大阪府の事業承継・M&Aの動向|後継者がいない会社の成功事例を解説
「大阪府で事業しているものの後継者がいない」「大阪府の事業承継の動向が知りたい」というように、大阪府で事業承継について悩んでいる経営者もいるのではないでしょうか。
大阪府で事業承継するには、大阪府の事業承継の動向や成功事例を知ることが大切です。
本記事では大阪府の事業承継の動向や後継者がいない会社の成功事例だけでなく、事業承継を成功させるポイントも解説します。大阪府の経営者で事業承継に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
目次
大阪府の産業に関連する現状
大阪府の事業承継の動向を解説する前に、まずは大阪府の産業に関連する現状を紹介します。
紹介する内容は、次のとおりです。
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- 大阪府の人口
- 大阪府の主な産業
- 大阪府の事業所・従業員数
大阪府の人口
令和6年2月1日現在、大阪府の人口は876万人です。
大阪府の人口は20年ほどあまり変動しておらず、870万人〜880万人程度で推移していますが、世帯数は年々増加しており20年ほどで700万世帯ほど増えています。
世帯の人数は2020年に2.14人となっており、1人暮らしや2人暮らしの割合が増えてきていることを示しています。少子高齢化の影響で年齢を重ねた夫婦が1人になってしまい、子どもがいないこと、大阪府に出稼ぎしにきている単身者の多いことも要因の1つです。
大阪府は人口が減少していないものの、後継者の数は減っているということがわかります。
参考文献:大阪府 大阪府の人口等の推移について
大阪府の主な産業
大阪府の主な産業は卸・小売業です。
大阪府では卸・小売業に従事している人が多く、全体の23.2%を占めています。卸・小売業に続くのは宿泊業・飲食サービス業(11.5%)、製造業(10.2%)ですが卸・小売業に従事する人と比べると少なくなります。
ただし、大阪府の事業所数は全国2位であり、事業所数自体はどの業種でも多いのが特徴です。
参考文献:大阪府 なにわの経済データ‘22
大阪府の事業所・従業員数
大阪府の事業所数は469,446事業所(全国2位)、従業員数は4,528,208人(全国2位)です。
1つの事業所に勤務している従業員数は、1人〜4人が全体の55.1%を占めています。5人〜9人の事業所が全体の19.7%であり、10人未満の事業所が74.8%を超えています。
なお、大阪府は廃業率が全国平均を上回っており、開業率は全国平均並みです。そのため、今後は事業所が少なくなっていく可能性も秘めています。
参考文献:大阪府 なにわの経済データ‘22・令和3年経済センサス‐活動調査結果【確報】
大阪府の事業承継・M&Aに関連する現状
大阪府の事業承継・M&Aに関する現状で解説する内容は、次のとおりです。
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- 大阪府の経済状況
- 大阪府の社長年齢平均
- 大阪府の後継者不在率
大阪府で事業承継を考えている人は、動向を参考にどのような対策を立てればよいのか検討してみましょう。
大阪府の経済状況
大阪府の令和6年1月〜3月の景況判断BSIでは、すべて業績が改善されると見込まれています。ただし、中小企業の製造業に関しては改善するものの、改善してようやく赤字から脱する状況であり、依然として厳しい状況にあるようです。
経済状況の改善が見込まれる状態であり、全体的に職種・事業所規模での雇用が不足気味となっています。
大阪府の社長年齢平均
大阪府の社長の年齢平均は61.76歳です。
全国平均の63.02歳であり、61.76歳というのは全国で一番若い年齢です。ただし、会社の解散・廃業をしている社長の年齢は71.63歳であり、引退までの年数はそこまで長くない経営者が多いということもわかります。
事業承継には5年〜10年かかるとされており、余裕をもって後継者に引き継ぎできる年齢ではありません。
大阪府は社長の年齢平均が低いものの、事業承継の必要性を考えなかればならない状況であることは理解しておく必要があります。
