【調査分析】千葉のM&Aの市場動向について徹底解説!

【調査分析】千葉のM&Aの市場動向について徹底解説!

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良い後継者が見つからないという課題を抱えている経営者は多いのではないでしょうか。一方で、M&Aによる第三者への事業引継ぎが増加傾向にあり、選択肢の1つとして注目されています。本記事を通じて、M&Aの可能性について具体的にイメージできれば幸いです。

千葉県のM&A・事業承継の状況

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千葉県の事業承継の現状について見ていきましょう。千葉県の後継者不在率は43.9%で過去最低を更新し、前年比7.9ポイント低下しました。2018年をピークに5年連続で改善傾向が続いており、調査開始以来初めて50%を下回りました。

年代別で見ると50代は前年から10.8ポイント減と大幅に改善し、60代も30%を初めて下回りました。業種別では全業種で前年を下回り、建設業は初めて50%を割り込み、製造業は40%を切るなど着実に改善が進んでいます。

事業承継の就任経緯を見ると、「同族承継」が34.9%で最多ですが減少傾向にあります。一方、「M&Aほか」は22.1%と増加しており、「内部昇格」(31.1%)はほぼ横ばいとなっています。後継候補の属性は「親族」が35.2%でトップですが、内部昇格や外部招聘では「非同族」が8割超を占めています。

この調査結果から、千葉県の事業承継・M&Aの市場動向について以下のような点が指摘できるでしょう。

    • 千葉県の後継者不在率は全国でも低い水準まで改善が進んでおり、事業承継の重要性に対する経営者の意識は着実に浸透してきた。引き続き官民連携で普及啓発に取り組むことで、更なる改善が期待できる。
    • 40〜60代の経営者層で後継者の選定が大きく前進しており、円滑な事業引継ぎに向けた準備が本格化しつつある。一方、70代以上の経営者には事業承継の緊急性を訴求し、具体的な行動を促す必要がある。
    • 業種を問わず、事業承継への取り組みが活発化している。それぞれの業界に適した支援策を講じることで、後継者問題の解消を一層加速させることができるだろう。
    • 親族内承継の減少とM&Aや外部招聘の増加から、「脱ファミリー」の流れが鮮明になってきた。多様化する事業承継ニーズに合わせ、第三者承継のマッチング支援やデューデリジェンスへの助成など、オーダーメイドの施策を拡充することが求められる。
    • 経営者と後継者の意識の違いから、承継の頓挫も少なくない。承継前の準備から承継後の経営サポートまで、専門家による伴走型支援の充実が重要だ。

M&Aなど、後継者問題解消に向けた取り組み

千葉県でも、後継者不在企業の事業承継を促進するため、行政や支援機関による取り組みが活発化しています。例えば、事業引継ぎ支援センターでは、第三者承継やM&Aに関する情報提供や個別相談、マッチング支援などを行っています。

また、商工会議所などでも、事業承継セミナーの開催や専門家派遣による伴走型支援に力を入れています。事業承継の準備段階から承継後の経営支援まで、切れ目のない支援体制の構築を進めているところです。

一方、民間の動きとしては、金融機関がM&Aを活用した事業承継支援に注力しています。地域密着型の信用金庫などでは、M&A専門部署を設置し、ニーズの発掘から仲介、条件交渉のサポートまで一貫して行うケースが増えています。経営者のニーズを踏まえたオーダーメイドの提案が可能で、地域内での円滑な事業引継ぎに貢献しています。

今後は、親族内や役員・従業員への承継だけでなく、M&Aを含めた第三者承継の選択肢をいかに拡大するかが課題といえるでしょう。支援機関同士の連携強化や、事例の見える化などを通じ、経営者の意識改革を進めていくことが重要です。

「株式会社帝国データバンク」「特別企画:「後継者不在企業」動向調査(2023 年・千葉県)」https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/s231202_26.pdf(2024年3月28日閲覧)

千葉県の休廃業・解散の動向

2023年の千葉県における企業の休廃業・解散件数は2,056件で、前年比3.9%増加し、2年連続で前年を上回りました。休廃業した企業の49.7%が黒字だった一方、赤字企業の割合は50.3%と初めて5割を超えています。

休廃業時の経営者の平均年齢は71.9歳で、4年連続で70歳を超えました。年代別では「70代」の割合が45.8%で最多となっています。事業継続の判断を先送りしてきた高齢経営者の休廃業が目立つ状況です。

