【調査分析】広島のM&Aの市場動向について徹底解説!

【調査分析】広島のM&Aの市場動向について徹底解説!

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本記事では、広島県におけるM&Aや事業承継の現状を詳しく解説しつつ、円滑な事業承継に向けた具体的な進め方や相談先などをご紹介します。

広島のM&A・事業承継の状況

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地域・業種別の特徴

広島県の後継者不在率は56.6%で、調査開始の2014年以降で最も低くなりました。前回調査から2.4ポイント低下し、改善傾向が続いています。後継者問題への対策が徐々に効果を上げている証拠と言えるでしょう。しかし、依然として半数以上の企業が後継者不在の状態にあり、事業承継は待ったなしの状況が続いています。

業種別では、建設業の後継者不在率が67.2%でトップでしたが、全8業種で前年を下回る結果となりました。建設業は、職人不足や若手の入職者減少など、構造的な問題を抱えています。技術の継承や人材育成に課題を抱える企業が多いことが、高い後継者不在率につながっているのかもしれません。

社長年齢別では、60歳以上の企業の35.9%が後継者不在でした。60歳代では2014年の調査開始以降で初めて4割を下回り、改善傾向にあります。「60歳定年説」が根強い中、世代交代の必要性に対する意識の高まりがうかがえます。一方、70歳以上の企業では後継者不在率が再び上昇しており、高齢化の進展が課題となっています。

後継者ありの企業では、子供が最多の47.1%、親族は26.7%を占めました。「親族内承継」が主流である一方、親族外への承継も徐々に増えつつあります。「子息が後を継ぐ」というかつての常識は崩れつつあり、経営能力を重視した後継者選びが広がっているようです。

M&Aなど、後継者問題解消に向けた取り組み

この調査結果から、広島県の事業承継・M&Aの市場動向について以下のような点を指摘できます。官民一体となった事業承継支援の取り組みにより、広島県の後継者不在率は着実に改善しています。事業承継税制の拡充や、各種支援機関の体制強化など、施策の効果が表れつつあるのでしょう。一方で、依然として半数以上の企業で後継者が決まっていない状況にあります。

建設業や小売業、サービス業など、地域密着型の業種で後継者不在率が高くなっています。人手不足や収益性の低下など、業界特有の課題が事業承継の足かせとなっているようです。事業継続のためには、業界特性に応じたきめ細やかな支援が求められるでしょう。

また、60歳以上の企業で3分の1以上が後継者不在であり、事業承継の準備が喫緊の課題と言えます。特に70歳以上の経営者は、時間的な猶予がありません。M&Aを含めた具体的な承継プランの検討を急ぐ必要があります。

親族外への事業承継も約4分の1を占めており、親族内にこだわらない柔軟な後継者選定が広がりつつあります。「社長の息子」から「経営のプロ」へ。時代に合った経営スキルを持つ人材に託す動きが加速しているのかもしれません。専門家の助言を得ながら、最適な選択肢を探ることが重要です。

広島県の事業承継は着実に前進しているものの、課題は山積しています。経営者の高齢化が進む中、「待ったなし」の状況が続いています。個々の企業の実情に合わせたサポートを拡充し、円滑な世代交代を後押しすることが何より大切と言えるでしょう。

「株式会社帝国データバンク」「特別企画: 広島県 後継者不在に関する企業の実態調査(2023 年)」https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/s231202_60.pdf(2024年3月28日閲覧)

広島の休廃業・解散の動向

2023年の広島県における企業の休廃業・解散件数は1,354件で、前年比13.4%増加しました。2年ぶりに前年を上回り、過去5年で最多となりました。新型コロナウイルス流行の影響が色濃く表れた1年と言えるでしょう。緊急事態宣言による営業自粛や、インバウンド需要の急減などが直撃し、資金繰りに行き詰まる企業が相次ぎました。

