福岡県の事業承継・M&Aの動向|後継者がいない会社の成功事例を解説

「福岡県で後継者をどうやって探せばよいの?」「福岡県の事業承継の動向はどうなっているの?」というように、福岡県で事業承継について悩んでいる経営者もいるのではないでしょうか。

福岡県で事業承継するには、福岡県の事業承継の動向や成功事例を知ることが大切です。

本記事では福岡県の事業承継の動向や後継者がいない会社の成功事例だけでなく、事業承継を成功させるポイントも解説します。福岡県の経営者で事業承継に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

福岡県の産業に関連する現状

福岡県の事業承継の動向を解説する前に、まずは福岡県の産業に関連する現状を紹介します。

紹介する内容は、次のとおりです。

    • 福岡県の人口
    • 福岡県の主な産業
    • 福岡県の事業所・従業員数

福岡県の人口

令和4年10月1日現在、福岡県の人口は5,117,967人です。

平成25年以降、福岡県の人口は増加していましたが令和に入り人口が減少しつつあります。しかし、減少率は小さく大幅な変動が起きていません。

世帯数に関しては増加しつづけており、令和4年には世帯数2,371,010となって調査開始以降で最大数を記録しました。

また、福岡県全体の年齢平均が徐々に上昇しており、平成17年には県民平均年齢42.9歳だったものの、令和4年には47.1歳まで上昇しています。年齢増加にともない全体人口のうち28.4%が老年人口が占めることとなり、年少人口は徐々にですが低下し始めています。

参考文献:令和4年福岡県の人口と世帯年報

福岡県の主な産業

福岡県の主な産業は製造業です。

ただし、サービス業の割合も多く、製造業(27.5%)とサービス業(25.4%)の合計が全体の52.9%に達します。製造業・サービス業に続くのは商業ですが、全体の13.9%と割合は高くありません。

製造業の割合は年々増えており、2000年には全体の24.0%でしたが27.5%まで上昇しています。一方、建設業の割合が年々減っており、2000年には全体の7.9%を占めていましたが、2011年には5.0%まで下落しています。

参考文献:福岡県の基盤産業

福岡県の事業所・従業員数

福岡県の事業所数は210,530事業所(全国7位)、従業員数は2,309,989人(全国6位)です。

福岡県は1事業所の従業員数も多く、1事業所あたり11.0人で全国10位です。ただし、事業所に勤務している人数は1人〜4人が最多で、事業所数全体の54.3%を占めます。つまり、従業員数の少ない事業所と、多い事業所の差が激しいということです。

従業員が少ない事業所が多いほど後継者不在に悩まされるケースが多く、福岡県は九州の中でも後継者不在率が高い県に該当します。

参考文献:令和3年経済センサス-活動調査(確報)

福岡県の事業承継・M&Aに関連する現状

「福岡県の事業承継・M&Aに関する現状」で解説する内容は、次のとおりです。

    • 福岡県の経済状況
    • 福岡県の社長年齢平均
    • 福岡県の後継者不在率

福岡県で事業承継を考えている人は、動向を参考にどのような対策を立てればよいのか検討してみましょう。

福岡県の経済状況

福岡県の令和6年7月~9月の景況判断BSIでは、製造業・非製造業ともに業績の改善が見込まれています。非製造業の業績は大幅に改善される予測ですが、製造業は小さな業績改善に留まるとの予測です。

ただし、福岡県の調査は製造業と非製造業の区分しかされておらず、詳細な業種区分では業績改善の見込みが変わってくる可能性があります。

また、業績改善の見込みであるため、製造業・非製造業ともに雇用が足りていないというのが状態です。

参考文献:法人企業景気予測調査 令和6年1~3月期調査

福岡県の社長年齢平均

福岡県の社長の年齢平均は63.08歳です。

全国の社長の年齢平均は63.02歳であり福岡県は全国平均に近い年齢ですが、九州の他の県と比較すると熊本県の62.82歳についで低い数値です。

しかし、年齢平均が60歳を超えており、引退のために事業承継を準備していかなければならない歳でもあって決して若いとはいえません。休廃業・解散した企業の社長の年齢平均は71.63歳であり、引退まで8年程度しかない計算となります。

