滋賀県の事業承継・M&Aの動向|後継者がいない会社の成功事例を解説
「滋賀県で会社を営んでいるが後継者がいない」「滋賀県の事業承継の動向が知りたい」というように、滋賀県で事業承継について悩んでいる経営者もいるのではないでしょうか。
滋賀県で事業承継するには、滋賀県の事業承継の動向や成功事例を知ることが大切です。
本記事では、滋賀県の事業承継の動向や後継者がいない会社の成功事例だけでなく、事業承継を成功させるポイントも解説します。滋賀県の経営者で事業承継に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
目次
滋賀県の産業に関連する現状
滋賀県の事業承継の動向を解説する前に、まずは滋賀県の産業に関連する現状を紹介します。
紹介する内容は、次のとおりです。
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- 滋賀県の人口
- 滋賀県の主な産業
- 滋賀県の事業所・従業員数
滋賀県の人口
2023年4月1日現在、滋賀県全体の人口は約140万人です。
滋賀県の人口は2013年頃をピークとして、徐々に減少していますが、減少率は大きくなく0%〜0.3%程度で推移しています。
2022年4月1日現在の人口と比べると、滋賀県全体で1,223人の減少しているもののやはり大きく減少しているとはいえません。
ただし、近年は出生率と死亡率の乖離が大きくなってきており、2023年は出生数よりも死亡者のほうが5,000人以上多くなっています。そのため、今後滋賀県の人口減少が加速するおそれもあります。
参考文献:滋賀県 滋賀県の人口と世帯数・滋賀県推計人口の概要
滋賀県の主な産業
滋賀県の主な産業は、製造業です。
滋賀県は製造業が非常に盛んであり、製造業に関して次の項目の出荷額が全国1位に該当しています。
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- 医薬品製剤(医薬部外品製剤を含む):7,694億8,400万円
- 強化プラスチック製板・棒・管・継手:199億2,400万円
- コンベヤ:1,235億9,800万円 など
上記の項目が一部であり、その他にも日本一の出荷額を誇る製品が多くあります。
また、滋賀県は、県内総生産に占める製造業の割合が44.4%で全国1位です。全国平均が20.9%ということを考えると、滋賀県は製造業がとくに盛んであることがわかります。
参考文献:滋賀県 滋賀県なんでも一番
滋賀県の事業所・従業員数
滋賀県の民営事業所数は、55,262 事業所(全国32位)、従業者数602,600人(全国25位)です。
民営事業所数は多くないものの従業員数は全国平均に近いことから、1事業所に勤務する従業員が11.5人(全国6位)と多いことを表しています。
ただし、事務所の従業員数でもっとも多いのは、1事業所あたり1〜4人で30,420事業所です。つまり、従業員の多い事務所と少ない事務所が極端に分かれているということです。
また、事務所を開設した時期は昭和59年以前がもっとも多く、長期間運営されていることもわかります。
このことから、滋賀県内の会社は後継者が不足している可能性が高く、経営者の年齢も高いのではないかという推測ができます。
参考文献:令和3年経済センサス-活動調査(確報)
滋賀県の事業承継・M&Aに関連する現状
「滋賀県の事業承継・M&Aに関する現状」で解説する内容は次のとおりです。
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- 滋賀県の経済状況
- 滋賀県の社長年齢平均
- 滋賀県の後継者不在率
滋賀県で事業承継を考えている人は、動向を参考にどのような対策を立てればよいのか検討してみましょう。
滋賀県の経済状況
滋賀県の令和5年10月〜12月の景況判断BSIでは、製造業と中堅企業の業績上昇が大きく改善すると見込まれています。令和5年1〜3月の予測の時点では各企業、どの業種とも業績が悪化すると見込んでいたため、令和5年中に業績が大きく改善、もしくは改善する見込みが立った企業が多いようです。
他の業種と会社規模の業績見込みも悪くなく、滋賀県全体の経済状況は悪くないといえるようです。
