京都府の事業承継・M&Aの動向|後継者がいない会社の成功事例を解説

「京都府で事業を行っているが後継者がいない」「京都府の事業承継の動向がどうなっているか知りたい」というように、京都府で事業承継について悩んでいる経営者もいるのではないでしょうか。

京都府で事業承継するには、京都府の事業承継の動向や成功事例を知ることが大切です。

本記事では、京都府の事業承継の動向や後継者がいない会社の成功事例だけでなく、事業承継を成功させるポイントも解説します。京都府の経営者で事業承継に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

京都府の産業に関連する現状

京都府の事業承継の動向を解説する前に、まずは京都府の産業に関連する現状を紹介します。

紹介する内容は、次のとおりです。

    • 京都府の人口
    • 京都府の主な産業
    • 京都府の事業所・従業員数

京都府の人口

令和6年2月1日現在の京都府の人口は253万です。

京都府の人口は、平成17年をピークにして徐々に減っています。木津川市や向日市など一部の地域は人口が増加しているものの、京都市や宇治市など京都府内の人口が多い上位2都市の人口は減少しています。

一方、京都府内の都市部の多くは世帯数が増加しており、京都府全体としても増加傾向です。

人口減少と世帯増加は少子高齢化により、老後に一人となってしまったことも影響しているとされています。子どもがおらず、高齢化して単身となった結果人口が減り、京都のような大都市では単身者が転入することで世帯だけ増えるというものです。

参考文献:京都府 京都府推計人口令和2年国勢調査人口等基本集計結果の概要

京都府の主な産業

京都府の主な産業は製造業です。

京都と聞くと観光業を思い浮かべる人はいるかもしれませんが、製造品出荷額は2兆1,429億円(令和2年)、観光消費額1兆0,179億円(令和4年)です。観光業はコロナ禍の影響を受けた令和3年に極端に下がっているものの、令和4年や令和元年では1兆円を超えるくらいの金額に留まっています。

また、京都府には、京セラや任天堂、オムロン、ローム、村田製作所などベンチャー企業や、ハイテク企業が集まっているため、最先端の街という側面もあります

参考文献:京都市 令和4年(2022年) 観光客の動向等に係る調査について京都市の経済規模-市内総生産

京都府の事業所・従業員数

京都府の事業所数は110,564事業所(全国12位)、従業者数は1,148,970人(全国13位)です。

1つの事業者に勤務する従業員は、1人〜4人が全体の59.3%と多くの割合を占めており、小規模事業者が多いのも特徴です。

また、事業所が開設された年数は昭和59年以前のものが35,974事業所と最も多く、古くから事業を行っている企業が多くあります。ただし、平成17年〜平成26年に25,171事務所開設されており、比較的新しい企業が混在しているのも京都府の事業所の特徴です。

参考文献:2021年(令和3年)経済センサス-活動調査結果(確報)

京都府の事業承継・M&Aに関連する現状

「京都府の事業承継・M&Aに関する現状」で解説する内容は次のとおりです。

    • 京都府の経済状況
    • 京都府の社長年齢平均
    • 京都府の後継者不在率

京都府で事業承継を考えている人は、動向を参考にどのような対策を立てればよいのか検討してみましょう。

京都府の経済状況

京都府の令和6年7月〜9月の景況判断BSIでは製造業が大きく改善すると見込まれています。

ほとんどの業種、企業規模で雇用が不足気味となっており、経済状況の改善が見てとれます。

しかし、非製造業は逆に経済状況が悪くなると推測されており、とくに中小企業の非製造業が苦戦しているようです。

京都府内の企業は全体的に業績の改善が見込まれているため、中小企業の非製造業以外との二極化が進んでいることがわかります。

参考文献:法人企業景気予測調査(令和6年1-3月期調査)

京都府の社長年齢平均

京都府の社長の年齢平均は、63.20歳です。

全国の社長の年齢平均は63.02歳であり、京都府は全国平均に近い年齢となっています。しかし、近畿内で比較すると奈良県についで高い平均年齢であり、一番若い大阪府と比べるとその差は1.44歳です。