参考文献:東京商工リサーチ 2022年「全国社長の年齢」調査
大阪府の後継者不在率
大阪府の後継者不在率は48.9%です。
近畿地方の中では滋賀県の53.9%、奈良県の51.2%に続く悪い数字となり、半数近くの事業所で後継者がいないという状況に陥ってしまっています。
ただし、2011年の73.9%からは数字が大きく下がっており、とくに2021年から大きな改善が見られています。近年はM&Aなどの事業承継の手法が認知され、第三者の承継が多く実行されていることが要因の1つです。
参考文献:帝国データバンク 近畿企業の「後継者不在率」調査(2023年)
大阪府で事業承継・M&Aを進める方法
大阪府で事業承継・M&Aを進める方法は、次のとおりです。
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- マッチングサイトやM&A仲介会社を利用する
- 金融機関に相談する
- 公的機関にサポートしてもらう
後継者不在に悩んでいる経営者は、大阪府で事業承継・M&Aを進める方法を確認し後継者を探していきましょう。
マッチングサイトやM&A仲介会社を利用する
第三者の後継者を探すのであれば、マッチングサイトやM&A仲介会社を利用するとよいでしょう。
大阪府は後継者不在率が高いものの、第三者の事業承継の割合が増えて不在率が改善してきています。そのため、第三者の後継者を探すために有用なマッチングサイトやM&A仲介会社の利用が効果的といえます。
マッチングサイトやM&A仲介会社を利用すれば、全国から広く後継者を探すことが可能です。大阪府で後継者を探しても見つからない場合、全国に対象を広げて後継者を探していきましょう。
なお、マッチングサイトとは後継者不在の企業と後継者希望の人をつなぐためのサイトであり、M&A仲介会社とはM&A(合併・買収)を希望する買い手企業と売り手企業をつなげる会社です。
金融機関に相談する
地元の後継者を探すのであれば、金融機関に相談してみましょう。
金融機関は地元に根ざした企業であり、地域の情報に精通しています。大阪府内で後継者を探している人にあっている相談先です。
金融機関は後継者探しだけでなく、融資にも対応してくれるのが利点です。事業承継をする場合、企業のブラッシュアップや承継後の新規事業の取り組みなど多くの資金を要します。
金融機関に相談すれば、後継者不在の解消とともに、融資問題も解決できる可能性があります。
また、地元の後継者を見つける方法として、商工会議所を利用するのも方法の1つです。商工会議所は地元の企業の内情を理解しており、後継候補者の情報をもっているかもしれません。
公的機関にサポートしてもらう
無料で後継者不在の相談をしたい場合は、公的機関に相談してみましょう。
近年、後継者不在で技術・ノウハウが途絶えてしまうことが問題となっており、国も後継者不足解消のための機関を設置して対策しています。
国が設置している機関の代表は「事業承継・引継ぎ支援センター」です。
事業承継・引継ぎ支援センターでは無料で後継者不足の相談ができ、承継までのサポートを行ってくれます。各都道府県に設置されており、大阪府には大阪市中央区に設置されています。
大阪府の事業承継事例
大阪府の事業承継・M&A成功事例は、次のとおりです。
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- 製造業【親族内承継】
- 小売業【従業員承継】
- 金属加工業【第三者承継】
大阪府内の会社の中には、後継者不在を解消し事業承継・M&Aに成功した会社もあります。どのような会社が、後継者を見つけ事業承継に成功したのか事例を見ていきましょう。
製造業【親族内承継】
大阪府内の製造業の経営者は61歳を迎えたことを機に、第三者から後継者を探しはじめ、後継者が見つからなければ廃業することも検討していました。
経営者には子どもがいたものの、当初は子どもに承継させることは考えておらず、商工会議所を通じて事業承継の専門機関に相談します。
経営者は事業承継の専門機関とともに、事業承継の方針を定めていくことになりました。しかし、子どもが事業承継の意向を示したことで、第三者承継から親族承継に計画が変更され、子どもが引き継ぐことになります。
