経営立て直しの成功事例や方法を紹介!専門家やM&Aなどの検討も
経営の立て直しは決して容易な道のりではありませんが、
- 正しい知識
- 正しい戦略
- 行動を起こす
ことで確実に成功に近づけるでしょう。
今回こちらの記事では、
- 経営の立て直しが必要な状況とは
- 経営の立て直しが必要ない赤字もある
- 経営の立て直しをする具体的な方法
- 経営の立て直しを理由に整理解雇を行う場合の注意点
- 経営立て直しに成功した企業の事例
をわかりやすく解説します。
経営の立て直しが必要な状況とは
経営の立て直しが必要な状況は、企業の成長や利益の確保に対して直面するさまざまな問題によって引き起こされます。
経営不振や赤字経営は企業の存続に直接影響する可能性があるため、迅速かつ効果的な対策が必要です。
東京商工リサーチが公表している「赤字法人率」によれば、普通法人における赤字法人(欠損法人)の割合は、2021年度は65.34%と、前年である2020年度よりも0.81ポイント改善しています。また、過去15年間で最小でした。
2016年度 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
赤字法人率 | 67.66% | 66.65% | 66.11% | 65.49% | 66.15% | 65.34% |
ここでは、
- 赤字=経営の立て直しが必要ではない
- 赤字企業でも潰れない理由
を詳しく解説します。
赤字=経営の立て直しが必要ではない
経営の立て直しは、赤字経営の企業すべてに必要なわけではありません。
意図的に先行投資を行い成長を目指す「良い赤字」と、構造的な問題や市場環境の悪化による「悪い赤字」があり、悪い赤字の場合に立て直しが必要です。
国税庁の「令和元年度分 会社標本調査」によると、全法人の約61.6%が赤字法人(欠損法人)であり、これは経営の立て直しを考えるうえで重要な指標です。
良い赤字と悪い赤字は、将来の成長につながる赤字か、それとも構造的な問題による赤字かによって区別することができます。
立て直しが必要なのは「悪い赤字」のほうであるため、自社の赤字の性質を正確に把握し、適切な対策をする必要があります。
赤字企業でも潰れない理由
赤字企業でも潰れない理由は、その企業に将来性や赤字からの回復の可能性があると、投資家や金融機関が評価しているからです。
経営戦略の見直しや経営資源の再配分などにより、経営の立て直しができると見込まれることも大きな理由です。
- 一時的な赤字
新規事業や新製品の開発に伴う初期投資により、一時的に赤字が出る場合があります。投資は中長期的な利益を見込んで行われるため、一時的な赤字が出ても企業は潰れません。
- 戦略的な投資
市場シェアの確保やブランド価値の向上を目指して行われるマーケティング活動なども、短期的には赤字を生む場合があります。しかし、長期的な視点で見れば企業価値を高める施策のため、企業が潰れることはありません。
- 資金調達能力
企業が資金を調達する能力がある場合、赤字が出ても運転資金を確保しつつ事業を続けられます。資金調達能力は、企業の信用力や資産の有無、業績の見通しなどによって異なります。</li>
会計上赤字が出ているからといって必ずしも企業が潰れるわけではなく、経営戦略や資金状況を理解することが重要です。健全な事業運営をするには、一時的な利益や損失を超えて、長期的な視点からの判断が必要なのです。
経営の立て直しが必要ない赤字もある
すべての赤字が経営の立て直しを必要とするわけではありません。ここまでに説明したように、赤字がすべて経営危機を意味するわけではなく、投資や事業拡大のための戦略的な赤字も存在するためです。
投資や事業拡大のための戦略的な赤字は将来の収益増加を目的としており、一時的な財務状況の悪化を伴うものの、長期的な視点で見ると企業成長の基盤となるでしょう。
ここでは、
- 立て直しが必要な赤字
- 立て直しが必要ない赤字
について詳しく解説します。
立て直しが必要な赤字
役員の相次ぐ退職や過度なコスト削減は、企業の経営基盤に深刻な問題があることを示しています。この場合は、経営の立て直しが必要な赤字と見なすべきです。