業種別では、「建設業」の休廃業が332件で最多となり、「サービス業」「卸売業」「製造業」が続いています。原材料高や人件費増など厳しい経営環境の中で、収益悪化や先行き不安から休廃業を選択するケースが増えているようです。

全国的な傾向を見ると、43の都道府県で休廃業・解散件数が前年から増加しています。千葉県は全国7番目の件数で、休廃業・解散率は6番目に高い水準にあります。事業承継の難しさや経営改善の遅れから、「前向きな廃業」を選ぶ企業も増えつつあるのが実情といえるでしょう。

2024年も休廃業・解散は高水準で推移する可能性が高く、自力再建か円満な廃業かの判断が企業に迫られています。M&Aを含めた事業引継ぎの選択肢を広げ、可能な限り貴重な経営資源を次世代に引き継いでいくことが求められます。

「株式会社帝国データバンク」「千葉県内企業の「休廃業・解散」動向調査(2023 年)」https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/s240103_26.pdf(2024年3月28日閲覧)

千葉県の人手不足状況

正社員が不足していると感じている千葉県内企業は52.9%で、前年同月比4.5ポイント上昇し、1月としては過去最高となりました。非正社員でも33.8%の企業が不足を感じており、前年同月から2.3ポイント上昇しています。

業界別に見ると、正社員の人手不足割合が「建設」(72.1%)、「運輸・倉庫」(65.0%)など、いわゆる「2024年問題」の対象となる業界で高い傾向にあります。非正社員では、「小売」が61.1%で最も高く、前年同月比で20.2ポイントも上昇しました。

新型コロナウイルス感染症の影響から経済活動が正常化した2023年に続き、2024年も人手不足の高止まりが見込まれています。特に「2024年問題」が懸念される業界では、人材確保が経営上の重要課題となるでしょう。

ただ、物価高騰によるコスト増加が続く中、思うように賃上げができないというジレンマを抱える企業も少なくありません。他社の動向も見極めながら、いかに魅力的な処遇を実現し、必要な人材を確保するか。多くの経営者が頭を悩ませる問題となっています。

人手不足解消の手段としてのM&Aの可能性

深刻化する人手不足を解消する手段の1つとして、注目されるのがM&Aです。同業他社や関連業界の企業と経営統合することで、人材を含む経営資源の共有・有効活用が可能となります。

特に、事業承継が難しい企業にとっては、M&Aによる第三者への事業引継ぎが選択肢となり得ます。統合先企業の人的資源を活用することで、事業の継続・発展が期待できるからです。実際、千葉県内でもM&Aによる事業承継を実現した事例が増えつつあります。

例えば、建設業界では職人不足が深刻化する中、工務店同士のM&Aが活発化しています。技術者を引き継ぐことで、受注体制を維持・強化できるメリットがあります。運送業界でも、ドライバー不足を背景に、事業譲渡による規模拡大の動きが広がっています。

また、事業の関連性が高い企業同士のM&Aも有力な選択肢です。商品・サービスの補完関係がある企業と統合することで、人材の相互活用やノウハウの共有が可能となります。シナジー効果を発揮することで、人手不足の解消と共に、競争力の強化も期待できるでしょう。

ただ、M&Aの実現には専門的な知識やノウハウが不可欠です。仲介会社など外部専門家の支援を得ながら、適切なパートナー選びと綿密な統合プロセスを進めることが重要といえます。

「株式会社帝国データバンク」「人手不足に対する千葉県内企業の意識調査(2024 年 1 月)」https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/s240302_26.pdf(2024年3月28日閲覧)

千葉でのM&A成約事例3選

以下は、千葉で起きたM&A事例3選を紹介いたします。

1.イオン株式会社によるマルエツの買収

千葉県に本社を置くイオン株式会社は、2023年に千葉県内のスーパーマーケットチェーン「マルエツ」を買収しました。

この買収により、イオンは千葉県内での小売業の基盤をさらに強化し、地域に密着したサービスの拡充を図っています。特に、生鮮食品の供給力が強化され、顧客満足度の向上に寄与しています。

引用元:https://www.nikkei.com/article/DGXNZO71474930Q4A520C1TI0000/

2.株式会社ROCKY-ICHIMARUと株式会社KONNOPROのM&A

株式会社ROCKY-ICHIMARUは、2023年12月1日、金属精密加工を手がける有限会社ウインテック(長野県)と株式会社KONNOPRO(千葉県)を完全子会社化しました。

