継者探しを成功させるポイントは、次のとおりです。

    • 経営者として適任か見定める
    • 後継者の育成にどのくらいの時間が必要が見極める
    • 事業承継の専門家に相談する

後継者探しをする目的は、事業承継を成功させることです。事業承継をスムーズに進めるためにも、後継者探しを成功させるポイントを確認しておきましょう。

経営者として適任か見定める

後継者探しを成功させるには、経営者としての資質があるか見定めなければなりません。

経営者として成功するには、経営者としての資質が必要であり、事業を発展させていく能力や、従業員に信頼される能力を兼ね備えていなければなりません。

従業員に信頼される力がないと会社はうまく回らず、多くの退職者を出してしまうケースもあります。

経営者としての能力があるかどうか見定めるのには時間を要するため、後継者候補を早く見つけ、経営者としての資質があるのかじっくりと見定めることが大切です。

後継者の育成にどのくらいの時間が必要が見極める

事業承継をスムーズに進めるには、後継者の育成にどのくらいの時間が必要か見極めることが大切です。

後継者が事業承継をすぐに行えるほど優秀な人材であるのは稀であり、通常は5年〜10年程度の育成期間が必要といわれています。

また、育成期間は後継者によって異なり、どの程度の期間育成に時間をかけるのか見極めなければなりません。

後継者の育成期間や、事業承継にどの程度時間がかかるのかを見極めれば、スムーズな引き継ぎの実現が可能です。

事業承継の専門家に相談する

優秀な人材を探すためにも、事業承継の専門家に相談しつつ後継者探しを行いましょう。

事業承継を成功させるには優秀な人材探しが必要であり、後継者を見つけた後の手続きもスムーズに行うことが大切です。

しかし、事業承継にともなう手続きをスムーズに行うには、法律や税金、会社経営などの高度な知識を理解していなければなりません。すべての内容を理解するのは困難であることから、一般的にはマッチングサイトやM&A仲介会社のサポートを受けて進めていきます。

専門家のサポートを受けることで事業承継がスムーズに進み、成功する可能性も高まります。

後継者探し用マッチングサイトのメリット

後継者探し用マッチングサイトのメリットは、次のとおりです。

    • 全国から後継者を探すことができる
    • さまざまなアドバイスが受けられる
    • スピーディーなM&Aが実現できる

後継者探しの方法に対する需要は高く、いくつものマッチングサイトがあります。マッチングサイトを活用する際には、どのようなメリットがあるのか理解しておくことが大切です。

全国から後継者を探すことができる

マッチングサイトを利用すれば、全国から後継者を探すことが可能です。

事業承継を行う場合、今までは親族や従業員が主な後継者でした。少子高齢化が進む前であれば親族や従業員から後継者を選ぶのは有効な手段でしたが、現代では後継者の選択肢が狭まってしまうことで第三者への事業承継が増えています。

マッチングサイトの需要が高まっており、多くの会社が登録しています。登録されている会社は全国にわたるため、優秀な人材やよい売却条件を探すことが可能です。

さまざまなアドバイスが受けられる

マッチングサイトのサービスを利用すれば、さまざまなアドバイスを受けることが可能です。

マッチングサイトの多くはマッチングサービスだけでなく、事業承継に必要なサポート体制を整えています。

サポート体制はマッチングサイトによるものの、提携しているM&Aコンサルティングや、税理士などから無料でアドバイスを受けられるサービスを実施しています。

事業承継には高度な知識が必要であるため、後継者を探しつつ専門家の意見を聞けるのは大きなメリットです。

スピーディーなM&Aが実現できる

マッチングサイトを利用すると、スピーディーなM&Aが実現が可能です。

マッチングサイトの買い手登録者数は、M&A仲介会社の顧客数よりも多いケースもあります。そのため、後継者候補の数が多ければ多いほど、事業承継の希望にあう会社が見つかる可能性が高くなります。