- 役員の相次ぐ退職
役員の不安定さは、戦略の方向性の不明瞭さや経営判断の遅れ、内部の摩擦を示す可能性があり、企業の将来に対する市場の信頼を損ないます。
- 過度なコスト削減
これまで支給されていた交通費や家賃補助、福利厚生などに対する過剰なコストカットは、会社の財政状況が悪化している可能性を示しています。
会社の役員が相次いで退職する状況や必要以上にコスト削減を実施している会社は、経営に根本的な問題を抱えている可能性が高く、経営の立て直しが必要だと見なされます。
立て直しが必要ない赤字
経営の立て直しが必要ない赤字とは、主に投資や成長戦略の一環として意図的に発生させた赤字のことです。
立て直しが必要ない赤字は、将来の売上増加や市場シェアの拡大を目的としており、一時的な赤字を容認することで、長期的な利益を見込んでいるのです。
新規事業や研究開発費など、将来の成長につながる戦略的な赤字は、経営の立て直しを必要としない「良い赤字」です。
例えば、Amazonは長年にわたり赤字を計上していましたが、全てが成長と拡大を目指す投資の一環で、現在では世界最大のオンライン小売業者となり、大きな利益を上げています。
重要なのは、赤字の原因を正確に分析し、現在の赤字が将来的にプラスになるかどうかを見極めることです。
企業には、一時的な赤字を恐れず、将来の成長のために必要な投資をする勇気と視野が求められます。
経営の立て直しをする具体的な方法
経営の立て直しをする方法としては、
- 財務改善
- 組織改革
- 事業再構築
などがあります。
これらの方法は、企業の状況に応じて適切に組み合わせることが重要です。
ここからは、
- 現在の経営状況を把握する
- リストラクチャリングの実施
- 経費の見直しを行う
- 補助金や助成金を活用し資金を調達する
- 専門家に相談してアドバイスをもらう
- M&Aを検討する
という具体的な方法を詳しく解説します。
現在の経営状況を把握する
経営状況を把握するためには、
- 財務諸表の分析
- 市場環境の調査
- 内部構成の評価
の3つを行い、問題点を明確にすることが重要です。
経営状況の把握は短期的に行って終わりではなく、継続的な取り組みが必要です。
現在の経営状況を把握するために、
- 売上不振、利益の減少の要因
- 過剰投資や資金繰りの悪化
- 放漫経営
- 取引先の倒産、人手不足
について以下で説明します。
売上不振、利益の減少の要因
売上不振や利益の減少には、市場ニーズの理解不足やコストの問題、市場の変化への対応の遅れなど、さまざまな原因があります。
- 市場ニーズの理解不足
消費者の好みや需要が変化していき、商品やサービスが市場のニーズと合致しなくなっている場合は売上が伸び悩む。
- コストの問題
製品の製造や運営コストが高過ぎると利益率が低下し、結果として利益が減少する。
- 市場の変化への対応の遅れ
技術革新や競合他社の戦略に迅速な対応ができていない場合、市場での競争力が失われる。
中小企業庁の「倒産の状況」にて倒産原因の73%が「販売不振」とされているように、売上減少が企業倒産の主要因です。
売上不振や利益の減少を解決するためには、
- 問題の原因を正確に把握する
- 市場ニーズの理解を深める
- コスト構造を最適化する
- 市場の変化に柔軟に対応する
といった必要があるでしょう。
過剰投資や資金繰りの悪化
過剰投資や資金繰りの悪化は、企業が経済的な困難に直面する一般的な原因です。新しい事業への過剰な投資は成長戦略の一環として理解されがちですが、リスク管理が不十分な場合、企業の資金繰りを悪化させてしまいます。
- 投資の回収期間
新規事業への投資は、収益を生み出すまでに時間がかかるため、短期的な資金繰りに影響を及ぼす。
- 市場の不確実
新しい市場や技術には予測できないリスクがあるため、過剰投資は失敗のリスクを高める。
新規事業への投資には、企業を成長させる可能性がある一方で、過剰な投資は資金繰りの悪化や企業価値の低下を招くリスクもあります。
投資の判断には、