事業承継には5年~10年かかるといわれており、事業承継を検討しながら経営が必要な年齢といえます。

参考文献:東京商工リサーチ 2022年「全国社長の年齢」調査

福岡県の後継者不在率

福岡県の後継者不在率は57.9%です。

九州の各県と比べると大分県(62.9%)、長崎県(59.6%)についで悪い数字です。

後継者不在率は2019年の67.2%をピークとして徐々に改善されているものの、引き続き高い後継者不在率を記録しています。

しかし、半数を超える事業所に後継者がいないのは、経営上大きな問題になります。後継者がいない場合、事業承継の計画を立てて業務改善や後継者探し、後継者の育成などを行わなければなりません。

事業承継には時間も費用もかかるため、かなり早い段階からの対策が必要でしょう。

参考文献:帝国データバンク 九州企業の「後継者不在率」動向調査(2023年)

福岡県で事業承継・M&Aを進める方法

福岡県で事業承継・M&Aを進める方法は、次のとおりです。

    • マッチングサイトやM&A仲介会社を利用する
    • 金融機関に相談する
    • 公的機関にサポートしてもらう

後継者不在に悩んでいる経営者は、福岡県で事業承継・M&Aを進める方法を確認し後継者を探していきましょう。

マッチングサイトやM&A仲介会社を利用する

後継者を探すのであれば、マッチングサイトやM&A仲介会社の利用を検討しましょう。

福岡県は後継者不在率が高いものの、第三者の事業承継の割合が増えて不在率が改善してきています。そのため、第三者の後継者を探すために有用なマッチングサイトやM&A仲介会社の利用が効果的といえます。

マッチングサイトやM&A仲介会社を利用すれば、全国から広く後継者を探すことが可能です。福岡県内で後継者を探しても見つからない場合、全国を対象として後継者を探すとよいでしょう。

なお、マッチングサイトとは後継者不在の企業と後継者希望の人をつなぐためのサイトであり、M&A仲介会社とはM&A(合併・買収)を希望する買い手企業と売り手企業をつなげる会社です。

金融機関に相談する

地元の後継者を探すのであれば、金融機関に相談してみましょう。

金融機関は地元に根ざした企業であり、地域の情報に精通しています。福岡県内で後継者を探している人にあっている相談先です。

事業承継をする場合、企業のブラッシュアップや承継後の新規事業の取り組みなど多くの資金を要します。しかし、金融機関に後継者の相談をすれば、融資の相談までできます。

また、地元の後継者を探す場合、商工会議所を利用する方法も1つの方法です。商工会議所も金融機関と同じく地元の情報を多く保有しており、福岡県内の後継者の情報を提供してくれるケースがあります。

公的機関にサポートしてもらう

無料で後継者不在の相談をしたい場合は、公的機関に相談してみましょう。

近年、後継者不在で技術・ノウハウが途絶えてしまうことが問題となっており、国も後継者不足解消のための機関を設置して対策しています。

国が設置している機関の代表は「事業承継・引継ぎ支援センター」です。

事業承継・引継ぎ支援センターでは無料で後継者不足の相談ができ、承継までのサポートを行ってくれます。各都道府県に設置されており、福岡県には福岡市博多区に設置されています。

福岡県の事業承継事例

福岡県の事業承継・M&A成功事例は、次のとおりです。

    • 飲食店【親族内承継】
    • 撮影業【従業員承継】
    • ガラス製造業【第三者承継】

福岡県内の会社の中には、後継者不在を解消し事業承継・M&Aに成功した会社もあります。どのような会社が、後継者を見つけ事業承継に成功したのか事例を見ていきましょう。