休廃業・解散件数は、同年の倒産件数(157件)の8.6倍に達しましたが、倒産件数との倍率は3年ぶりに10倍を下回りました。倒産は法的整理を伴う「表舞台」の退出であるのに対し、休廃業・解散の多くは「水面下」の撤退と言われます。借入金の返済などを終えた上で、自主的に幕を下ろすケースが目立ちます。

物価高騰などにより企業収益が圧迫されるなか、休廃業・解散件数は増加傾向にあります。原材料費の上昇や、人件費の高騰など、中小企業の経営環境は厳しさを増しています。利益の出ない事業からの撤退を決断する経営者も少なくありません。

「前向きな廃業」を支援する動きがある一方、後継者不在や代表者の高齢化により経営改善が見込めない中小・零細企業の「あきらめ廃業」が高水準で推移する可能性があります。事業継続の意欲はあっても、様々な理由から断念せざるを得ないケースが増えているのが実情です。

この調査結果から、広島県でも全国と同様に休廃業・解散が増加傾向にあることがわかります。倒産件数を大幅に上回る水準で推移しており、企業数の減少に大きな影響を与えていると言えるでしょう。休廃業・解散は、地域経済に様々な影響をもたらします。雇用の喪失や、取引先への連鎖など、負の連鎖を生む恐れがあります。

「株式会社帝国データバンク」「 広島県 企業の休廃業・解散動向調査(2023 年) 」https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/s240102_60.pdf(2024年3月28日閲覧)

広島の人手不足状況

「正社員が不足している」企業は54.0%で、2008年1月の調査開始以降で最も高い割合となりました。全国的に人手不足感が高まる中、広島県でも深刻化の一途をたどっています。少子高齢化の進行により、労働力人口の減少に歯止めがかからないのが実情です。

業種別では、『運輸・倉庫』が72.7%で最も高く、次いで『サービス』が66.7%でした。トラックドライバーの不足は全国的な課題となっており、広島県でも例外ではありません。長時間労働や低賃金など、働き方の改善が求められています。『サービス』は、飲食や宿泊、介護など、人手に頼る業種が多いことが影響しているようです。

「非正社員が不足している」企業は28.4%で、25%を上回るのは2023年4月以来です。業種別では、『小売』が53.3%で最も高く、次いで『サービス』が43.8%となりました。パートやアルバイトの確保が難しくなっている様子がうかがえます。

広島県の有効求人倍率は、1.53倍と高止まりしています。産業別では、「医療・福祉」や「サービス」で高い傾向が続いています。人手不足の背景には、こうした構造的な要因もあるようです。

「株式会社帝国データバンク」「特別企画: 広島県 人手不足に対する企業の意識調査(2023 年 10 月) 」https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/s231104_60.pdf(2024年3月28日閲覧)

広島M&A成約事例7選

以下は、広島で起きたM&A事例7選を紹介いたします。

1. フジによるニチエーの完全子会社化

2020年1月、愛媛県松山市に本社を置く流通大手「フジ」が、広島県福山市を拠点とし、食品スーパー11店舗を展開する「ニチエー」を完全子会社化しました。

フジはこの買収により、広島県内での事業基盤を強化し、地域密着型の店舗戦略を推進しました。

ニチエーは地域で長年愛されてきた食品スーパーであり、フジはそのブランド価値を維持しつつ、グループ全体での仕入れコスト削減や物流効率化によるシナジー効果を追求しています。

参照元:https://www.the-fuji.com/news/docs/20200114_shinsetsu.pdf

2. ブルドックソースによるサンフーズの買収

2019年10月、ブルドックソース(東京都)は広島市に本社を置く老舗ソースメーカー「サンフーズ」を完全子会社化しました。

サンフーズは1916年創業で、お好み焼きソース「ミツワソース」や「ヒガシマル」などのブランドを展開しており、広島県内では高い知名度を誇ります。

このM&Aにより、ブルドックソースは地域の強力なブランドを取り込み、全国的な市場展開を強化しました。また、サンフーズは新たな資本の下で設備投資や販売拡大が期待されています。

