M&Aの相談はどこにすればいい?相談の内容や相手、選定方法などを紹介
M&Aをしようと考えている方の中には、どこに相談すればいいかわからない方もいるのではないでしょうか。
M&A仲介会社や金融機関など、さまざまな相手にM&Aの相談ができます。
本記事では、M&Aの相談内容や相手、規模別におすすめの相談先などを紹介します。
M&Aの相談先を選ぶ際のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
M&Aをする際の相談内容
M&Aをする際の相談内容を以下の2点にわけて紹介します。
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- 売り手企業が相談すべき内容
- 買い手企業が相談すべき内容
M&Aに興味があるがなにから始めたらいいかわからないと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
売り手企業が相談すべき内容
売り手としてM&Aの相談をする際には、必要な準備について最初に聞きましょう。
M&Aは工程が多く長期にわたるプロジェクトとなるため、始める前から準備しておく必要があります。
準備すべき書類や整理しておくべき情報を確認し、事前に用意しておくとスムーズにM&Aを進められます。
M&Aを進めた場合の見込みを確認しておくことも大切です。
たとえば、自社の状況や条件で買い手企業が見つかるか、おおよその売却金額などを確認しておくとよいでしょう。
加えて、M&Aが完了するまでに必要な期間を確認し、自社の体力がもつかを判断しておくことも大切です。
買い手企業が相談すべき内容
買い手としてM&Aの相談をする際も、売り手と同じように準備すべきことや手続きの確認をしておきましょう。
買い手企業の場合は、自社が求めている売り手企業を買収する場合にどの程度の費用が必要になるかも聞いておくと安心です。
必要な費用を算出するだけでなく、自社の資金で賄うのか新たに資金調達をすべきかも確認しておきましょう。
また、買い手側でもM&Aにどれだけの期間がかかるかも確認しておく必要があります。
いつ頃に買収が完了し、新規事業を始められるかを把握しておくと経営計画も立てやすくなります。
M&Aの相談ができる相手
M&Aの相談ができる相手には、以下の6つがあります。
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- M&A仲介会社
- 商工会・商工会議所
- 金融機関
- 事業承継・引継ぎ支援センター
- 公認会計士・税理士
- 弁護士
それぞれ詳しく紹介するので、M&Aの相談先に悩んでいる方は参考にしながら選んでみてください。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は売り手企業と買い手側企業の両社と契約し、中立的な立場から交渉をしてくれる企業です。
M&Aの全工程をサポートする企業が多いので、相談からマッチング、成約まで一貫して依頼できます。
多くのM&A仲介会社では、独自のネットワークがあり候補企業をもっており、交渉や手続きのサポートをしてくれるので、条件通りのM&Aが成立する可能性が高いです。
ただし、着手金や中間金などが発生する会社が多く、費用が増える点はデメリットといえます。
条件や価格に関して両社の意見を聞きながら着地点を探すので、納得できる範囲ではあるものの理想からは離れてしまうケースもあるので注意しましょう。
M&A仲介会社について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:M&A仲介会社
商工会・商工会議所
商工会・商工会議所も、M&Aに関する相談の対応を行っている中小企業M&Aガイドラインの支援機関のひとつです。
商工会は地域に根付いた活動をしており、商工会議所は事業承継M&Aだけでなく経営全般に関する内容や税務申告・労務の相談もできます。
税制優遇措置をはじめとした公的な支援制度に関する情報も多く保有しているので、中小企業のM&Aに適した相談先です。
事業承継・引継ぎ支援センターと連携していることも多いので、相談内容によっては窓口に繋げてもらえることもあります。
金融機関
M&A支援の専門部署を置く金融機関も増えてきているので、M&Aの相談に適しています。
とくにM&Aで企業の買収を検討している場合は、資金調達について協議を行ったり、専門的なアドバイスを受けられる点が大きなメリットです。
融資を受けてM&Aを行いたい場合は、金融機関に相談してサポートを受けるとスムーズに手続きを進められます。
金融機関によっては、M&Aの専門機関や各士業と連携体制が構築されていることもあります。
ただし、金融機関が取り扱っているM&A案件は大規模なものが多く、中小企業向けの案件には対応していないことも多い点には注意が必要です。
また、金融機関を利用したM&Aでは多くの人がかかわり、費用が高くなるケースも多いです。