これにより、ROCKY-ICHIMARUは両社の技術力をグループに統合し、ものづくりの強化と成長を目指します。

M&Aは、ROCKY-ICHIMARUの長期ビジョン「RI-VISION2030」に基づく戦略の一環であり、グローバルな顧客価値の創出を目指しています。

引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000088637.html

3.株式会社エスエス精機の三和電気株式会社への第三者承継事例

株式会社エスエス精機の事業引継ぎ事例では、同社が三和電気株式会社に第三者承継を実施しました。

エスエス精機は金属部品製造業を営んでおり、創業者の高齢化による後継者不在問題に直面していました。

サポート機関を通じてM&Aを進めた結果、三和電気が後継企業として引き継ぎました。

この承継により、エスエス精機の技術と事業が継続され、雇用の維持も実現しました。

引用元:https://chiba-jigyohikitsugi.jp/jirei/

4.日本創発グループがポリエチレン製品のカタオカプラセスを子会社化

日本創発は2018年4月、カタオカプラセスを子会社化しました。

日本創発はコピー用紙やデジタルコンテンツなどのソリューションを提供しており、カタオカプラセスはポリエチレン製品を中心に製造・販売を行っています。

双方の事業領域を補完し、商品ラインアップを拡充するため、このM&Aが実施されました。

引用元:https://maonline.jp/news/20180418d

5.クワザワがマンション大規模修繕工事のフリー・ステアーズを子会社化

2020年4月、クワザワはフリー・ステアーズを完全子会社化しました。

クワザワは北海道で建設資材や工事を手掛け、マンションの排水管工事にも注力しています。

一方、フリー・ステアーズは首都圏でマンションの塗装・防水工事を行っています。

このM&Aは、マンション工事のノウハウを取り入れ、経営基盤を強化する目的で実施され、双方の事業拡大が期待されています。

引用元:https://maonline.jp/news/20200120b

千葉県でのM&A・事業承継の進め方

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※この段落は、中小企業庁の事業承継ガイドライン第3版に記載されている事業承継の進め方を参考に、わかりやすく解説していきます。まずはその旨を説明した上で、各ステップについて見ていきましょう。

ステップ1:事業承継に向けた準備の必要性の認識

事業承継は早めの準備が肝心です。特に、経営者の年齢が60歳に達したら、具体的な準備に着手するのが望ましいといわれています。現状を見える化し、課題を明確にした上で、計画的に取り組んでいくことが大切です。仮に60歳を超えているようなら、一刻も早く身近な支援機関に相談し、アドバイスを受けるようにしましょう。個々の事情は異なりますが、早めの行動が円滑な事業承継の鍵を握ります。

ステップ2:経営状況・経営課題等の把握(見える化)

事業承継を進める上で重要なのが、会社の経営状況や経営資源、知的資産等を正確に把握し、「見える化」することです。自社の強み・弱みを客観的に認識することで、引き継ぐべき価値が明確になります。

加えて、後継者候補の有無、親族内の理解、取引先との関係など、事業承継を進める上での課題も併せて整理しましょう。将来の相続なども視野に入れて、総合的に準備状況を診断することが重要です。

ステップ3:事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)

事業承継を控えた企業には、事業の磨き上げが求められます。後継者により良い状態で引き継げるよう、本業の競争力強化や経営体制の見直し、財務基盤の改善などに計画的に取り組みましょう。

例えば、強みとなる技術やノウハウの見える化、後継者育成に向けたマニュアルの整備など、承継後を見据えた経営改善を進めることが重要です。過剰債務など課題がある場合は、専門家の助言を得ながら対策を講じることも必要です。

ステップ4:M&Aの工程の実施

M&Aによる事業承継では、譲渡の意思決定から、仲介者選定、企業価値評価、マッチング、条件交渉など、一連の工程を着実に進めていく必要があります。

特に、M&Aに通じた専門家を選ぶことが重要です。M&A仲介会社や金融機関、士業専門家など、多様な選択肢がある中で、自社の規模や業界特性、目的などを踏まえ、最適な支援先を見極めましょう。