専門家に相談し事業承継の方向性を決めてから親族内承継を決断したため、行き当たりばったりで子どもに承継させることもなく、専門家のサポートのもとでスムーズな事業承継が実現できました。
小売業【従業員承継】
創業40年の小売業の経営者は高齢であり、従業員を後継者にした事業承継を検討していました。
事業承継の専門家に相談しつつも、経営者や従業員は多忙な日々を送っており、事業承継のことを後回しにせざるを得ませんでした。そこで、事業承継の専門機関は金融機関と連携し、法的な問題やスムーズな事業承継への課題の洗い出しを行って事業承継の進展を後押しします。商品在庫等の整理や家賃の処理、株式の譲渡、役員変更にかかるアドバイスとさまざまなサポートを金融機関とともに実施しました。
結果、問題点が明確となり、多忙な日々を送る経営者に負担をかけることなく事業承継が実現します。
事業承継を行うには、多くのサポートの必要性が高いことがわかる事例です。
金属加工業【第三者承継】
設立25年を経過する金属加工業の経営者は、事業承継を考えるも後継者がおらず、このままでは取引先に迷惑をかけると事業承継の専門機関に相談しました。
事業承継の専門機関が後継者を探したところ、売り手企業の協力会社であった企業が後継に名乗りを挙げます。
後継希望の企業は売り手企業を吸収するのではなく、ともに成長していくことを選択し株式譲渡を受けて子会社化しました。協力会社が後継者となったこともあり、話し合いを開始してから9ヶ月と短い間の事業承継となった事例です。
大阪府のM&A事例5選
以下は、大阪府に関連するM&A事例5選を紹介いたします。
1.パナソニックによるBlue Yonderの完全子会社化
パナソニックは、米国のAIソフトウェア企業Blue Yonderを完全子会社化しました。この買収は、パナソニックのスマートファクトリーおよびサプライチェーン管理の技術強化を目指して行われ、デジタル技術の強化に貢献しました。パナソニックは、Blue YonderのAI技術を取り入れ、グローバル市場での成長を目指しています。
引用元:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-04-23/QS01ZJT1UM1H01
2.積水ハウスによる米国住宅会社の買収
2017年、積水ハウス株式会社は、アメリカの戸建て住宅市場への本格参入を目的として、米国の住宅会社を約533億円で買収しました。このM&Aにより、積水ハウスは米国市場での事業基盤を強化し、成長が期待される米国の戸建て住宅市場での競争力を向上させました。
積水ハウスは、この買収を通じて現地の住宅需要に対応した製品を提供し、グローバル戦略の一環として海外事業の拡大を目指しています。この買収は、積水ハウスがグローバル市場でのプレゼンスを高めるための重要なステップと位置づけられています。
引用元:https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ22HNS_S7A220C1TI1000/
3.小林製薬株式会社による米国における子会社取得
小林製薬株式会社は、北米におけるサプリメントおよび一般用医薬品事業の拡大を目的として、Focus Consumer Healthcare, LLCを7500万ドルで完全子会社化しました。
Focus社は、にんにくサプリメントや生理用鎮痛剤などの製品を全米で販売しており、今回の買収により、小林製薬は北米市場での事業をさらに強化することを目指しています。
引用元:https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2023/20231006/
4.堺化学工業がSC有機化学を吸収合併
堺化学工業株式会社は、完全子会社であるSC有機化学株式会社を吸収合併しました。この合併は簡易合併および略式合併の形で行われ、堺化学工業の事業効率化とグループシナジーの強化を目指しています。
これにより、両社の事業リソースを一体化し、さらなる成長と競争力の向上を図ることが目的とされています。
引用元:news release
5.ロート製薬が欧州同業を51億円で買収