- 市場調査に基づく慎重な分析
- リスク管理の枠組みの整備
- 可能な限り多様な資金調達手段の検討
が求められるでしょう。
放漫経営
放漫経営は、企業の成長と安定性を脅かす重大な問題です。社内管理の不十分さや経営者の慢心が原因で利益が上がらない、資金の流出が起きるなどの状態であれば、早急な対応が必要です。
- 社内管理の不十分さ
非効率的な業務体制や内部監査システムの不備は、不正や無駄の原因。
- 経営者の慢心
市場や競合他社の動向に対する認識の低下や、過度な自信によるリスク管理の軽視は、企業の危機を招く。
放漫経営は、企業の信用と財務安定性を損なう深刻な問題なのです。
放漫経営に該当する企業は、
- 内部管理システムの強化
- 経営者の意識改革
- 外部の専門家による監査やアドバイスの活用
など、積極的な改善策が必要でしょう。
取引先の倒産、人手不足
取引先の倒産や人手不足は、企業の経営に深刻な影響を及ぼします。例えば大口取引先が倒産した場合、資金繰りの急速な悪化につながります。
- 取引先依存のリスク
一部の大口取引先に依存している場合、その取引先が倒産すると収入が大きく減少し、企業の資金繰りに直ちに影響する。
- 人手不足による経営の困難
特に若手や技術者の不足は、生産性の低下や事業拡大の妨げになる。
取引先の倒産や人手不足といった経営上のリスクは、事前に適切な対策をすることで、影響を最小限に抑えられるでしょう。
例えば、
- 取引先の多様化
- リスク管理体制の整備
- 人材確保と育成への投資
といった対策が考えられます。
リストラクチャリングの実施
リストラクチャリングは、経営難に陥った企業が再び競争力を取り戻し、市場での地位を確立するための効果的な戦略です。
リストラクチャリングにより、
- 事業の再構築
市場環境の変化に対応し、より収益性の高い事業に焦点を当てる。
- 不採算部門の縮小
不採算部門を特定し、縮小または撤退することで、全体の収益性を向上させる。
- 事業部の統合
類似または関連する事業部を統合することでシナジー効果を生み出し、コストを削減する。
- 経営資源の再分配
限られた経営資源を、効果的に使える事業に重点的に割り当てる。
などを実現し、競争力を強化して経営の効率化を図ります。
リストラクチャリングは、経営危機に直面している企業にとって、事業の持続性を確保し、将来的に成長するための有効な手段です。
リストラクチャリングを適切に計画・実行することで、企業に新たな活力をもたらし、市場での競争力を高められるでしょう。
経費の見直しを行う
経費の見直しは、企業が経済的な効率を高め、利益を最大化するための重要なステップです。
特に、
- 人件費
- 外注費
- 広告費
- 作業効率
- 交際費
といった経費の主要項目を精査し、必要なコストと不要なコストを見極めることが重要です。
また、コストダウンに関してもさまざまな方法があります。
- 固定費の見直し
家賃や通信費、保険料などの固定費を見直す。 - 変動費の見直し
材料費や外注費、旅費交通費などの変動費を見直す。 - 無駄な支出の削減
経費精算の徹底や接待交際費の削減など、無駄な支出を削減する。
経費の見直しは、単にコスト削減を目指すだけではなく、企業の資源をより効果的に活用し、経営の効率化を図るための重要な戦略です。
補助金や助成金を活用し資金を調達する
経営の立て直しには、補助金や助成金の活用が有効です。
補助金や助成金は、国や地方公共団体から事業者に提供される資金で、融資とは異なり原則返済不要です。
事業の目的を達成するために自由に使用でき、
- 公益性が求められるプロジェクト
- 環境改善
- 人材育成
など、目的に合わせて多種多様な補助金・助成金が用意されています。
ただし、補助金や助成金を利用するには条件を満たしている必要があるため、自社に適用されるかどうかの事前確認と迅速な申請が必要です。
補助金や助成金以外にも、支援金や給付金など、利用可能な資金調達の選択肢を広げることで、より多くの機会を掴むことができます。
資金繰りの改善や経営力の向上に向けて、補助金や助成金の制度を積極的に活用しましょう。