京都府内には近年事業を開始した企業も多く存在しますが、古くから事業を営んでいる企業の方が多いため、社長の年齢平均を押し上げています。

事業承継には5年~10年かかるといわれており、承継を開始しなければならない年齢に差し掛かっている経営者が多いことがわかります。

参考文献:東京商工リサーチ 2022年「全国社長の年齢」調査

京都府の後継者不在率

京都府の後継者不在率は44.2%です。

近畿全体では和歌山県の43.0%についで2番目に低く、後継者不在率が最も高い滋賀県と比べると8.7%低い数値です。京都府の後継者不在率は2021年から2024年にかけて下がっており、2014年の70.9%から大きく改善されています。

近年、M&Aが周知されてきており、第三者による承継が行われるようになってきているのが改善されている要因とされています。

しかし、依然として44.2%の企業に後継者がいないというのは大きな問題です。

参考文献:帝国データバンク 近畿企業の「後継者不在率」調査(2023年)

京都府で事業承継・M&Aを進める方法

京都府で事業承継・M&Aを進める方法は、次のとおりです。

    • マッチングサイトやM&A仲介会社を利用する
    • 金融機関に相談する
    • 公的機関にサポートしてもらう

後継者不在に悩んでいる経営者は、京都府で事業承継・M&Aを進める方法を確認し後継者を探していきましょう。

マッチングサイトやM&A仲介会社を利用する

後継者を探すのであれば、マッチングサイトやM&A仲介会社の利用を検討をおすすめします。

京都府は後継者不在率が改善されてきているものの、まだ後継者不在の企業が多くあります。京都府内で後継者を見つけられない場合、第三者の後継者を探せるマッチングサイトやM&A仲介会社の利用が効果的です。

マッチングサイトやM&A仲介会社を利用すれば、全国から広く後継者を探すことが可能です。ら京都府内で後継者を探しても見つからない場合、全国を対象として後継者を探すとよいでしょう。

なお、マッチングサイトとは後継者不在の企業と後継者希望の人をつなぐためのサイトであり、M&A仲介会社とはM&A(合併・買収)を希望する買い手企業と売り手企業をつなげる会社です。

金融機関に相談する

地元の後継者を探すのであれば、金融機関への相談がおすすめです。

金融機関は地元の情報を多く保有している企業であり、さまざまな経営者とのつながりをもっています。京都府内で後継者を探している人に合っている相談先といえます。

また、金融機関は後継者だけでなく融資を行ってくれるため、事業承継に伴う新たな事業を実施できるのも利点です。

事業承継をする場合、企業のブラッシュアップや承継後の新規事業の取り組みなど多くの資金を要します。

金融機関に相談すれば、後継者不在の解消とともに、融資問題も解決できる可能性があります。

公的機関にサポートしてもらう

無料で後継者不在の相談をしたい場合は、公的機関に相談してみましょう。

近年、後継者不在で技術・ノウハウが途絶えてしまうことが問題となっており、国も後継者不足解消のための機関を設置して対策しています。

国が設置している機関の代表は「事業承継・引継ぎ支援センター」です。

事業承継・引継ぎ支援センターでは無料で後継者不足の相談ができ、承継までのサポートを行ってくれます。各都道府県に設置されており、京都府は京都市下京区に設置されています。

また、公的機関としては商工会議所を利用するのもよいでしょう。商工会議所は事業の経営についてだけでなく、事業承継の相談に乗ってくれるケースもあります。商工会議所も金融機関と同じく地元の情報を多く保有しており、地元の後継者を見つけるのに役立ちます。

京都府の事業承継事例

京都府の事業承継・M&A成功事例は、次のとおりです。

    • 美容院経営【親族内承継】
    • 西陣綜絖(そうこう)製造業【従業員承継】
    • 佃煮製造・販売事業【第三者承継】

京都府内の会社の中には、後継者不在を解消し事業承継・M&Aに成功した会社もあります。どのような会社が、後継者を見つけ事業承継に成功したのか事例を見ていきましょう。

美容院経営【親族内承継】

京都府の事業承継の成功事例として「美容院経営会社の親族内承継」を紹介します。

1980年代に創業された京都府内の美容院経営者は、70歳の節目を迎え事業承継を実施しました。

従業員である子どもに事業承継の話をしたところ、事業承継の意思を示したものの事業承継に伴う計画の立案や、事業承継引継ぎ補助金交付など不安点が多くあり商工会議所へ相談されました。