参照元:https://www.bulldog.co.jp/company/pdf/191007_1_etc.pdf

3. インターネットインフィニティーによる正光技建のM&A

2022年10月、リハビリ型デイサービス「レコードブック」や介護情報サイト「ケアマネジメント・オンライン」を運営するインターネットインフィニティー(東京)は、広島県廿日市市に拠点を置く「正光技建」を買収し、完全子会社化しました。

正光技建は住宅リフォーム工事を中心に事業展開しており、インターネットインフィニティーはこの買収を通じてリフォーム市場での事業拡大を図り、新たな収益源を確保しています。取引額は約2億3,100万円とされています。

参照元:https://maonline.jp/news/20220926e

4. ダイクレによる広島メタル&マシナリーの買収

2020年9月、広島県呉市に本社を置くグレーチング大手「ダイクレ」は、特殊鋼製品の製造を手掛ける「広島メタル&マシナリー」を買収しました。

広島メタル&マシナリーは、かつて経営不振に陥り地域経済活性化支援機構(REVIC)の支援を受けて再建していましたが、ダイクレが過半数の株式を取得し、経営再建を完了させました。これにより、ダイクレは製造能力を強化し、鋼製品事業の競争力を高めています。

参照元:https://www.nikkei.com/article/DGKKASJB22H67_S7A920C1LCC000/

5. ひろしまイノベーション推進機構によるキングファクトリーグループへの出資

2020年4月、広島県100%出資の投資ファンド「ひろしまイノベーション推進機構」は、広島市を拠点とする「キングファクトリーグループ」に出資し、全株式を引き受けました。

キングファクトリーグループは、「汁なし担々麺」や「お好み焼き」の店舗を運営する飲食企業で、広島のご当地グルメを全国展開しています。この出資は、事業承継と地域経済の活性化を目的として行われました。

参照元:https://www.hinet.co.jp/news/pressrelease20200413k.pdf

6. 中電工による早水電機工業の買収

2020年9月、広島県を拠点とする電気工事会社「中電工」は、神戸市の電気工事業者「早水電機工業」を買収しました。

早水電機工業は、京阪神地区で太陽光発電やLED関連の工事を手掛けており、中電工はこの買収により、関西地区での事業基盤を拡大し、エネルギー関連の技術力強化を図っています。従業員の雇用も継続され、事業承継としての役割も果たしています。

参照元:https://www.chudenko.co.jp/release/images/p160908_01.pdf

7. エバラ食品工業による丸二の買収

2023年8月、エバラ食品工業(東京)は、広島市に本社を置く調味料メーカー「丸二」を買収しました。

丸二は、粉末調味料や液体調味料の製造を行っており、エバラ食品工業はこの買収を通じて製品ラインを強化し、広島エリアでの市場シェア拡大を目指しています。

エバラ食品工業は、調味料分野での競争力をさらに高め、国内外への販売展開を進めています。

参照元:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC09AYN0Z00C23A8000000/

広島でのM&A・事業承継の進め方

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本項では、中小企業庁の事業承継ガイドライン第3版に記載されている事業承継の進め方を参考に、わかりやすく解説していきます。事業承継は、経営者にとって人生の一大イベントと言えるでしょう。会社の未来を託す相手を選び、バトンを渡すタイミングを見極めることは容易ではありません。特に、M&Aによる事業承継の場合、複雑な手続きが必要となり、専門的な知識が求められます。

ステップ1:事業承継に向けた準備の必要性の認識

事業承継は、早めの準備が成功の鍵を握ります。概ね60歳に達した頃には事業承継の準備に取りかかることが望ましいとされています。現経営者の年齢や健康状態、後継者候補の有無などを考慮し、スケジュールを立てることが重要です。