飲食店【親族内承継】

創業して40年以上経過している飲食店の経営者は年齢のこともあり、事業承継のことを考え出していました。

後継者は同じ職場にいる子どもと決めていたものの、コロナ禍による売上減少を補うために新商品の開発に取り組み、事業承継の準備は後回しになってしまいます。

そのようなときに、商工会議所に事業承継のことを話す機会があり、事業承継には5年以上かかるからとアドバイスを受けました。そのため、経営者は商工会議所を通じて事業承継の専門家に相談し、事業承継計画の着手に入ります。

専門家の支援の下、相談した翌年には事業承継を実行、現在は事業承継計画に基づいた事業を展開しています。

この事例は後継者はいるものの、事業承継を後回しにしてしまい、承継に何年もかかるとは思っていなかった経営者の事例です。

撮影業【従業員承継】

脱サラして撮影業を開始した経営者は60歳を超えたことで、事業承継の検討を始めました。

後継者に指名したい従業員がいたものの、どのように交渉してよいのかわからず事業承継は一向に進まない状態でした。そこで、事業承継を進めるために、事業承継の専門機関に相談します。

事業承継の専門機関からは承継の手続きや方法だけでなく、後継候補者との折衝方法のアドバイスも受けました。折衝方法などを学び後継候補者である従業員との折衝を重ね、無事事業承継は完了しました。

現在は後継者の育成も行いつつ、事業承継計画を遂行している段階です。

この事例では、後継候補者はいるものの、どうやって折衝したらよいのかわからない事例でした。後継候補者がいても、後継者として確定していない場合、後継者不在と変わらないということは理解しておかなければなりません。

ガラス製造業【第三者承継】

小規模事業者である製造業の2代目の経営者は、自身が承継に苦労したこと、大変な仕事で子どもに事業承継をさせたくないという想いからM&Aを実行すると決断します。

M&Aの実行のために金融機関に相談し、金融機関が買い手会社を発見します。しかし、買い手会社との交渉を直接しなければならず、折衝に不安があった経営者は事業承継の専門家に相談しました。そして、金融機関と事業承継の専門家と連携して、経営者をサポートしていくことになります。

当初は、株式譲渡による子会社化として進めていく流れでしたが、買い手会社の代表が多忙なこともあり、2つの企業を運営するのは不可能と判断します。そのため、株式譲渡だけではなく、吸収合併の道を選択しました。

最終的には事業承継の専門家のサポートにより、吸収合併が成立して事業承継が行われました。

この事例は小規模事業者でもM&Aに成功した事例です。M&Aを利用する人は増えてきており、事業規模を問わず成立する可能性があることを示しています。

福岡県のM&A事例3選

以下は、福岡県に関連するM&A事例選を紹介いたします。

1.九州電力による太陽光発電事業の買収

エンフィニティ・グローバルは、九州電力株式会社に対して、米国にある400MWの太陽光発電事業ポートフォリオの一部を譲渡しました。九州電力はこのポートフォリオの40%を保有し、エンフィニティ・グローバルは残りの60%を保有し、長期的なアセット・マネージャーを担います。この取引は、両社の協力関係を深め、再生可能エネルギー市場での成長を目指すものです。

引用元:https://jp.prnasia.com/story/109269-3.shtml

2.西日本旅客鉄道が菱重プロパティーズを買収

西日本旅客鉄道(JR西日本)は、不動産事業を展開する菱重プロパティーズを買収することを発表しました。この買収により、JR西日本は不動産事業を強化し、さらなる成長を目指します。菱重プロパティーズは、三菱重工業の不動産子会社であり、このM&AでJR西日本の事業拡大に貢献することが期待されています。

引用元:https://co-ad.jp/news/20161101-2.html

3.リテールパートナーズとマルキョウが経営統合

リテールパートナーズと福岡のマルキョウは、経営統合の契約を締結し、2024年3月に1対1の株式交換を通じて統合することを発表しました。この統合により、マルキョウはリテールパートナーズの子会社となりました。