ロート製薬株式会社は、2024年7月末を目標にオーストリアの製薬会社モノケムファーム・プロドゥクト(モノ社)を約51億円で買収し、欧州市場での事業基盤を強化します。ロート製薬は、モノ社の生産拠点と販売網を活用して、欧州での眼科薬販売を加速させることを目指しています。
引用元:日本経済新聞
大阪府で事業承継・M&Aを進めるときの注意点
大阪府で事業承継・M&Aを進めるときの注意点は、次のとおりです。
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- 大阪府で実績のあるM&A仲介会社を選ぶ
- 情報は隠さず正確に伝える
- 余裕あるスケジュールを組む
大阪府で事業承継・M&Aを進めていくときの注意点を理解し、後継者不在をスムーズに解消していきましょう。
大阪府で実績のあるM&A仲介会社を選ぶ
大阪府でM&Aを検討する場合、大阪府で実績のあるM&A仲介会社を選択しましょう。
M&A仲介会社は数多くあるものの業種や地域によって得意・不得意があり、大阪府内の顧客量が会社によって変わってしまいます。選択したM&A仲介会社が大阪府に強くない場合、有利な条件でM&Aを進められないおそれもあるため注意しなければなりません。
M&A仲介会社を選択するときには、1社に絞らずに多くのM&A仲介会社を比較検討するとよいでしょう。
情報は隠さず正確に伝える
事業承継をする場合、企業の情報は隠さずに正確に伝えましょう。
買い手企業は売り手企業の内容をデューデリジェンスしますが、調査しきれずにマイナスな情報を発見できないことがあります。見つからなかったといってそのまま放置していると、契約を解除されてしまう可能性があります。
簿外債務や未払給与、労働者との紛争などマイナスの情報を隠したまま事業承継を行うと、買い手企業から訴訟を起こされるおそれもあるので、決して隠してはいけません。
なお、デューデリジェンスとは買収監査のことを指し、公認会計士などの専門家が売り手企業の実態を調査することです。
余裕あるスケジュールを組む
事業承継を実行するときには、余裕あるスケジュールを組むようにしましょう。
後継者不在の企業が事業承継するには、後継者発見と引き継ぎに相当な時間がかかります。仮に後継者がすぐ見つかったとしても、後継者の育成には5年以上かかることもあります。経営者が高齢になってから事業承継の計画を立てると、手遅れになることもあるため注意しなければなりません。
事業承継を成功させるには早めの準備が必要であり、事業承継の専門機関への相談も早めに行いましょう。
大阪府で事業承継・M&Aを検討するなら「TSUNAGU」へご相談ください
大阪府で事業承継・M&Aを検討する場合、さまざま方法で後継者不在を解決できます。
後継者不在を解消するにはマッチングサイトやM&A仲介会社、公的機関に相談する方法などがあります。しかし、相談先の質や実績などによって、事業承継に成功するかどうか変わってしまうことには注意しなければなりません。
どの相談先を利用すればわからないという方は「TSUNAGU」の利用を検討ください。M&A仲介会社によって得意不得意がありますが、比較してどの会社を利用するのか検討するのは困難です。「TSUNAGU」では、数十社のM&A仲介会社の比較ができ、相談者に合った経験豊富な会社を紹介することが可能です。
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ディスクリプション
大阪府で後継者がいないとお悩みの人は多くいるかもしれませんが、事業承継やM&Aで後継者を見つけられます。事業承継・M&Aをする方法や成功事例、進めるときの注意点を理解しスムーズな事業承継を実現していきましょう。
▼監修者プロフィール

岩下 岳(S&G株式会社 代表取締役) S&G株式会社
新卒で日立Gr.に入社。同社の海外拠点立上げ業務等に従事。
その後、東証一部上場のM&A仲介業界最大手の日本M&Aセンターへ入社ディールマネージャーとして、複数社のM&A(株式譲渡・事業譲渡・業務提携等)支援に関与。IT、製造業、人材、小売、エンタメ、建設、飲食、ホテル、物流、不動産、サービス業、アパレル、産業廃棄物処分業等、様々な業界・業種でM&Aの支援実績を有する。現在はS&G代表として、M&Aアドバイザー、及び企業顧問に従事している。