もし60歳を超えている場合は、一刻も早く行動に移すことをおすすめします。身近な支援機関に相談し、準備に着手すべきでしょう。事業承継は一朝一夕で完了するものではありません。計画的に進めることが成功の秘訣です。

特に、M&Aの場合は、買い手探しから交渉、契約締結まで、一定の時間を要します。早めに動き出すことで、最適な相手を見つけ、納得のいく条件で事業を引き継ぐことができるでしょう。時間的な余裕を持って取り組むことが何より大切です。

ステップ2:経営状況・経営課題等の把握(見える化)

事業承継を円滑に進めるためには、会社の経営状況や経営資源、知的資産等を正確に把握し、見える化することが重要です。自社の強みや弱み、業界における位置づけなどを客観的に分析し、引き継ぐべき価値を明確にしておく必要があります。

具体的には、財務諸表や事業計画、顧客リストなど、経営に関する情報を整理することから始めましょう。「財務」「営業」「人材」など、切り口ごとに現状を整理し、課題を洗い出します。数字に表れない強み・弱みについても、経営者の視点から書き出してみることが大切です。

また、後継者候補の有無、親族内株主や取引先等の理解、将来の相続発生も見据えた準備状況等、事業承継上の課題を明確にしておくことも欠かせません。課題を正しく認識することで、適切な対策を講じることができるでしょう。

M&Aの場合は、買い手候補の目線で自社を分析することも重要です。買収後のシナジー効果や、リスク要因などを洗い出し、交渉材料として準備しておくことが求められます。自社の「強み」を最大限にアピールできるよう、入念な準備を心がけましょう。

ステップ3:事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)

事業承継を成功させるには、承継前から会社の経営改善に取り組むことが欠かせません。本業の競争力強化、経営体制の総点検、財務経営力の強化等により、より良い状態で後継者に引き継げるよう努めましょう。

具体的には、売上拡大や利益率向上に向けた施策の実行、社内の権限委譲や情報共有の仕組み作り、資金調達力の強化などが挙げられます。特に、M&Aの場合は、買い手候補の求める水準を満たすことが重要です。

過剰債務等の課題がある場合は、事業再生に着手することも検討すべきでしょう。抜本的な事業の見直しを行い、承継後の成長基盤を整える必要があります。場合によっては、事業の一部売却や撤退も選択肢に入れる柔軟な姿勢が求められます。

磨き上げには一定の時間を要しますが、承継後の会社の発展につながる重要なプロセスです。経営改善の進捗状況を定期的に確認し、PDCAサイクルを回すことが大切です。社内の理解を得ながら、全社一丸となって取り組む体制を整えましょう。

ステップ4:M&Aの工程の実施

経営者がM&Aによる事業承継の意思を固めたら、いよいよ具体的な実行段階に入ります。まずは、M&Aに関する豊富な知識と経験を持つ仲介者を選定することが重要です。金融機関や専門家からの紹介を受けるなどして、信頼できる仲介者を見つけましょう。

次に、企業価値評価を行い、自社の適正な売却価格を算定します。財務内容や事業の将来性、競合他社の動向などを総合的に勘案し、客観的な評価を得ることが欠かせません。この評価を基に、買い手候補への提案条件を決定します。

マッチング段階では、買い手候補とのコンタクトを図り、双方の意向を確認します。事業の将来ビジョンや、従業員の処遇など、重要な論点について認識の擦り合わせを行います。条件面での折り合いがついたら、基本合意書を締結し、デューデリジェンス(買収監査)に進みます。

交渉では、買い手候補との面談を重ね、より具体的な条件を詰めていきます。価格はもちろん、役員の処遇、事業運営方針など、細部にわたって合意形成を図ることが求められます。必要に応じて条件を修正し、最終的な契約締結を目指します。

M&Aは専門性の高い分野であるため、経験豊富な専門家のサポートを受けながら進めることが成功の秘訣です。仲介者や士業専門家など、頼れる存在を見つけ、適切なアドバイスを得ることが重要です。各工程で求められる判断やスキルは多岐にわたります。専門家の知見を借りながら、着実に前進することが大切です。