事業名 | 概要 |
小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者が直面する制度変更等に対応するため、経営計画を作成し、販路開拓の取り組み等の経費の一部を補助する |
事業再構築補助金 | コロナ禍で売上が減少した中小企業向けの制度 新分野展開・事業転換・業種転換・業態転換など、事業再構築に意欲をある中小企業等を支援する |
ものづくり補助金 | 中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善に対する支援制度 |
事業承継・引継ぎ補助金(廃業・再チャレンジ事業) | 再チャレンジを目的として、既存事業を廃業するための費用を補助する |
事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用事業) | M&Aによる経営資源の引継ぎを支援するため、M&Aに係る専門家等の活用費用を補助する |
女性、若者/シニア起業家支援資金 | 女性や若者、シニアを支援することで、新規事業や雇用の創出を図ることを目的に創設された融資制度。女性、若者(35歳未満)、高齢者(55歳以上)に該当し、新規開業から概ね7年以内の方を対象とした融資制度 |
65歳超雇用推進助成金 | 65歳超雇用推進助成金には3つのコースがあります。それぞれのコースは、雇用管理制度等を整備し、高年齢者が安心して働き続けられるようにすることで、高年齢者の就労を促進する制度 |
出典:小規模事業者持続化補助金、事業再構築補助金、ものづくり補助金、事業承継・引継ぎ補助金(廃業・再チャレンジ事業)、事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用事業)、女性、若者/シニア起業家支援資金、65歳超雇用推進助成金
専門家に相談してアドバイスをもらう
経営の課題に対処するためには、
- 弁護士
- 税理士
- 会計士
- 経営コンサルタント
などの専門家に相談し、アドバイスを求めることをおすすめします。
信頼できる専門家を選ぶことは、企業が直面する問題の解決に対する大きな一歩です。
- 専門的なアドバイスの必要性
法律問題・税務・財務の最適化・経営戦略など、専門的な知識が必要な分野では、専門家のアドバイスが重要です。
- 客観的な視点
社内で見落としがちな問題については、外部の専門家の客観的なアドバイスが必要です。
自社内での解決が難しい問題に直面した場合は、専門家に相談することで、適切な解決策を見出し、企業を成長させるための重要なステップを踏めるでしょう。
M&Aを検討する
赤字事業のM&Aは、不採算部門からの撤退と資本の再配分を通じて、企業全体の収益性と競争力を高める効果的な手段です。
- 資本の再配分
赤字部門の売却によって得られた資金は、より大きな成長が見込まれる事業への投資や財務状況の改善に活用できる。
- 経営資源の集中
不採算事業からの撤退により、人的資源や資金などの経営資源を効果的に再配分し、企業全体の効率を向上させる。
M&Aを活用することで、企業は不採算部門からの効果的な撤退、資本の有効な再配分を行い、全体の収益性を向上させられます。赤字事業の売却は短期的な財務改善に役立つだけでなく、長期的な企業価値の向上にもつながります。
M&Aの成功には、
- 適切な評価
- 戦略的な計画
- 契約内容の精査
が重要です。
経営の立て直しを理由に整理解雇を行う場合の注意点
整理解雇を実施する場合、事業の必要性に基づくものであり、かつ法的要件を満たしていることが必須です。適切な手続きの遵守と十分な説明責任が求められる点にも気をつけましょう。
日本の労働法では、
- 1.経営上の必要性
事業の縮小や経済的困難など、避けられない理由であること。
- 2.解雇回避の努力
人員削減を避けるための代替策が尽くされていること。
- 3.選考基準の合理性
解雇対象者の選定基準が公正かつ合理的であること。
- 4.手続きの適正性
労働者との十分な協議を行い、解雇の予告期間を守るなどの適切な手続きを踏むこと。