事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継・引継ぎ支援センターとは、後継者問題を抱える中小規模事業者を対象とした公的機関です。
事業承継やM&Aによる引継ぎの情報提供やアドバイス、マッチングなどを行っている相談窓口であり、2021年4月に全国に設置され専門家への相談を無料で行えます。
事業承継・引継ぎ支援センターは各都道府県に設置されているので、どこの地域にいても相談しやすい点が大きなメリットです。
また、公的機関なので、自社利益を考慮せずに公平な意見をもらえる点も嬉しいポイントです。
事業承継・引継ぎ支援センターによっては、M&A仲介会社や各士業などとも連携体制を取っているので、相談内容によっては紹介してもらうこともできます。
ただし、公的機関であり内部の手続きに時間がかかるため、スピード感のある支援が難しい点はデメリットです。
公認会計士・税理士
公認会計士や税理士にもM&Aの相談や依頼が可能です。
税理士や公認会計士は財務・税務デューデリジェンスを担当するため、M&Aの実績がある方もいます。
財務面でのリスクがないか、買収価額の判断などを適切に行ってもらえたり、適用可能な税制優遇制度の有無も確認してもらえる点はメリットのひとつです。
自社の顧問会計士・税理士がいる場合、財務状況を理解した状態で相談できると安心感もあるでしょう。
ただし、公認会計士や税理士の中にはM&A自体を扱っていない、経験がない場合も多い点には注意が必要です。
M&Aの経験がある場合でも、デューデリジェンス以外はできない可能性もあるため、相談する際にはサポート範囲も聞いておきましょう。
弁護士
税理士や会計士と同じように、弁護士にもM&Aの相談が可能です。
M&Aでは契約を締結する場面が複数回あるので、相談すれば弁護士の専門知識も活かしたアドバイスをもらえます。
M&A支援を行っている弁護士事務所も増えてきているので、細かい相談も可能です。
とくに、法的効力のある正しい契約書作成や法務デューデリジェンスなど、専門知識が必要な場面で適切なアドバイスが受けられます。
また、売り手企業にて給与未払いや保証債務の契約が発覚した場合をはじめ、トラブルが発生した際にはすぐに依頼ができる点も嬉しいポイントです。
ただし、M&Aの専業ではないので、経験やノウハウが十分でない場合があり、30分や1時間単位で相談料が設定されていて費用が必要なケースもある点には注意しましょう。
M&A案件の規模別のおすすめ相談先
M&A案件の規模別のおすすめ相談先を以下の3つにわけて紹介します。
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- 大規模案件におすすめの相談先
- 中規模案件におすすめの相談先
- 小規模案件におすすめの相談先
詳しく紹介するので、参考にしながら自社やM&A規模にあわせて適切な相談先を見極めてください。
大規模案件におすすめの相談先
年商10億を超え手数料が3,000万円以上の大規模なM&Aを検討している場合は、証券会社や投資銀行、メガバンクがおすすめです。
証券会社や投資銀行、メガバンクでは財務に関する専門知識に加え、業界・業種ごとの動向などの情報があり、シンクタンク部門があることも多いです。
海外のネットワークをもっていることも多く、国境を超えてM&A相手を探せるので希望通りの取引ができる可能性が高くなっています。
ただし、大規模なプロジェクトはM&Aの成立までに時間がかかる点はデメリットです。
加えて、多くの人材がかかわるプロジェクトとなってしまうため、費用が高額になる点も理解しておきましょう。
中規模案件におすすめの相談先
年商3億を超え、手数料が1,000万円以上の中規模なM&Aを検討している場合は、M&A仲介会社や地方銀行がおすすめです。
M&A仲介会社や地方銀行は、主に年商3億~10億円程度の中規模企業の案件の取り扱いが多くなっています。
M&A仲介会社は独自のネットワークをもち、適切なマッチング先を見つけてくれる可能性が高いです。
一方、地方銀行は地元企業とのネットワークが強いため、特定地域でのM&Aを検討している際に適しています。
ただし、相談先によってはネットワークが狭く、適切な相手を紹介してもらえない可能性があるため、あらかじめ取り扱い案件の確認が必要です。
小規模案件におすすめの相談先
年商3億以下、手数料1,000万以下の小規模なM&Aを検討している場合は、税理士や会計士がおすすめです。
税理士や会計士は顧問契約によって日頃から中小企業との付き合いが多いので、中小企業の事情に詳しい傾向にあります。
経営難になっている中小企業の相談先となることも多いので、M&Aにつながる情報をもっていることもあります。
自社の顧問であれば財務状況を理解してくれているので、無理のない範囲で提案してくれるでしょう。