ステップ5:事業承継の実行

いよいよ、事業承継を実行する段階です。M&A手続き等に沿って、資産移転や経営権移譲を進めていきます。具体的には、株式譲渡契約や事業譲渡契約の締結、必要な許認可の取得、従業員への説明などが含まれます。

特に、従業員への丁寧な説明と理解の取り付けは欠かせません。事業承継に伴う不安を払拭し、モチベーションを維持することが重要です。新経営体制への信頼を醸成し、円滑な引継ぎを実現することが求められます。

また、取引先や顧客への説明も重要なポイントです。事業の継続性を示し、安心感を与えることが大切です。必要に応じて、顧客や取引先を訪問し、直接説明することも検討しましょう。

事業承継を完了させるまでには様々な困難が予想されますが、周到な準備と専門家の助言があれば、必ず道は開けるはずです。粘り強く取り組み、新たなスタートを切ることができるでしょう。

承継後も、経営者としての学びは続きます。社内外の変化に対応しながら、会社を導いていく必要があります。支援機関等を活用し、経営力の向上に努めることが大切です。事業承継は、ゴールではなく新たな始まりです。次の世代に夢と希望を託し、前を向いて歩み続けましょう。

広島でのM&A・事業承継に関する相談先まとめ

よろず支援拠点

様々な経営課題に関する相談に対応するワンストップ相談窓口として、中小企業庁が各都道府県に「よろず支援拠点」を設置しています。広島にも拠点があり、事業承継に関する悩みを気軽に相談できます。起業・創業から事業承継まで、幅広い相談に応じてくれるのが特徴です。

豊富な知識を持つコーディネーターが、経営者の立場に立って親身になってアドバイスをしてくれるでしょう。相談は無料で、秘密も厳守されます。事業承継の第一歩として、まずは気軽に足を運んでみることをおすすめします。

よろず支援拠点は、課題解決に向けた道筋を示してくれる心強い味方です。様々な支援機関や専門家とのネットワークを持っているので、必要に応じて適切な相談先を紹介してもらえます。「どこに相談すれば良いかわからない」という方は、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

経営安定特別相談室

商工会議所や広島県商工会連合会が「経営安定特別相談室」を設置し、士業等専門家が各種法的手続きに関するアドバイスを行っています。事業承継の際に発生する法的問題について、専門家の見地から具体的な解決策を提示してもらえます。

経営安定特別相談室では、弁護士や公認会計士、税理士など、各分野のプロフェッショナルが在籍しています。M&Aに伴う契約書の作成や、株式評価など、専門性の高い課題についても相談できるでしょう。必要に応じて専門家を紹介してもらうこともできます。

面談だけでなく、電話やメールでの相談にも対応してくれるのが心強いポイントです。初回の相談は無料というケースが多いので、気軽に問い合わせてみましょう。専門家の視点から見た課題の整理は、事業承継の方向性を定める上で大いに参考になるはずです。

事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センターでは、M&Aや経営資源引継ぎの可能性を探るほか、これらが困難と見込まれる場合には廃業についての相談対応を行っています。広島にも拠点があり、事業承継の様々なニーズに対応してくれます。

センターでは、M&Aに関するマッチングサービスを提供しています。全国の民間のM&A仲介機関と連携し、最適な買い手候補の紹介を受けることができます。条件のすり合わせから交渉の進め方まで、経験豊富な担当者がサポートしてくれるでしょう。守秘義務契約を結んだ上で、安心して相談できるのが特徴です。

事業の引継ぎが難しい場合は、廃業支援にも力を入れています。債務整理や資産処分、従業員の再就職支援など、円満な廃業に向けたアドバイスが得られるでしょう。廃業を検討している経営者には心強い味方となってくれます。