事業承継の希望があえば引き継ぎに必要な交渉がまとまりやすくなり、スピーディーなM&Aを行うことも可能です。

後継者探し用マッチングサイトのデメリット

後継者探し用マッチングサイトのデメリットは、次のとおりです。

    • マッチングサイト運営会社に費用を払なければならない
    • 後継者が必ず見つかるわけではない
    • マッチングサイトによってサポート体制が異なる

マッチングサイトには多くのメリットがあるものの、デメリットもあります。マッチングサイトを利用する際にはデメリットの内容も確認し、後継者探しの方法として活用するのか判断することが大切です。

マッチングサイト運営会社に費用を払なければならない

マッチングサイトで後継者を探すと、売り手会社でも運営会社に費用を払わなければならないケースがあります。

費用の支払いのタイミングや金額はマッチングサイトごとに異なるため、支払い内容を必ず調べておかなければなりません。

マッチングサイトによっては譲渡金額の割合によって金額が決まったり、サイトに登録するだけで月額料金が発生したりと、さまざま費用体系が設定されています。

利用するマッチングサイトによっては多額の費用を見込まなければならないため、サイトごとの費用を比較しましょう。

後継者が必ず見つかるわけではない

マッチングサイトを利用したからといって、後継者が必ず見つかるとは限りません。

マッチングサイトには多くの会社が登録しているものの、条件のあう会社が存在するかどうかはわかりません。

とくに自社の経営状態が不安定だったり、買い手に求める要望が高すぎたりすると、マッチングサイトを利用しても後継者が見つからない可能性があります。

マッチングサイトで後継者の不在を解消できるかどうかは、自社の状態や条件によることも覚えておきましょう。

マッチングサイトによってサポート体制が異なる

マッチングサイトによってサポート体勢が異なり、必ずしも満足できるサービスを受けられるわけではありません。

M&A仲介会社に事業承継を依頼すれば専任の担当者がつくものの、マッチングサイトでは専任の担当者がつかないケースがほとんどです。後継者候補探しから事業承継完了まで、すべての工程をサポートしてくれないケースもあります。

また、専門家のサポートを受けるのはオプションとなっており、別途費用がかかることもあるため注意しなければなりません。

マッチングサイトを利用するときには、どこまでサポートしてくれるのか確認し、利用後のトラブルを防止しましょう。

後継者探しをするときには探索方法を理解しておくことが大切

事業承継を検討するにあたって後継者が不在であれば、後継者を探すところから計画を立てていかなければなりません。

後継者を探す方法はマッチングサイトを利用するなど、いくつかの方法があります。探索方法のメリット・デメリットを理解し、自社の計画にあった方法を利用しましょう。

また、後継者は誰でもいいということはなく、適切な人材に事業承継しなければなりません。

後継者探しの方法を理解しどのような後継者を選べばいいのか判断することで事業承継が成功するかどうかが決まりますので、記事を参考に後継者を探してみてください。

ディスクリプション

事業承継したいが後継者探しの方法がわからない、後継者の決め方がわからない人が多いでしょう。本記事では後継者探しの方法や決め方、マッチングサイトのメリット・デメリットを解説しますので、後継者について悩んでいる人はぜひ参考にしてください。

▼監修者プロフィール

岩下 岳

岩下 岳(S&G株式会社 代表取締役) S&G株式会社

新卒で日立Gr.に入社。同社の海外拠点立上げ業務等に従事。
その後、東証一部上場のM&A仲介業界最大手の日本M&Aセンターへ入社ディールマネージャーとして、複数社のM&A(株式譲渡・事業譲渡・業務提携等)支援に関与。IT、製造業、人材、小売、エンタメ、建設、飲食、ホテル、物流、不動産、サービス業、アパレル、産業廃棄物処分業等、様々な業界・業種でM&Aの支援実績を有する。現在はS&G代表として、M&Aアドバイザー、及び企業顧問に従事している。