など、整理解雇を法的に認められるための要件を全て満たす必要があります。
ここでは、
- 人員削減の経営上の必要性
- 合理性のある人選基準を設ける
- 解雇以外の回避措置を講じる
- 従業員に対する説明・協議を行う
という各段階について詳しく解説します。
人員削減の経営上の必要性
人員削減は、企業が直面する経済的困難や構造的変化に対応するための手段です。整理解雇を実施する場合、単に人件費を削減したいという理由だけでは不十分であり、経営上相当の理由が必要とされます。
- 経済的困難
業績悪化や市場環境の変化による経済的困難は、人員削減の経営上の理由として認められます。
- 事業の再編
事業部門の再編や事業戦略の転換に伴い、特定のスキルを持つ従業員が余剰となる場合があります。
人員削減、特に整理解雇は、経営上避けられない重大な理由が存在する場合にのみ行うべきです。経営上の困難に直面した場合でも、人員削減の代替策を検討し、可能な限り雇用を維持することが企業の社会的責任だといえるでしょう。
合理性のある人選基準を設ける
整理解雇を行う際には、解雇の対象となる従業員の選定が合理的な基準に基づいて行われることが重要です。恣意や偏見に基づく選定は不公平であり、企業の信頼性を損なう原因となります。
- 公平性の確保
客観的で合理的な基準に基づく人選は、従業員に対する公平な扱いを保証します。
- 法的要件の満足
整理解雇の際に合理的な基準を用いることは労働法によって求められており、違反すると訴訟リスクが高まります。
基準を定める際は、
- 公平性
- 透明性
- 法的な要件
などを満たす必要があります。
適切な準備と十分なコミュニケーションを行うことで、企業は整理解雇の過程を公正かつ円滑に進められるでしょう。
解雇以外の回避措置を講じる
解雇以外の回避措置を講じることは、企業にとって、経営危機を乗り越えるための重要なステップです。企業が経営状況の改善を図りつつ従業員の雇用を保護することは、理想の形だといえます。
解雇以外の回避措置としては、以下の方法が考えられます。
- 労働時間の短縮
週あたりの労働日数の削減や、1日の労働時間の短縮。
- 一時的な賃金カット
従業員との合意の下で賃金を一時的に削減。
- 早期退職プログラムの導入
自発的な退職を促すためのインセンティブを提供。
- リモートワークの促進
コスト削減と効率化を目指したリモートワークの導入。
- フレックスタイム制の導入
労働コストの削減と従業員の柔軟な働き方のサポート。
- 再教育や再訓練
従業員がほかの部門や職種で働けるよう支援。
解雇以外の回避措置を講じることは、企業が経営危機を乗り越えるうえでの責任ある行動だといえます。企業は、経営上の課題に対処するために回避策を積極的に検討し、実施するべきでしょう。
従業員に対する説明・協議を行う
整理解雇では、従業員または労働組合に対する十分な説明と協議が必要です。解雇の必要性や具体的な内容についての深い理解を促し、可能な限り公平かつ受け入れられる結果を目指しましょう。
- 法的要件
労働法では、整理解雇する前に従業員や労働組合と協議を行うことが義務付けられており、このプロセスは解雇の合法性と公正性を保証するために重要です。
- 信頼関係の維持
従業員との十分なコミュニケーションは、困難な状況下でも信頼関係を維持し、組織のモラルと生産性を守るために必要不可欠です。
従業員に対する説明と協議は、整理解雇の公正性と透明性を確保し、法的要件を満たすうえで必要なプロセスです。十分なコミュニケーションを行うことで従業員に理解と協力を促し、組織全体の信頼と結束力を維持するよう努めましょう。
労働法の要件に従って従業員の権利と企業の責任を遵守することが、最終的には企業の発展につながるのです。
経営立て直しに成功した企業の事例
経営立て直しに成功した企業の事例を見ると、事業承継が重要な手段であることがわかります。新たな経営陣による革新的な戦略や意思決定は、企業を困難な状況から立ち直らせるきっかけになるのです。
・成功事例1:創業100年以上の歴史を持つ和菓子メーカー「株式会社恵比須堂」