ただし、M&Aについての経験が豊富な税理士や会計士は多くないので、依頼する際には実績や対応可能範囲の確認が必要です。
M&Aの相談をする際に必要な費用
M&Aの相談だけであれば、どこを利用していても無料であることが多く、手続きを始めるタイミングで費用が発生するケースが大半です。
ただし、中には相談時から費用が必要な場合があるため、注意しましょう。
とくに、弁護士や税理士などの士業に相談をする場合、30分や1時間単位で相談料が設定されていることが多いので、相談前に確認しておくと安心です。
M&Aの相談先を選ぶ際の4つのポイント
M&Aの相談先を選ぶ際のポイントには、以下の4つがあります。
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- 情報を公開しているか
- 精通した専門家がいるか
- 費用の総額はいくらか
- 情報管理体制は適切か
4つのポイントについて詳しく紹介するので、M&Aの相談先に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
1.情報を公開しているか
M&Aの相談先を選ぶ際には、情報を公開しているかを確認しましょう。
M&Aにおいてもっとも重要なことは、適切な相手を見つけてマッチングできるかであり、最適な相手を見つけられないとM&Aを成功できません。
自社だけで候補を多く見つけるのは難しいため、情報を多くもっている業者を利用してM&Aの成功確率を高める必要があります。
M&Aの仲介会社や金融機関だけでなく、他の相談先でもM&Aの実績を公開しているので相談をする前に必ず確認しましょう。
情報を確認する際には、自社と同じ業界や業態、企業規模のM&A実績があるかを確認することをおすすめします。
2.精通した専門家がいるか
M&Aの相談先を探す際には、M&Aに精通した専門家がいるかを確認しましょう。
M&A仲介会社や事業承継・引継ぎ支援センターには専門家がいますが、金融機関や士業の場合はいない場合があります。
M&Aに精通した専門家がいない相手に相談をしても、専門的な意見は聞けず一般的なアドバイスしかもらえない可能性があります。
相談することでM&Aをするか判断できるようなアドバイスをもらえるように、専門家の有無を必ず確認しましょう。
また、M&Aに詳しくても自社の業界は不得意としている可能性もあるので、業界や企業規模なども確認しておくと安心です。
3.費用の総額はいくらか
相談先を決める際には、費用総額も確認しておきましょう。
相談先によっては相談料が必要な場合があり、依頼後の費用も異なります。
たとえば、相談時から発生する場合、中間地点から発生する場合、最後に成功報酬のみ発生する場合などがあります。
依頼先によっては、M&Aが完了するまでの期間において、毎月月額料金の支払いを求められることもあるため注意が必要です。
まずは、無料で相談できる場所を探し、依頼後の費用総額まで詳しく聞きましょう。
4.情報管理体制は適切か
M&Aの相談先を選ぶ際には、情報管理体制の確認も忘れずに行いましょう。
M&Aを検討していることが外部に漏れてしまった場合、取引先や従業員が離れて行ってしまう可能性もあります。
結果として業績が悪化してしまい、M&Aではなく廃業や倒産を選択せざるを得ない状況に陥る恐れがあります。
リスクを減らしながらM&Aを進めるためにも、相談先の情報管理体制を確認して安心できる業者に相談しましょう。
自社に適した相談先を見つけてM&Aの相談をしよう
M&Aを進めるための相談先は、M&A仲介会社だけでなく、金融機関や士業、事業承継・引継ぎ支援センターなどさまざまあります。
それぞれの相談先に特徴があるため、自社の規模や希望しているM&A規模などから適切な相談先を選ぶことをおすすめします。
相談先を選ぶ際には、公開している情報量や必要となる費用などを確認し、信頼できる場所を選ぶようにしましょう。
どこに相談すればいいか判断できないと悩んでいる方には、「TSUNAGU」がおすすめです。
戦略立案や適切なパートナーの選定などを無料で実施しているので、お気軽にご相談ください。
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M&Aを考えている方の中には、相談先に悩んでいる方もいるでしょう。本記事では、相談内容やおすすめの相談先、選ぶ際のポイントなどを詳しく紹介します。
▼監修者プロフィール
岩下 岳(S&G株式会社 代表取締役) S&G株式会社
新卒で日立Gr.に入社。同社の海外拠点立上げ業務等に従事。
その後、東証一部上場のM&A仲介業界最大手の日本M&Aセンターへ入社ディールマネージャーとして、複数社のM&A(株式譲渡・事業譲渡・業務提携等)支援に関与。IT、製造業、人材、小売、エンタメ、建設、飲食、ホテル、物流、不動産、サービス業、アパレル、産業廃棄物処分業等、様々な業界・業種でM&Aの支援実績を有する。現在はS&G代表として、M&Aアドバイザー、及び企業顧問に従事している。