ただし、改善が進んだといっても非製造業の大企業や中小企業は大幅な改善が見られていません。製造業の中堅企業の改善が大きく、全体の改善割合を大きく引き上げているだけとも取れてしまいます。
滋賀県の社長年齢平均
滋賀県の社長の年齢平均は62.19歳です。
全国の社長の年齢平均は63.02歳であることから、全国よりも低い県です。近畿全体を見ても大阪府に続いて低い年齢であり、社長の年齢は決して高い水準ではありません。
しかし、60歳を超えていることから、事業承継を考えなければならない人は多くいるはずです。後継者の発見や育成には時間がかかるため、多くの企業で事業承継の検討を開始しなければならなくなっていることがわかります。
参考文献:東京商工リサーチ 2022年「全国社長の年齢」調査
滋賀県の後継者不在率
滋賀県の後継者不在率は52.9%です。
滋賀県の後継者不在率は近畿の中で一番高く、後継者不在率の低い京都府と比べると8.7%の開きがあります。
滋賀県の後継者不在率は高い水準であるものの、2000年を境に不在率は改善しています。2000年当時の後継者不在率は69.3%であり、多くの企業で後継者不足に陥っていました。しかし、内部昇格や第三者による事業承継の割合が高まりが、後継者不在率の大きな改善につながっています。
ただし、後継者不足解消のために配偶者に後継させるなど、苦し紛れの対策を取っている企業も含まれるため、依然後継者不足の問題は高いといえます。
参考文献:帝国データバンク 近畿企業の「後継者不在率」調査(2023年)
滋賀県で事業承継・M&Aを進める方法
滋賀県で事業承継・M&Aを進める方法は、次のとおりです。
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- マッチングサイトやM&A仲介会社を利用する
- 金融機関に相談する
- 公的機関にサポートしてもらう
後継者不在に悩んでいる経営者は、滋賀県で事業承継・M&Aを進める方法を確認し後継者を探していきましょう。
マッチングサイトやM&A仲介会社を利用する
後継者を探すのであれば、マッチングサイトやM&A仲介会社の利用を検討しましょう。
滋賀県は後継者不在率が高いものの、第三者の事業承継の割合が増えて不在率が改善してきています。そのため、第三者の後継者を探すために有用なマッチングサイトやM&A仲介会社の利用が効果的といえます。
マッチングサイトやM&A仲介会社を利用すれば、全国から広く後継者を探すことが可能です。滋賀県内で後継者を探しても見つからない場合、全国を対象として後継者を探すとよいでしょう。
なお、マッチングサイトとは後継者不在の企業と後継者希望の人をつなぐためのサイトであり、M&A仲介会社とはM&A(合併・買収)を希望する買い手企業と売り手企業をつなげる会社です。
金融機関に相談する
地元の後継者を探すのであれば、金融機関に相談してみましょう。
金融機関は地元に根ざした企業であり、地域の情報に精通しています。滋賀県内で後継者を探している人に合っている相談先です。
金融機関は融資前提で後継者を探してくれるため、事業承継にともなう融資を受けやすくなるのも利点です。
事業承継をする場合、企業のブラッシュアップや承継後の新規事業の取り組みなど多くの資金を要します。
金融機関に相談すれば、後継者不在の解消とともに、融資問題も解決できる可能性があります。
公的機関にサポートしてもらう
無料で後継者不在の相談をしたい場合は、公的機関に相談してみましょう。
近年、後継者不在で技術・ノウハウが途絶えてしまうことが問題となっており、国も後継者不足解消のための機関を設置して対策しています。
国が設置している機関の代表は「事業承継・引継ぎ支援センター」です。
事業承継・引継ぎ支援センターでは、無料で後継者不足の相談ができ、承継までのサポートをおこなってくれます。各都道府県に設置されており、滋賀県には大津市に設置されています。
滋賀県の事業承継・引継ぎ支援センターは、完全予約制を取っているため、相談するときにはあらかじめ連絡してから相談しにいきましょう。
滋賀県の事業承継事例
滋賀県の事業承継・M&A成功事例は、次のとおりです。