事業の存続か廃業かの判断は、経営者にとって重大な岐路と言えます。様々な選択肢を提示してくれる事業承継・引継ぎ支援センターは、意思決定を後押ししてくれる存在です。早めに相談し、納得のいく道筋をつけることが何より大切と言えるでしょう。

中小企業診断士

中小企業診断士は、「中小企業支援法」に基づき、中小企業のホームドクターとして、様々な経営課題への対応や経営診断等に取り組んでいます。事業承継の際には、第三者の視点から会社の状況を分析し、適切な助言を行ってくれるでしょう。

診断士の強みは、経営全般に関する幅広い知見を持っていることです。事業承継に留まらず、販路拡大や生産性向上など、多角的な視点からアドバイスが得られます。SWOT分析等の手法を用いて、自社の強みと弱みを整理してくれるのも心強いポイントです。

また、事業計画の策定や補助金の申請など、具体的な支援にも定評があります。承継後の経営改善に向けて、目標設定や実行計画の策定を手伝ってもらえるでしょう。継続的なサポートを通じて、承継後の経営改善にも貢献してくれるはずです。

中小企業診断士は、全国各地に多数の登録者がいます。自社の業種や規模、目的に合った診断士を見つけることが大切です。信頼できる診断士を見つけ、伴走型の支援を受けることで、事業承継の成功確率は大きく高まるでしょう。

税理士

税理士は、顧問契約を通じて日常的に中小企業経営者との関わりが深く、決算支援等を通じ経営にも深く関与しています。事業承継に伴う税務問題について、専門的な立場から的確なアドバイスを期待できます。

株式の評価や譲渡、役員の交代など、事業承継には複雑な税務問題が伴います。適切な税務処理を行うには、税理士の助言が欠かせません。早い段階から相談し、タイムリーな対応を心がけることが重要です。

税理士は、事業承継に関する各種税制の活用方法についても助言してくれます。例えば、事業承継税制の適用を受けるための要件や手続きなどを、詳しく説明してもらえるでしょう。税負担の軽減は、円滑な事業承継の実現に直結します。

また、相続税の試算や納税資金の準備など、将来を見据えた提案も期待できます。経営者の高齢化が進む中、相続問題への備えは欠かせません。税理士と連携し、計画的に準備を進めることが大切です。

税務は事業承継の重要な要素の一つです。信頼できる税理士を見つけ、綿密な相談を重ねることが成功への近道と言えるでしょう。顧問税理士との日頃からの良好な関係が、スムーズな事業承継につながります。

金融機関

事業承継の際には、資金調達が大きな課題となることがあります。取引金融機関には、事業承継に関する豊富な知見とノウハウの蓄積があります。M&Aに必要な資金の融資や、株式の評価等について相談してみるのも良いでしょう。

金融機関は、地域経済の活性化に重要な役割を果たしています。事業承継の成功は、地域の雇用や産業を支える上で欠かせません。金融機関は、M&Aを通じた事業の継続・発展を後押ししてくれるはずです。

融資の判断には、事業の将来性や経営者の資質などが重視されます。承継前から経営改善に取り組み、金融機関の信頼を得ておくことが大切です。日頃からの情報共有や相談を通じて、良好な関係を築いておくことをおすすめします。

また、金融機関の持つネットワークを活用し、M&Aの買い手候補を探すことも可能です。地域の有力企業や、全国規模での候補先の紹介を受けられるかもしれません。秘密保持契約を結んだ上で、条件に合う候補先の紹介を受けられるでしょう。

金融機関は、事業承継に関する各種セミナーや相談会も開催しています。専門家を招いての勉強会など、有益な情報が得られる機会が多いのが特徴です。事業承継の基礎知識から実務に至るまで、幅広い内容を学べるでしょう。

事業承継には資金面でのサポートが欠かせません。普段からの金融機関とのコミュニケーションを大切にし、適切なアドバイスを得ることが重要です。金融の視点を取り入れることで、事業承継の選択肢は大きく広がるはずです。