譲渡価格や契約条件など、各論点について専門家のアドバイスを受けつつ、譲渡先との交渉を慎重に進めていくことが求められます。双方にとって有益となる合意形成を目指すことが重要です。

ステップ5:事業承継の実行

いよいよ事業承継の実行段階です。M&Aであれば、契約書に沿って、資産や権利義務の移転手続きを進めます。事業用資産の承継や、許認可の名義変更、顧客・取引先への周知など、実務的な移行作業が続きます。

また、従業員への説明とフォローにも万全を期す必要があります。文化の違いなどから、統合後の軋轢リスクも想定されます。トップの強いリーダーシップの下、十分なコミュニケーションを図ることが何より重要です。

専門家の協力を得ながら、着実かつスピーディーな移行を心がけましょう。事業を通じて築いてきた信頼と価値を、次の世代に引き継いでいくことが、オーナー経営者に課された使命です。

千葉県でのM&A・事業承継に関する相談先まとめ

M&Aや事業承継を進める際は、支援機関の力を上手く活用することが重要です。千葉県内にも、経営者の相談に乗ってくれる様々な窓口がありますので、ぜひチェックしてみましょう。

よろず支援拠点

国が設置する「よろず支援拠点」は、様々な経営課題の相談に対応するワンストップ窓口です。千葉県内にも拠点があり、事業承継やM&Aについても、専門家が親身に相談に乗ってくれます。

課題の整理から具体的な解決策の提案まで、伴走型の支援が受けられるのが特徴です。初めての相談でも丁寧に対応してくれるので、まずは一度訪ねてみるのがおすすめです。

経営安定特別相談室

商工会議所や商工会が設置する「経営安定特別相談室」も心強い味方です。事業承継の進め方や、M&Aの手続きなど、専門性の高い相談にも乗ってもらえます。

弁護士や税理士、中小企業診断士など、様々な士業専門家が在籍し、複雑な課題にも対応可能です。日頃から相談できる体制を整えておくと、いざという時に心強いサポートが得られるでしょう。

事業承継・引継ぎ支援センター

「事業承継・引継ぎ支援センター」は、事業承継やM&Aに特化した支援機関です。千葉県内にも拠点があり、第三者承継やM&Aのマッチング支援に定評があります。

仲介先の選定から条件交渉、契約締結まで、M&Aの全工程を手厚くサポートしてくれます。事業の引継ぎが難しいと判断される場合は、廃業支援にも対応しているのが心強いポイントです。

中小企業診断士

中小企業診断士は、事業の見える化や経営改善の支援を得意としています。M&Aを見据えた磨き上げ段階で、力を発揮してくれる専門家です。

自社の業界に明るい診断士を選ぶことがおすすめです。事業の特性を理解した上で、課題解決に向けた的確なアドバイスが期待できます。中小企業診断協会で紹介を受けるのも1つの方法でしょう。

税理士

事業承継の局面では、普段から付き合いのある税理士の存在も心強いものです。資産承継の税務や、譲渡価格の妥当性の検討など、重要局面で力を発揮してくれます。

企業オーナーの相続対策にも通じた税理士を選ぶと、より総合的な支援が受けられるでしょう。事業の実情を踏まえたアドバイスは、判断を左右する重要な材料となります。

金融機関

メインバンクを始めとする金融機関も、事業承継・M&A支援に本腰を入れています。経営支援に特化した専門部署を設置し、ワンストップの支援を提供しているところも増えています。

M&Aの仲介はもちろん、デューデリジェンス(買収監査)など高度な支援にも対応可能です。日頃の付き合いを活かし、オーダーメイドの提案を引き出していくことが肝心でしょう。

M&A専門会社

本格的なM&Aを実行する場合は、M&A専門会社の起用も視野に入れましょう。豊富な実績と専門性の高さが強みです。業界特性に応じた案件の紹介から、条件交渉のサポートまで、トータルな支援が受けられます。

ただ、自社の規模や予算、案件の特性などを踏まえ、最適な会社を選ぶ必要があります。実績と費用対効果を見極めつつ、信頼に足る専門会社を見つけることが重要です。

中小企業基盤整備機構

中小企業基盤整備機構など、事業承継支援に知見のある公的機関があります。各地の拠点で、専門家の紹介や情報提供、研修など、間接的な支援メニューを用意しています。支援機関同士の連携強化にも尽力しており、面的な支援体制の拡充に期待がかかります。