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- 和菓子・洋菓子・パンの製造販売会社【親族内承継】
- 生花の小売・委託販売・卸売会社【従業員承継】
- 琴糸・三味線糸の製造会社【第三者承継】
滋賀県内の会社の中には、後継者不在を解消し事業承継・M&Aに成功した会社もあります。どのような会社が、後継者を見つけ事業承継に成功したのか事例を見ていきましょう。
和菓子・洋菓子・パンの製造販売会社【親族内承継】
滋賀県の事業承継の成功事例として「和菓子・洋菓子・パンの製造販売会社の親族内承継」を、1つ目として紹介します。
滋賀県で3代続く和菓子・洋菓子・パンの製造販売会社の代表には跡継ぎがおらず、自分の代で会社は終わりかと考えていました。しかし、子どもが戻って仕事を手伝ってくれるようになり、子どもに菓子作りの才能があることに気付いたそうです。
子どもも親の体力など心配ごとがあり店を継ぎたいという思いはあったものの、親に仕事を辞めろというようで店を継ぎたいといえない日々を送っていました。
しかし、経営者のほうから事業承継について地元の信用金庫を通じ、事業承継の専門機関を紹介してもらい事業承継を開始します。
現在は、10年かけて承継を進めていく計画を実行しつつ、徐々に経営ノウハウなどを伝えていきながら承継を実行しています。
生花の小売・委託販売・卸売会社【従業員承継】
2つ目は「生花の小売・委託販売・卸売会社の従業員承継」です。
近畿地方で40店舗以上構える生花の小売・委託販売・卸売会社の経営者が、創業50年を迎えたのをきっかけに事業承継を開始した事例です。
子どもはサラリーマンとして働いており、誰に企業を継いでもらえばよいのか思案していました。しかし、結論が出ないため、地元の信用金庫に相談し、事業承継の専門家を紹介してもらい承継を開始します。
長期間勤務している従業員の中に以前自身で生花店を経営していた人がおり、後継者として引き継いでもらうことにしました。
事業承継の専門家にサポートを受け、販路や経営状況、設備などを見直して承継を進めたことで、会社を存続させることに成功しています。
琴糸・三味線糸の製造会社【第三者承継】
3つ目は「琴糸・三味線糸の製造会社の第三者承継」です。
この案件は売り手企業ではなく、買い手企業がどのように第三者承継を進めていったかという事例です。
滋賀県で明治時代から続く琴糸・三味線糸の製造会社は、琴糸ブランドの技術をもつ関東にある企業が廃業を決定したので、承継のために第三者承継を決断します。
直接関東の企業に承継をお願いしていたものの、断られて承継できませんでした。
滋賀県の琴糸・三味線糸の製造会社は諦めきれず、商工会議所を通じて事業承継の専門家に相談します。事業承継の専門家から交渉時のアピール方法などを教わった結果、事業の承継に成功しました。
滋賀県のM&A事例3選
以下は、滋賀県に関連するM&A事例3選を紹介いたします。
1. MinebeaMitsumiによる滋賀セミコンダクター株式会社の買収
2021年、MinebeaMitsumi株式会社は、オムロン株式会社から滋賀セミコンダクター株式会社を取得しました。この買収は、MinebeaMitsumiがアナログ半導体分野での競争力を高め、新たな市場へ進出するための戦略的な動きでした。
買収後、滋賀セミコンダクター株式会社はMinebeaMitsumiグループの中心的な製造拠点として位置づけられました。
特に、8インチウェハーの生産能力を強化することで、同社は売上高の増加を目指し、グローバル市場でのポジションを強固にしています。
2. 村田製作所による東光株式会社の買収
村田製作所は、2014年に滋賀県を拠点とする東光株式会社を買収しました。
この企業は、インダクタおよびRF関連の電子部品で定評があり、村田製作所はその技術を自社の製品ラインに加えることで、市場での競争力を強化しました。
東光の技術を活用することで、村田製作所は新たな製品開発を進め、国際市場での存在感を一層強化することができました。
この買収は、村田製作所の長期的な成長戦略の一環として評価されています。
3. ニデックによる三菱重工一部事業のM&A
ニデックは、光学・電子技術を駆使した医療分野や眼鏡機器分野で強みを持つ企業として、三菱重工工作機械の買収を実施しました。