M&A仲介会社などの専門家

M&Aを成功させるには、専門的な知識と経験が不可欠です。M&A仲介会社には、豊富な実績を持つ専門家が在籍しています。自社の状況に合わせて最適な業者を選ぶことが重要です。

M&A仲介会社は、買い手と売り手のマッチングを行うのが主な役割です。両者の条件を調整し、円滑な取引の実現を目指します。仲介報酬は成約時に発生するのが一般的で、成功報酬型の料金体系が主流です。

仲介会社の選定には、いくつかのポイントがあります。まず、M&Aの成約実績が豊富であること、自社の業界に精通していること、M&Aの種類に応じた専門性を持っていることなどが挙げられます。実績の多い会社であれば、様々なケースに柔軟に対応してくれるでしょう。

また、自社の業界動向や競合他社の情報に詳しいことも重要です。業界特有の商慣行やニーズを踏まえたアドバイスは、円滑なM&Aの実現に欠かせません。業界団体との太いパイプを持つ会社であれば、有力な買い手候補の紹介も期待できます。

M&Aには、買収や合併、事業譲渡など、様々な手法があります。自社の目的に合ったアプローチを提案してくれる会社を選ぶことが大切です。例えば、事業譲渡の場合は、雇用や許認可の承継など、特有の課題への対応が求められます。各分野のプロフェッショナルが在籍する会社であれば、ワンストップでサポートしてくれるでしょう。

加えて、成功報酬以外の手数料体系が明確であること、自社の規模や目的に合ったサービスを提供できることも確認すべき点です。アドバイザリー費用や デューデリジェンス費用など、様々な費用が発生します。料金体系を事前にしっかりと確認し、納得した上で契約することが重要です。

自社の規模や業種、目的に合ったサービスを提供してくれる会社を選ぶことも大切なポイントです。例えば、小規模企業の場合は、大手仲介会社では手数料面での負担が大きくなる可能性があります。逆に、大企業の場合は、専門性の高いサービスを求めることになるでしょう。自社の実情を踏まえ、最適なパートナーを見つけることが重要です。

M&A仲介会社選びは、事業承継の成否を左右する重要な意思決定です。単に条件面だけでなく、担当者との相性なども考慮に入れたいところです。複数の会社に相見積もりを取るなどして、比較検討することをおすすめします。腰を据えて向き合うことで、必ずや信頼できるパートナーが見つかるはずです。

独立行政法人中小企業基盤整備機構

中小企業の支援機関が、事業承継の支援体制を構築していくにあたり、必要な助言や、支援機関の課題解決に資する講習会を開催しています。広島にも拠点があり、支援機関に対する支援を通じて、中小企業の事業承継を後押ししています。

同機構では、事業引継ぎに関する各種情報提供を行うほか、事業引継ぎに取り組む企業に対して専門家を派遣するなどの支援を行っています。例えば、M&Aに関する専門的な助言を求めている企業に対し、経験豊富なアドバイザーを派遣するといった支援が挙げられます。

また、事業引継ぎに関心のある企業に対し、セミナーの開催やマニュアルの提供等を通じて、事業引継ぎの具体的な進め方等をアドバイスしています。経営者向けのセミナーでは、M&Aの基礎知識から、成功事例に至るまで、幅広い情報を得ることができるでしょう。

支援機関の支援力の向上は、中小企業の事業承継の推進に直結します。同機構の取り組みを通じて、支援体制の整備が進むことが期待されます。各種施策の活用により、円滑な事業承継の実現を目指したいものです。

経営者にとって、事業承継は未知の領域であることが少なくありません。身近な支援機関と連携し、専門的な知見を取り入れることが何より大切です。同機構の存在を心に留め、適切な支援を受けることをおすすめします。

広島のM&A仲介会社選びのポイント

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M&Aの成約実績が豊富か

M&A支援会社選びで重視したいのが、成約実績の豊富さです。数多くのM&A案件をまとめた経験のある会社なら、交渉術に長けているはずです。実績数だけでなく、取引規模や業種の広がりにも注目しましょう。