株式会社恵比須堂(現在はえびす堂と改称)は、創業100年以上の歴史を持つ和菓子メーカーで、特に「羽二重餅」や「けんけら」の製造で知られています。
60歳を超えた社長の中道直氏は、体力の衰えと新製品開発の停滞を理由に、事業承継を決意しました。
福井県事業引継ぎ支援センターを通じて、障害者就労支援サービスを展開する有限会社ワークハウスの代表、嶋田祐介氏と出会い、事業承継が実現しました。
・成功事例2:北海道室蘭市を拠点とする食肉販売企業「株式会社ムロランミート」
北海道室蘭市を拠点とする株式会社ムロランミートは、M&Aを通じた第三者承継により、歴史ある企業であるというブランドを維持しつつ、経営の新たな発展を遂げました。
ムロランミートは、創業から100年以上続く食肉販売企業ですが、後継者不足により廃業の危機に陥っていました。
そこで同業の「肉の山本」とのM&Aにより、ムロランミートの名前を残しつつ新たな経営体制へと移行しました。この際、従業員の雇用維持や取引先への配慮が重要な条件とされました。
・成功事例3:60歳で給食事業会社を立ち上げた「さいたま給食株式会社」
創業者の中里氏は70歳を迎えた際、独立から10年が経過していたことからも、引退を考えました。しかし、従業員に経営を引き継がせるにはリスクが大きすぎると判断し、公的機関の助言を得ながら事業を第三者に譲渡することを決断しました。
結果として、埼玉県と東京都の事業引継ぎ支援センターを通じ、給食事業の経験が豊富で、全国的に事業拡大を目指すCSSホールディングス傘下のヤマト食品株式会社との間で事業承継が成立しました。
さいたま給食株式会社の事例は、経営者の年齢や健康状態を考慮し、事業の持続可能性と従業員の福祉を優先して事業承継を行った例だといえます。
これらの事例からわかるように、経営の立て直しには、
- 内部の効率化
- 外部環境への適応
- 革新的な思考
などが必要です。
経営の立て直しに成功した企業は、単に財務面や後継者不足といった危機を乗り越えただけでなく、事業モデルを刷新し、市場での競争力を高めることにも成功しているのです。
まとめ
経営の立て直しは、多くの企業が存続のために直面する課題です。
企業は
- 市場環境の変化
- 競争の激化
- 経済の不況
- 内部の問題
など、さまざまな要因によって経営難に陥ることがあります。
しかし、このような状況は、企業が自身を再評価し、より強固な基盤を築く機会であるとも捉えられます。
経営立て直しのポイントは、
1. 現状分析の徹底
・経営危機の原因を明確に理解する
・財務状況や市場環境、内部運営といった全方位からの評価する
2. 戦略的計画の策定
・短期的な対策と長期的なビジョンの両方を含む計画を立てる
・コスト削減や事業構造の見直し、新規市場の開拓などを考える
3. 専門家の活用
・ 経営コンサルタントや法律顧問など外部の専門家に意見を求める
・ 新たな視点や専門的な知識が立て直しの助けとなる
4. 経営体制の再構築
・ 効率的な意思決定のための組織体制の見直し
・リーダーシップの刷新も必要に応じて検討する
5. 企業関係者とのコミュニケーション
・従業員や顧客、投資家など、関係者への透明で正確な情報提供の実施
・経営立て直しのために信頼回復を図る
必要なのは、冷静に現状を分析し、戦略的に問題を解決へと導くことです。経営の立て直しに成功すれば、企業はより強固な経営基盤を築き、将来的にさらなる信頼を確立できるでしょう。
▼監修者プロフィール
岩下 岳(S&G株式会社 代表取締役) S&G株式会社
新卒で日立Gr.に入社。同社の海外拠点立上げ業務等に従事。
その後、東証一部上場のM&A仲介業界最大手の日本M&Aセンターへ入社ディールマネージャーとして、複数社のM&A(株式譲渡・事業譲渡・業務提携等)支援に関与。IT、製造業、人材、小売、エンタメ、建設、飲食、ホテル、物流、不動産、サービス業、アパレル、産業廃棄物処分業等、様々な業界・業種でM&Aの支援実績を有する。現在はS&G代表として、M&Aアドバイザー、及び企業顧問に従事している。