商工会議所から事業承継の専門機関を紹介され、事業計画の立案、後継者の経営ノウハウ取得を実行します。無事、事業承継引継ぎ補助金が交付され、現在は前経営者の補佐のもとで後継者が経営を学びつつ、事業を続けています。

西陣綜絖(そうこう)製造業【従業員承継】

2つ目は「西陣綜絖(そうこう)製造業社の従業員承継」です。

昭和20年代に創業を開始した西陣綜絖製造業社の2代目の経営者は、技術の伝達のために事業を譲渡しようという決意を固めていました。

後継者には実家が綜絖業をやっていたという従業員を指名するつもりであったものの、事業承継の手順や経営者育成の仕方がわからず事業承継の専門機関に相談します。

事業承継の専門機関の指導のもと事業承継計画を策定し、計画に沿って事業承継を進めていくことになりました。

事業承継では後継者不在が問題になるだけでなく、後継者がいてもどのように承継していけばよいのかが問題となります。

佃煮製造・販売事業【第三者承継】

3つ目は「佃煮製造・販売事業社の第三者承継」です。

京都府内にある佃煮製造・販売事業の経営者は、自身が事業承継を受け20年近く経営を続けていました。しかし、自身が81歳を迎えたことにより事業承継を考えるものの、後継者不在に悩まされてしまいます。

地元の信用金庫を通じ事業承継の専門機関に相談したところ、数組の後継候補者が現れるも合意まで達せず2年近くの月日が経過してしまいました。しかし経営者の知人が後継に名乗りを挙げたことで事業承継が実現します。

後継者は事業を進めるための資金はあったものの、佃煮製造・販売のノウハウがなく後継者育成に時間がかかる後継者でした。しかし、後継の熱意や周辺のサポートが整っていることで成約した事例です。

京都府のM&A事例5選

以下は、京都府に関連するM&A事例5選を紹介いたします。

1. ニデック (旧日本電産) によるHouma Armature Worksの買収

2023年、京都に本社を置くニデック株式会社は、米国のHouma Armature Worksを完全子会社化しました。

Houmaは、モーターとジェネレーターの製造およびサービスを提供しており、この買収によりニデックは北米市場でのサービス力を強化し、顧客基盤の拡大を図りました。

この買収は、ニデックがグローバル市場での競争力を高めるための戦略的一環です。

引用元: https://www.nidec.com/jp/corporate/news/2023/news0704-01/

2. 島津製作所による日水製薬の買収

2022年、島津製作所は医薬品分野での事業拡大を目指し、日水製薬を買収しました。

島津製作所はこの買収を通じて、医療関連事業を強化し、ヘルスケア市場への進出を加速しました。

特に、島津製作所の既存の技術とニッスイ製薬の製薬技術を融合させることで、革新的な医療ソリューションの提供が期待されています。

引用元URL: https://www.shimadzu.co.jp/news/press/t_ai_7ljtud8mnqt.html

3.Dexerials株式会社による京都セミコンダクターの買収

2022年、Dexerials株式会社は、半導体分野での技術力を強化するために、京都セミコンダクター株式会社を買収しました。京都セミコンダクターは、高性能半導体デバイスの設計と製造において卓越した技術を持ち、特に光通信や高周波デバイスの分野で知られています。

このM&Aにより、Dexerialsは京都セミコンダクターの先進的な技術を取り入れ、自社の技術ポートフォリオを大幅に強化しました。

引用元: https://www.dexerials.jp/news/pdf/2022/news22004.pdf.

4.明光ネットワークジャパンが個別指導塾「明光義塾」フランチャイジーのケイ・エム・ジーコーポレーションを子会社化

明光ネットワークジャパンは、学習塾運営や教育事業を拡大するため、ケイ・エム・ジーコーポレーションを買収し、M&Aを実施しました。

ケイ・エム・ジーコーポレーションは、学習塾事業を展開しており、今回のM&Aにより、明光ネットワークジャパンは教育事業の幅を広げ、より多くの生徒に対して質の高い学習サービスを提供することを目指しています。両社のシナジー効果により、地域での教育支援が強化されることが期待されています。

引用元: https://maonline.jp/news/20181204a

5.ベストワンドットコム、えびす旅館を譲り受け

ベストワンドットコムは、えびす旅館を買収し、M&Aを実施しました。このM&Aにより、ベストワンドットコムは宿泊事業への進出を図り、サービスの多角化を進めています。