このように、千葉県内には事業承継・M&Aをサポートする支援機関が数多くあります。各機関の特性を理解しつつ、必要な支援を上手に引き出していくことが重要です。周囲の専門家の知恵を結集し、円滑な事業承継の実現を目指しましょう。

千葉県のM&A仲介会社選びのポイント

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M&Aによる事業承継を検討する際は、経験豊富な専門家を味方につけることが何より重要です。特に、M&A仲介会社の選択は慎重に行いたいものです。千葉県内でM&A支援先を探す際のポイントを確認しておきましょう。

M&Aの成約実績が豊富か

M&A支援会社選びで重視したいのが、成約実績の豊富さです。数多くのM&A案件をまとめた経験のある会社なら、交渉術に長けているはずです。実績数だけでなく、取引規模や業種の広がりにも注目しましょう。

自社の事業規模や業界特性に合った案件の実績があるかを確認することが大切です。条件面などのノウハウが蓄積されているため、円滑な交渉が期待できます。

自社の業界に精通しているか

自社の業界事情に詳しい仲介会社を選ぶのも重要なポイントです。業界特有の商慣行や経営課題を理解している方が、スムーズにM&Aを進められるからです。

同業他社とのM&A案件の実績があれば申し分ありません。業界内のネットワークを活かし、最適な買い手候補を探してくれるはずです。自社の事業価値を適切に評価する目利き力も備わっているでしょう。

M&Aの種類(買収、合併、事業譲渡など)に応じた専門性を持っているか

M&Aには、株式譲渡や事業譲渡、合併など、様々な手法があります。取引の形態に応じた高度な専門性が求められるため、経験豊富な仲介会社を選ぶことが欠かせません。

自社の意向に合ったM&Aスキームを提案してくれる会社が望ましいでしょう。法務面や税務面の課題にも精通し、トータルなサポート力を備えているかどうかもチェックしたいポイントです。

成功報酬以外の手数料体系が明確か

M&A仲介会社の報酬体系は、成功報酬型が一般的です。つまり、案件が成立した場合にのみ報酬が発生する仕組みです。ただ、着手金など固定費用を設定している会社もあるため、契約前に手数料体系を確認しておくことが重要です。

料率の水準だけでなく、計算方法も含めて、明確な説明を受けましょう。専属契約を求められるケースもあるため、複数社への相談の可否も事前に確認しておくと安心です。

自社の規模や目的に合ったサービスを提供できるか

M&A支援会社の得意分野は多岐にわたります。大型案件に強みを持つ会社もあれば、中小企業のM&Aに特化したところもあるからです。自社の規模や目的に合った専門性を持つ会社を選ぶことが肝心です。

例えば、事業の一部を売却する場合は、部門売却の実績が豊富な会社がおすすめです。一方、完全子会社化を目指す場合は、PMIまで視野に入れた総合的な支援力を備えた会社を選ぶと安心でしょう。

M&Aは、オーナー企業にとって一大イベントです。信頼できるパートナーを見つけられるかどうかが、成否を分けると言っても過言ではありません。相性の良い仲介会社を選び、二人三脚で理想の事業承継の実現を目指しましょう。

まとめ

本記事では、千葉県のM&Aの市場動向を解説しつつ、後継者不在に悩む中小企業経営者に向けて、M&Aによる事業承継の進め方をご紹介しました。

千葉県では、後継者不在率が着実に改善しているものの、依然として深刻な状況が続いています。親族内承継の減少とM&Aの増加など、事業承継の形も多様化しつつあります。一方、経営環境の悪化から休廃業を選択する企業も増えており、円滑な事業引継ぎに向けた支援の拡充が急務となっています。

▼監修者プロフィール

岩下 岳

岩下 岳(S&G株式会社 代表取締役) S&G株式会社

新卒で日立Gr.に入社。同社の海外拠点立上げ業務等に従事。
その後、東証一部上場のM&A仲介業界最大手の日本M&Aセンターへ入社ディールマネージャーとして、複数社のM&A(株式譲渡・事業譲渡・業務提携等)支援に関与。IT、製造業、人材、小売、エンタメ、建設、飲食、ホテル、物流、不動産、サービス業、アパレル、産業廃棄物処分業等、様々な業界・業種でM&Aの支援実績を有する。現在はS&G代表として、M&Aアドバイザー、及び企業顧問に従事している。