引用元:日本経済新聞

福岡県で事業承継・M&Aを進めるときの注意点

福岡県で事業承継・M&Aを進めるときの注意点は、次のとおりです。

    • 福岡県で実績のあるM&A仲介会社を選ぶ
    • 買い手が見つかるとは限らない
    • 事業承継やM&Aには時間がかかる

福岡県で事業承継・M&Aを進めていくときの注意点を理解し、後継者不在をスムーズに解消していきましょう。

福岡県で実績のあるM&A仲介会社を選ぶ

福岡県でM&Aを検討する場合、福岡県で実績のあるM&A仲介会社を選択しましょう。

M&A仲介会社は数多くあるものの業種や地域によって得意・不得意があり、福岡県内の顧客量が会社によって変わってしまいます。選択したM&A仲介会社が福岡県に強くない場合、有利な条件でM&Aを進められないおそれもあるため注意しなければなりません。

M&A仲介会社を選択するときには、1社に絞らずに多くのM&A仲介会社を比較検討するとよいでしょう。

買い手が見つかるとは限らない

事業承継やM&Aを行っても、必ず買い手が見つかるとは限りません。

経営状態が思わしくないなどの理由がある場合はなかなか買い手が見つかりません。

経営状態が悪くてもM&Aができるケースもあるため、事業承継を検討するときには事業承継の専門機関に相談してみましょう。

事業承継の専門機関に相談すれば、現状のままでもM&Aが実行できるのか、どのような点を改善したらよいのかなどアドバイスをもらえます。

事業承継やM&Aには時間がかかる

事業承継やM&Aには、時間がかかると考えて準備し実行しましょう。

事業承継・M&Aを実行するには、後継者を探さねばならず時間がかかります。後継者が引き継ぎたいと感じるような企業でなければ、後継者が見つからないおそれもあります。

また、見つかったとしても承継には多くの手続きが発生し、後継者を育成する時間も必要です。

事業承継を実行、完了させるには相当な年数がかかるため、承継を考えだしたらすぐに事業承継の専門家に相談して早めに実行していきましょう。

福岡県で事業承継・M&Aを検討するなら「TSUNAGU」へご相談ください

福岡県で事業承継・M&Aを検討する場合、さまざま方法で後継者不在を解決できます。

後継者不在を解消するにはマッチングサイトやM&A仲介会社、公的機関に相談する方法などがあります。しかし、相談先の質や実績などによって、事業承継に成功するかどうか変わってしまうことには注意しなければなりません。

どの相談先を利用すればわからないという方は「TSUNAGU」の利用を検討ください。M&A仲介会社によって得意不得意がありますが、比較してどの会社を利用するのか検討するのは困難です。「TSUNAGU」では、数十社のM&A仲介会社の比較ができ、相談者に合った経験豊富な会社を紹介することが可能です。

「TSUNAGU」では無料で相談を受け付けていますので、まず相談だけでもしたいという人はお気軽にお問い合わせください。

ディスクリプション

福岡県で後継者がいないとお悩みの人は多くいるかもしれませんが、事業承継やM&Aで後継者を見つけられます。事業承継・M&Aをする方法や成功事例、進めるときの注意点を理解しスムーズな事業承継を実現していきましょう。

▼監修者プロフィール

岩下 岳

岩下 岳(S&G株式会社 代表取締役) S&G株式会社

新卒で日立Gr.に入社。同社の海外拠点立上げ業務等に従事。
その後、東証一部上場のM&A仲介業界最大手の日本M&Aセンターへ入社ディールマネージャーとして、複数社のM&A(株式譲渡・事業譲渡・業務提携等)支援に関与。IT、製造業、人材、小売、エンタメ、建設、飲食、ホテル、物流、不動産、サービス業、アパレル、産業廃棄物処分業等、様々な業界・業種でM&Aの支援実績を有する。現在はS&G代表として、M&Aアドバイザー、及び企業顧問に従事している。