このM&Aにより、ニデックは工作機械事業をさらに拡大し、精密加工分野での市場競争力を強化しました。
買収後、三菱重工工作機械は、ニデックグループの重要な一部として、技術革新と生産効率の向上に寄与しています。
滋賀県で事業承継・M&Aを進めるときの注意点
滋賀県で事業承継・M&Aを進めるときの注意点は、次のとおりです。
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- 滋賀県で実績のあるM&A仲介会社を選ぶ
- サービスの内容と料金体系を確認する
- 担当者の質を確認する
滋賀県で事業承継・M&Aを進めていくときの注意点を理解し、後継者不在をスムーズに解消していきましょう。
滋賀県で実績のあるM&A仲介会社を選ぶ
滋賀県でM&Aを検討する場合、滋賀県で実績のあるM&A仲介会社を選択しましょう。
M&A仲介会社は数多くあるものの業種や地域によって得意・不得意があり、滋賀県内の顧客量が会社によって変わってしまいます。選択したM&A仲介会社が滋賀県に強くない場合、有利な条件でM&Aを進められないおそれもあるため注意しなければなりません。
M&A仲介会社を選択するときには、1社に絞らずに多くのM&A仲介会社を比較検討するとよいでしょう。
サービスの内容と料金体系を確認する
マッチングサイトやM&A仲介会社を利用する際は、サービス内容と料金体系を確認しましょう。
マッチングサイト・M&A仲介会社はそれぞれでサービス内容、料金体系が違います。後継者は探してもらえるが成約までのサポートを受けられない、着手金を払ったが後継者を紹介してくれない、などのトラブルに発展するケースもあります。
自身の考えているサービス内容と料金体系と違うことも多いため、利用する際には必ず確認しておかなければなりません。とくにM&Aの報酬は高くなることが多く、料金体系には注意する必要があります。
担当者の質を確認する
M&A仲介会社や各機関を利用するときには、担当者の質を確認しましょう。
M&A仲介会社や金融機関、公的機関の口コミ・評判がよいとしても、担当者の質がよいとは限りません。担当者によっては経験や知識が不足しており、満足いくサービスが受けられないケースがあります。
事業承継は手続きだけでなく想いも大切になってくるため、希望条件を理解した上で適切な回答をしてくれる担当者かどうか確認してから、承継の手続きを進めていくことが大切です。
滋賀県で事業承継・M&Aを検討するなら「TSUNAGU」へご相談ください
滋賀県で事業承継・M&Aを検討する場合、さまざま方法で後継者不在を解決できます。
後継者不在を解消するにはマッチングサイトやM&A仲介会社、公的機関に相談する方法などがあります。しかし、相談先の質や実績などによって、事業承継に成功は大きく左右されることに注意しなければなりません。
どの相談先を利用すればわからないという方は「TSUNAGU」の利用を検討ください。M&A仲介会社によって得意不得意がありますが、比較してどの会社を利用するのか検討するのは困難です。「TSUNAGU」では、数十社のM&A仲介会社の比較ができ、相談者に合った経験豊富な会社を紹介することが可能です。
「TSUNAGU」では相談料無料で相談を受け付けていますので、まずは相談だけでもしたいという人はお気軽にお問い合わせください。
ディスクリプション
滋賀県で後継者がいないとお悩みの人は多くいるかもしれませんが、事業承継やM&Aで後継者を見つけられます。事業承継・M&Aをする方法や成功事例、進めるときの注意点を理解しスムーズな事業承継を実現していきましょう。
▼監修者プロフィール

岩下 岳(S&G株式会社 代表取締役) S&G株式会社
新卒で日立Gr.に入社。同社の海外拠点立上げ業務等に従事。
その後、東証一部上場のM&A仲介業界最大手の日本M&Aセンターへ入社ディールマネージャーとして、複数社のM&A(株式譲渡・事業譲渡・業務提携等)支援に関与。IT、製造業、人材、小売、エンタメ、建設、飲食、ホテル、物流、不動産、サービス業、アパレル、産業廃棄物処分業等、様々な業界・業種でM&Aの支援実績を有する。現在はS&G代表として、M&Aアドバイザー、及び企業顧問に従事している。