えびす旅館は、地域に根ざした宿泊施設であり、ベストワンドットコムは同施設を活用して観光客へのサービス提供を拡充し、顧客体験の向上を目指します。この買収により、旅行業と宿泊業のシナジー効果が期待されています。

引用元: https://www.best1cruise-corp.info/ir/2018122601.pdf

京都府で事業承継・M&Aを進めるときの注意点

京都府で事業承継・M&Aを進めるときの注意点は、次のとおりです。

    • 京都府で実績のあるM&A仲介会社を選ぶ
    • M&Aするという情報は決して漏らさない
    • 買い手のきちんとアピールできるよう準備する

京都府で事業承継・M&Aを進めていくときの注意点を理解し、後継者不在をスムーズに解消していきましょう。

京都府で実績のあるM&A仲介会社を選ぶ

京都府でM&Aを検討する場合、京都府で実績のあるM&A仲介会社を選択しましょう。

M&A仲介会社は数多くあるものの業種や地域によって得意・不得意があり、京都府内の顧客量が会社によって変わってしまいます。選択したM&A仲介会社が京都府に強くない場合、有利な条件でM&Aを進められないおそれもあるため注意しなければなりません。

M&A仲介会社を選択するときには、1社に絞らずに多くのM&A仲介会社を比較検討するとよいでしょう。

M&Aするという情報は決して漏らさない

M&Aするという情報は、決して漏らしてはいけません。

M&Aするという情報が従業員に漏れると、会社の業績がよくないのではないという印象を与えたり、経営者の変更により待遇が変わったりするのではなどの不安を与えてしまいます。

事業承継は、後継者に引き継いで事業を継続していかなければならず、従業員に不安を与えたままでは事業が安定しません。

また、M&Aの情報が外部に漏れてしまうと、取引先に不安を与えてしまいます。取引先を変更するなどの処置を取られてしまうおそれがあるため、内部・外部ともに情報が漏れないように配慮しなければなりません。

買い手のきちんとアピールできるよう準備する

第三者に事業承継をする場合、買い手に自社の強みをアピールできるようにしておくことが大切です。

自社の強みをアピールできれば、引き継ぎしたいと考える人が多くなります。また、自社の魅力が高いほど交渉がスムーズに進み、希望条件で事業承継できる可能性が高まります。

自社の強みをアピールするには、企業のブラッシュアップが必要です。自社の強みや弱みを洗い出し、業績を改善させることでスムーズな事業承継が実現できます。

京都府で事業承継・M&Aを検討するなら「TSUNAGU」へご相談ください

京都府で事業承継・M&Aを検討する場合、さまざま方法で後継者不在を解決できます。

後継者不在を解消するにはマッチングサイトやM&A仲介会社、公的機関に相談する方法などがあります。しかし、相談先の質や実績などによって、事業承継に成功するかどうか変わってしまうことには注意しなければなりません。

どの相談先を利用すればわからないという方は「TSUNAGU」の利用を検討ください。M&A仲介会社によって得意不得意がありますが、比較してどの会社を利用するのか検討するのは困難です。「TSUNAGU」では、数十社のM&A仲介会社の比較ができ、相談者にあった経験豊富な会社を紹介することが可能です。

「TSUNAGU」では相談料無料で相談を受け付けていますので、まず相談だけでもしたいという人はお気軽にお問い合わせください。

ディスクリプション

京都府で後継者がいないとお悩みの人は多くいるかもしれませんが、事業承継やM&Aで後継者を見つけられます。事業承継・M&Aをする方法や成功事例、進めるときの注意点を理解しスムーズな事業承継を実現していきましょう。

▼監修者プロフィール

岩下 岳

岩下 岳(S&G株式会社 代表取締役) S&G株式会社

新卒で日立Gr.に入社。同社の海外拠点立上げ業務等に従事。
その後、東証一部上場のM&A仲介業界最大手の日本M&Aセンターへ入社ディールマネージャーとして、複数社のM&A(株式譲渡・事業譲渡・業務提携等)支援に関与。IT、製造業、人材、小売、エンタメ、建設、飲食、ホテル、物流、不動産、サービス業、アパレル、産業廃棄物処分業等、様々な業界・業種でM&Aの支援実績を有する。現在はS&G代表として、M&Aアドバイザー、及び企業顧問に従事している。