自社の事業規模や業界特性に合った案件の実績があるかを確認することが大切です。条件面などのノウハウが蓄積されているため、円滑な交渉が期待できます。

自社の業界に精通しているか

自社の業界事情に詳しい仲介会社を選ぶのも重要なポイントです。業界特有の商慣行や経営課題を理解している方が、スムーズにM&Aを進められるからです。

同業他社とのM&A案件の実績があれば申し分ありません。業界内のネットワークを活かし、最適な買い手候補を探してくれるはずです。自社の事業価値を適切に評価する目利き力も備わっているでしょう。

M&Aの種類(買収、合併、事業譲渡など)に応じた専門性を持っているか

M&Aには、株式譲渡や事業譲渡、合併など、様々な手法があります。取引の形態に応じた高度な専門性が求められるため、経験豊富な仲介会社を選ぶことが欠かせません。

自社の意向に合ったM&Aスキームを提案してくれる会社が望ましいでしょう。法務面や税務面の課題にも精通し、トータルなサポート力を備えているかどうかもチェックしたいポイントです。

成功報酬以外の手数料体系が明確か

M&A仲介会社の報酬体系は、成功報酬型が一般的です。つまり、案件が成立した場合にのみ報酬が発生する仕組みです。ただ、着手金など固定費用を設定している会社もあるため、契約前に手数料体系を確認しておくことが重要です。

料率の水準だけでなく、計算方法も含めて、明確な説明を受けましょう。専属契約を求められるケースもあるため、複数社への相談の可否も事前に確認しておくと安心です。

自社の規模や目的に合ったサービスを提供できるか

M&A支援会社の得意分野は多岐にわたります。大型案件に強みを持つ会社もあれば、中小企業のM&Aに特化したところもあるからです。自社の規模や目的に合った専門性を持つ会社を選ぶことが肝心です。

例えば、事業の一部を売却する場合は、部門売却の実績が豊富な会社がおすすめです。一方、完全子会社化を目指す場合は、PMIまで視野に入れた総合的な支援力を備えた会社を選ぶと安心でしょう。

M&Aは、オーナー企業にとって一大イベントです。信頼できるパートナーを見つけられるかどうかが、成否を分けると言っても過言ではありません。相性の良い仲介会社を選び、二人三脚で理想の事業承継の実現を目指しましょう。

まとめ

広島の中小企業では、後継者不足が深刻化する一方で、M&Aによる事業承継が増加傾向にあります。人口減少や高齢化の進展を背景に、親族内での承継が難しいケースが増えており、第三者への承継が重要な選択肢となっています。

優秀な後継者を見つけ、バトンを渡すためには、早めの動き出しが重要です。M&Aは、経営資源の引継ぎを通じて、事業価値の毀損を防ぐ有力な手段と言えるでしょう。

M&Aを成功させるためには、計画的な準備と専門家のサポートが欠かせません。会社の現状分析、課題の抽出、経営改善の実行など、入念な下準備が求められます。自社の「強み」を最大限に生かせる買い手を見つけるには、早い段階からの情報収集と、綿密な計画の策定が重要です。

▼監修者プロフィール

岩下 岳

岩下 岳(S&G株式会社 代表取締役) S&G株式会社

新卒で日立Gr.に入社。同社の海外拠点立上げ業務等に従事。
その後、東証一部上場のM&A仲介業界最大手の日本M&Aセンターへ入社ディールマネージャーとして、複数社のM&A(株式譲渡・事業譲渡・業務提携等)支援に関与。IT、製造業、人材、小売、エンタメ、建設、飲食、ホテル、物流、不動産、サービス業、アパレル、産業廃棄物処分業等、様々な業界・業種でM&Aの支援実績を有する。現在はS&G代表として、M&Aアドバイザー、及び企業顧問に従事している。